最後の皇帝11-パヴィアの戦い仏王敗戦捕虜
2019.10.28 03:30
フランス軍は一方をナポリに向かわせ、他方2万でミラノ南方のパヴィアを攻めた。ここはスペイン軍の拠点ではあったが、小都市で兵糧も多くない。仏軍は包囲網を敷いた。追って来る皇帝軍は大軍ではあるが連携がとれていない。それに中央集権が不十分で、傭兵や農民軍で、金がなくなれば戦わない。
ここでスペインを指揮するペスカラ候は、3週間の後、川を迂回して、フランソワ1世の本陣に早朝奇襲をかけた。プライドの高い皇帝軍がまさか奇襲するとは思わず、仏軍総崩れ。城内からも打って出て、総大将のフランソワ1世が捕虜になり、他将も殺害されたり捕虜になったりで、1万の死者を出す大敗を喫した。いや関ヶ原も、大軍のプライドを捨ててこうすればよかったんだ。
1525年2月24日、カール5世の周囲は大歓喜である。特に宰相ガッティナラは、大欧州主義者で、皇帝にカール大帝以来のヨーロッパ統一の希望をかけていた。今やその障害となる仏王はわが手に落ち、欧州は皇帝のもとに統一され、オスマンに向かうのだ!
しかし残念ながら現実はそんなに甘くない。英大法官ウルジーは、皇帝が強くなりすぎるのを恐れ、王なきあと指揮を執ったルイーズ母后と和した、英の伝統となる大陸均衡論である。そして母后は愛国心を煽って国内をまとめ、スレイマンと結ぶのである。
下は「カルロス聖なる帝国の覇者」よりパヴィアの戦いで捕虜となるフランソワ1世