講座情報|『書いてその場で演じる!脚本講座』2回目開催!
8月に開催して好評だった脚本講座を再び開催しました。その場で脚本の書き方をレクチャーし、その場で書き上げ、その場で演じる2時間のワークショップ!
演劇担当の講師は男性演劇グループMIST(ジャパントータルエンターテインメント所属)から4人!
左から久保憲太郎さん、古田幸人さん、青地貴裕さん、上野湧大さん。MISTは全部で5人であとひとり白川優弥さんは今回は残念ながら来れずでした。
さて今回は前回と趣向を変えて、わたしを含めた5人の講師をリーダーとするチームに分かれて、1チームで1つ、短い1シーンの脚本を書き演じて発表まで行いました。2時間で。
まずはどんな感情を観客に与えたいか、チームで1つ選んでもらって、その感情がどんなときに湧いたかをみんなで話し合ってアイデア出しします。そして、チームの全員を登場人物として、どんな話にすればその感情が生まれるシーンになるか、みんなで考えます。
そしてプロットもみんなで考え、脚本にしていきます。いやはや大忙しよ。
そもそも、なぜ狙い通りの感情を湧かせるワークをしたかというとですね。人というのは感性もさまざまなので「好きなように受け取ってください」って最終的には言うしかないんだけど、ぎりぎりまで作り手は狙い通りに伝わるように工夫を凝らす必要があって、そのうえで違う受け取り方をされるのはあり。
ぎりぎりまで考え抜いてすみずみまで工夫を凝らすことでパワーが生まれる。それをしなかったら、飛距離がなくて、作り手の足元にぼとぼと落ちる。観客からしたら「え?こっちがわざわざ拾いに行かなきゃいけないの?」状態。義理のある知人・友人なら拾いにいくけど、純粋な観客はそんなことしない。
舞台に立って役者が演じるのは、嘘が多い世界。映画と違って背景もないし衣装も本物じゃないし我に返ったら「何してんの?」ってなる。やれることも限られてる。でも「生の存在が目の前にいてしゃべる」という最大のメリットがある。生の存在の力をうまく利用すると、観客に感情を湧き起こせる。
というわけで、今回は最初に観客にどんな感情を湧き起こしたいかを選んで劇を作ってもらいました。選択肢!
a.悲しくて泣く
b.感動して泣く
c.ゆかいな気持ち(笑う)
d.ハラハラする
e.恋にときめく
f.ほっこりなごむ
g.驚いた気持ち
h.わくわくした気持ち
i.ぞっとする恐怖の気持ち
1チーム、講師合わせて3,4人で。力を合わせてがんばりました。最終的に5つの個性豊かな物語が生まれ、堂々と上演されました。どの劇も楽しかったです。
…が、時間がなくてフィードバックする暇がなかったので、ここに講評を載せておきます。あくまで「脚本講座」なので、よい脚本にするにはどうしたらよいか、という視点で書いていきますよ。
上野さんチームは「悲しくて泣く」をチョイス。末期がんの兄と無邪気に兄を慕う弟の物語。何も知らない弟と弟を想う兄のやりとりが涙を誘う。…が!兄弟愛が素敵すぎて「悲しくて泣く」というより「感動して泣く」の方へぶれた。前者を狙うなら、もっと不条理に絶望的に残酷に。現実は本当に残酷だ。その残酷さに向き合ってもよかったかもしれない。兄と弟がすれ違ったまま、兄が死んでしまうとか。もしくは最初から感動のほうを目指すか。
この「悲しくて泣く」の選択肢は難しいだろうなと思ってたので、選んで挑戦してくれて嬉しかったです!パチパチ!
古田さんチームは「ハラハラする」。二股かけてる男が1人とデート中にもう1人の彼女がやってくる。リアリティのある楽しい劇でしたが、どちらかというと「愉快な気持ち」コメディに。ハラハラが足りない。それはなぜか。
二股を知っているウェイトレスの存在が観客のハラハラを減らしてしまった。安心して見れてしまう。あと主人公の好感度低いので(笑)ばれろばれろ!って思ってしまう。バレたら大変だ!と観客に思わせないとハラハラが生まれない。あと、ふたひねりした設定がほしかった。でも劇は一番上手かった!パチパチ!
久保さんチームが目指したのは「わくわくした気持ち」。魔法少女まどかがメロンの妖精を従え、魔王と戦うストーリー。これはわくわくするしかない…と思いきや、世界観や設定が面白すぎて、設定の説明の時点で笑いが止まらない。会場を笑わせまくって判定は「ゆかいな気持ち」に。
狙いどおりに伝えるには、狙いとは違う要素の排除も必要。いくら気に入った設定でも狙いがぶれるなら捨てる。短いワンシーンでわくわくさせるのは本当に難しい。何にわくわくするのか(魔法少女が普通の人から強い存在になるとか?)分析がもっと必要だった。しかし笑った。可愛かった。パチパチ!
青地さんチームが目指したのは「ほっこりなごむ」。金髪の女子高生が祖父母の家に来て、こたつに入って仲良くしゃべる。女子高生がしゃべる今どきの言葉に、いちいちきょとんと反応するおじいちゃんとおばあちゃん(←青地さん)。観客の反応はほぼ全員狙い通り「ほっこりなごむ」!
若い男子がおばあちゃん役をして笑いじゃなくてほっこりさせる青地さんのナチュラルっぷりに感服。あと、今どきの言葉にいちいち驚くときの祖父母のテンションと間とセリフが妙にとぼけていて、ほっこりを生み出してた。女子高生も素直でとてもいい子。要素を整理して狙い通りの脚本書けた!パチパチ!
最後、寒竹チームは「ぞっとする恐怖の気持ち」をチョイス。どうせならやったことない(わたしが)の、やってみよう!まずはアイデア出し。どんな時にぞっとするか。いろいろ出たけど、いい人だと思ってた人が豹変する、正義を狂気的に押し付ける、などが出た。このあたりを使うことに。
災害で地下倉庫に閉じ込められ餓死寸前の4人。リーダーシップをとってた頼りになる男が、新たな策を思いついたと道具を集めさせて、メンバーの1人に斧を振り下ろして、こいつを食べれば3人助かると平静に言い始める。そんな話。
設定作りに時間かかって立ち稽古できなかったので(というか、最初から座ってセリフ読むだけの想定だったのに、ほかの講師が立ち稽古まで仕上げてきてたから焦った…!)わちゃわちゃしました。練習して臨みたかった!!(笑)
観客の反応は狙い通り「ぞっとする」に。やったね。セリフや設定はみんなで出し合いました。自分にはないものが出て面白かったです。
というわけで、楽しかったですね!
演劇、面白いです。作るのも演じるのも見るのも。次の日曜日11/3はわたしが脚本・演出を手掛けるMISTの公演です。いい感じにうっとり仕上がっておりますので、ぜひぜひ、お気軽にお越しくださいませ!
MIST公演 BL源氏物語「平安恋歌ー貴公子たちの片想いー」詳細・お申込みこちら。
3か月同じ演目をやります。10月に初回公演をしました。今回は全員、和装です。
わたしもついでに(ただコスプレしたいだけ)。
魂削って書き上げた渾身の脚本ですので、ぜひぜひ見に来てください☆