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第4回オレンジカフェ茶話会のご報告

2019.10.26 06:07

第4回オレンジカフェは、9月28日「デイサービス施設ららら」をお借りして実施しました。その報告は以下のとおりです。

【 第4回『あんしんオレンジカフェ』茶話会議事録 】

■ 実施日・時間  令和元年9月28日(土) 13:30~15:30

■ 実施場所    健脳リハビリテーション 「ディサービスららら♪」

         (太宰府市五条4-6-5)

■ 参加者     36名(詳細は参加者リスト参照) 

【 概 要 】

1.本松洋一氏卓話(約30分)

  (ケアプランサービス鹿子生介護支援専門員・介護福祉士)

・以下の4項目について、現場での体験談をもとに、わかりやすくお話しいただいた。特にユマニチュード(フランス語:人間らしいこと)についての、認知症者に対する人間らしいコミュニケーションや対応のあり方を解説していただいた。

①老化によるもの忘れと認知症の違い

②3大認知症のそれぞれの特徴

③中核症状と周辺症状

④コマニチュードの基本的な概念

 ・見る   ・話しかける   ・触れる   ・立つ の重要性

【質疑応答】

 質問:特に日常生活において不可欠の口腔との関係をお聞きしたい。

回答:口腔ケアと認知症は非常に関係がございます。歯がほとんどなく義歯未使用の人の認知症発症リスクは1.9倍も及ぶという研究結果がある。

奥歯で固いものが噛むことができない→食欲がなくなり低栄養になる→体力・気力が低下し家に閉じこもりがち→人と接触する機会が減少・食生活のバランス低下→認知機能の低下、という状況を引き出す。

また噛むことで脳が活性化し、大脳辺縁や海馬が活性化することで、認知症予防になる。

2.鹿子生寛子代表理事(精神科医)・宮垣大夢氏卓話(約1時間20分)

(NPO法人健脳リハビリテーション)

・「デイサービス ららら」は運動機能向上訓練のリハビリメニューや創作活動や体操、音楽療法など、”健脳リハビリテーション”の豊富なプログラムを持つ、心身両面からのリハビリに特化したデイサービス施設である。

① 鹿子生代表理事:施設の理念と認知症ケアに対する基本的姿勢についての紹介

・脳の活性化とフレイル予防(フレイル:健常から要介護へ移行する中間の段階:虚弱状態)につながりぴんぴんコロリならぬ「ぴんぴんきらり」の毎日を過ごせるケアのあり方を心掛けている、ということであった。

・その意味として、コロリまでの時間が長くなっていることに留意すべき。ころりは昔の話。きらりとした生活を送るためには、家庭内での役割を担当してもらうなども必要である。

・心身両面でのリハビリでフレイユ予防を行うために、次の健脳リハビリテーションの4本の柱を決めてケアの基本活動としているとのことである。

 ①メンタルケア  ②創作活動  ③食養生  ④運動器リハビリの4本柱

・健脳リハビリの一環として、「Lalala de Festa 2019」などの開催の紹介もあった。

・茶話会終了後、代表理事のご厚意により、当施設見学をさせていただいた。

② 鹿子生代表理事の卓話及び鹿子生氏・宮垣氏との質疑応答

・1時間以上にわたり、代表理事からは、認知症に対する新オレンジプランの考え、認知症者に対するさまざまな対応、また認知症予防に関することなど幅広く、当施設の対応や体験に基づき、わかりやすく説明していただいた。また宮垣氏より、認知症者に対する対応策などを事例に基づき丁寧に説明していただいた。以下主な質疑応答について紹介する。

【質問と回答】

質問:行方不明となった認知症者にはどのようにして声をかけたらよいか。

回答:「声をかけるときは一人で」「後ろから声をかけない」「笑顔で相手に目線を合わせる」ことなどが大切である。後ろから声をかけると、相手が後ろを向いたときに身体のバランスを崩したりして危険である。

質問:母親がディサービスに出かけるとき、見栄をはって杖を使わない。つまずいたりしないか心配。裸を見られるのを嫌がり入浴したがらない。どうしたらよいか。

回答:あくまでも、本人が入浴することを納得していることが大切。そのため、介護者は拒否された時はそのまま受け止め、入らないとダメだというような言い方を控えるべき。本人が納得しそうな入浴理由や興味を引きそうな言葉を考えてから、誘導の仕方を工夫するようにしている。

   また足浴や手浴といった部分浴や室内での洗髪を行ってみたりする。それによって気持ちよさを実感してもらえたら、「お風呂にも入りましょうか」とか「シャワーを浴びますか」などと声をかけてみたりしている。

   当施設では女性の人には女性、男性の人には男性が対応するようにしている。また当施設での入浴状況を見学できるようにしているが、見学した認知症者が入浴するようになった。

   杖に関しては、当施設ではいろいろな杖を用意しているので、後でご覧になってください。

質問:認知症の人が、住み慣れた地域で生きていける環境づくりが大切であるが、そのためには、その人たちとの対応上、どのよう心掛けていくべきか。

回答:ほんの一例ではあるが、昔どんな仕事をしていたかとか、温泉地などでは、どんな温泉地が好きかとか、または相手が自信を持っていることなどを質問するとか。

   またちょっと異なった環境づくりや、体験も重要である。隣の大部屋の壁全部に架けてある絵はサービス利用者全員で描いた絵でもある。また左手で絵を描くとかも試してみるとよい。

   「20の兆候チェックリスト」の資料を差し上げているが、従来の認知症テスト(長谷川方式など)では認知症状況を数値化することなどしているが、私としては一番嫌い。チェックの結果、日ごろ取り組む内容を知り予防に努めて欲しい。

   

質問:認知症は治る病気なのか。

回答:完治はしないが、進行を止めることはできる。アルツハイマー病やレビー小体型認知症などは、現在のところ根本的に治す治療法はないが、ただしアルツハイマー病は薬で、症状の進行を半年から1年程度遅らせることができる。

質問:認知症者によくみられる怒りの原因とその対応を知りたい。また当施設ではどのように対応しているのか。

回答:怒りの原因は多々考えられる。今までできていたことができなくなってしまったり、いろいろなことが理解できなくなっていたりという不安や恐怖から、ささいなことに敏感に反応してしまい、怒りっぽくなっている。

感情のコントロールや理性的な行動などにかかわる脳の部分が委縮して発症する前頭側頭型認知症では、人格が変わって怒りやすくなることもある。などなど

対応については、まずは、相手の存在を受け入れること。感情に共感すること。

そのうえで、ゆっくり話をすること。怒る前に話題を変える、専門家の診察を受け、その対応について指示していただくなどが必要となる。

質問:漠とした質問だが、認知症者に対して言ってはいけないこと、取ってはいけない行動・態度など留意しておくべきこと知りたい。

回答:一番大切なことは、ハイかノウの二者択一で対応しないこと。二者択一で対応すると先の話が続かなくなり、コミュニケーションが成立しない。嘘も方便ではないが、相手に同調してあげる、演じてあげるなどの柔軟な対応が必要となる。

   特に相手が間違っていても否定しないこと、非難する顔は絶対しないこと。例えば別の話題を出し、言い換えたり、語尾のオウム返し(相手の話を遮るようなオウム返しはダメ)など、会話に一工夫行うなど、対応していかねばならない。

 

3.水本理事長よりの今後の活動の紹介(約10分)

・8月より古賀理事長に代わり就任した水本新理事長のあいさつおよび今後の活動の紹介があり、活況の内に終了した。今後の活動については、以下の通りである。

10月5日(土):「認知症サポータ養成講座」および「認知症対策最新情報講座」(場所:筑紫女学園大学)、11月24日(日):認知症に関する自主映画上映会「ケアニン」~あなたでよかった~(場所:太宰府市中央公民館)、11月30日(土):「第5回あんしんオレンジカフェ茶話会」(場所:青葉台公民館) 以上

最後に、鹿子生代表理事より、当施設見学も対応していただいた。今後も当施設の利用についていつでも提供するというご厚意も頂いた。