HGUC ペーネロペー レビュー
2019.11.02 03:30
今回のレビューは、1/144スケール ハイグレードユニバーサルセンチュリー より、
“HGUC 229 ペーネロペー” です。
“機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ” より、
テロ集団マフティーと対決する地球連邦軍キルケー部隊のパイロット、レーン・エイムが搭乗する新型モビルスーツ、
“RX-104FF ペーネロペー” が
ハイグレードユニバーサルセンチュリーにて初のガンプラキットとして発売されました。
原作小説の刊行から実に30年、ガンダムシリーズ40周年を記念するプロジェクト、“UC NEXT 0100” の一環で3部作の劇場版というかたちでアニメ化が決定した “閃光のハサウェイ” 。
主人公、マフティー・ナビーユ・エリンことハサウェイ・ノアの前に立ちはだかる地球連邦軍キルケー部隊のパイロット、レーン・エイムが駆るペーネロペーが劇場公開に先駆けての初キット化ですよ。
映画の公開はちょっと延びてしまったようですが、こちらはちゃんと予定通りに発売されましたね(笑)。
でも、映画の公開もまだ随分と先なのに、主役機を差し置いてライバル機をこんなに早く出しちゃって大丈夫なんだろうか? と思っていたんですが、どうも先の展開はしっかり考えられているような気配がします。
詳しくは(あくまで個人の推測ですが)最後にて。
さて、レビューの前にペーネロペーという機体について、ざっくりと整理しておきましょう。
初出はもちろん、小説 “閃光のハサウェイ” ということになりますが、そのなかではあくまでガンダムタイプに近いMSでしかなく、合体機構もない単一の機体ということだったようです。
それが、2001年の “ANAHEIM ELECTRONICS GUNDAM HISTORY 2002 CALENDAR” においてオデュッセウスガンダムという本体にフライトユニットを装着した状態をペーネロペーと呼ぶ・・という設定ができあがり、以降それが定着することに。
それからさらにGジェネシリーズなどのゲームに登場するにあたり、デザインなどが細々とリファインされ(クスィーガンダムやグスタフ・カールなど、ほかの閃ハサ登場MSも同様)、現在の姿に至る、と。
また、2000年発売のGジェネFから準サイコミュ搭載機ということになっていましたが、2016年発売のジェネシスからサイコミュ搭載機に格上げされたようです。
それでは、レビューしていきます。
キットは素組みに最低限の墨入れ、付属シールと一部塗装での仕上げです。
RX-104 オデュッセウスガンダム
まずは中のヒトから。
この状態だと一見なんの変哲もない、平凡なMSといった印象です。
ただ、既にミノフスキークラフトは搭載されているようで、このまま大気圏内での飛行は可能なようです。というか、ミノフスキークラフトを搭載するためにここまで巨大になった、ということだと思います。
そうです。このヒト、メチャクチャでかいんです。
まぁ、単独の画像だとその大きさが伝わらないと思うので、のちの比較画像の項にてあらためてご確認ください。
物語上の悪役ということもあり、顔付きはなかなかに凶悪。ツインアイの色も赤になっていてわかりやすいです(笑)。
UC系というよりはアナザー系ガンダムっぽいケレン味強めデザインですが、一応素体ということもあり、シルエットは比較的シンプルになっています。
プロポーションは非常によく、もはやMSというよりMAに近い合体形態とのギャップがすごいです。
一方で腰部リアアーマーや脛側面に折りたたまれたランディングギアなど、特徴的な要素もちらほら。
ただ、今回はあくまでペーネロペーということで合体形態がメインになるとはいえ、主に脚部に数箇所ある合体用パーツを取り付けるためのスリットに蓋もなにもないというのは手抜きと言われても仕方がないかもしれません。
ディティールっぽく処理されてるならともかく。しかもでかいからこれがまた目立つんだなぁ・・
色分けについては優秀なほうですが、唯一アキレス腱部分のスラスターがパーツ分割もされない白色成型なので塗っておきました。まぁ、素体状態でのバックショットがないので、実際どうなっているのかはわからないんですけどね。
そして、塗ったもののほかのフレームとけっこう色が違った・・(笑)
武装
ビームライフル
専用の大型ライフル。
前後に2種類のエネルギーパックを備える独特の形状ですが、それにどういう意味があるのか、説明書の解説でもとくに言及されていません。
そして前のほうのパックには目立つ肉抜きがあります。
銃口には付属のサーベル刃を取り付けることができるんですが、これもとくに説明がないので、いわゆるロングビームサーベルのような機能があるのか、射撃シーンの演出効果を狙ったものなのかわかりません。
おそらく映画にて真実が判明することでしょう。
保持には右銃持ち手を使用。例によって左の持ち手は付属しません。ハンドパーツはほかに左右の握り手(完全な握り拳)と平手が付属します。
コンポジットウエポンユニット
左右の前腕に装備する複合武装ユニット。
とくにディティールもない3本の軸で取り付ける仕様をみるに、任意で装着を選択するオプションではなく、固定装備のようです。
3点による固定なので回転も不可能。そのままだと肩アーマーと干渉して取り回しの悪いことこのうえないですが、それを緩和するためか肘関節と前腕の接続部にも回転軸が設けられています。デジャヴが・・(笑)
ユニットの先端にはビームサーベル、その反対側に収納展開式のメガ粒子砲、さらにミサイルを搭載しています。
しかし、おそらくは側面に4つあるネイビーブルーの部分がミサイル発射装置だと思われるのですが、ハッチの開閉などは再現されていません。
HGの大型キットにありがちなギミックのオミットが今回も・・
FF(フィックスド・フライト)ユニット
これを着込んだオデュッセウスガンダムのことをペーネロペーと呼ぶので、ある意味こちらがペーネロペー本体(笑)。
オデュッセウスガンダム本体以上のサイズがあり、オプションというよりはもはや単体のMAといっても過言ではない存在感があります。
しかし、格闘戦ができるようなクローアームのようなものはなく、可動するのは肩アーマー上部に装備するメガ粒子砲兼ビームサーベル、そして背中(?)のスタビライザーのみ。テールスラスターも基本的に動きません。
機首部(?)の上下にあるレーダーの表面はクリアパーツで再現。内部の色分けはシールになっています。
ほか、安定翼(?)など一部のレッドやテールスラスター内部のグレーはシールで保管されてますが、今回安定翼のほうはマーカーで塗っています。
また、機首の付け根および脛後部アーマーのスラスターも色分けされていないのでそれらも塗装。
ディスプレイ用のスタンドが付属しますが、ベース部分はお馴染みの汎用パーツで、支柱のみ新規になっています。ただ、よくあるパターンなんですが、なんで成型色揃えてくれないんだろう?
オデュッセウスガンダム本体較べてもこのサイズ。
でかいです。
FFユニット装着
まずはFFユニットをバラします。
左右1番下のグレーのパーツは単体時用のジョイントで、合体時には使用しません。
オデュッセウスガンダムのほうは、肩間接を真横に引き出し、腰部中央のフンドシパーツのカバーを開きます。
そして股関節を交換。
最後に脛側面のランディングギアを下ろして準備オーケー。
RX-104FF ペーネロペー
装着完了。
でかいです。
そしておよそ機能的とはいえないケレン味たっぷりのデザイン。
なんというか、既存のデザインから逸脱したくて思い切り趣味に走った結果・・というような気がします(笑)。あとから設定を補完して、それっぽく理屈付けをする人も大変だなぁ。
オデュッセウスガンダムがFFユニットを着ている、ということになるんですが、むしろ着られているというか、飲み込まれている、埋もれている、という感じで人型としての可動性はほぼ死んでいます。
要は非変形のままで大気圏内飛行能力の獲得を目指した結果サイズが大型化してしまい、そんな大型機にさらなる機動性を付加するために一層でかいオプションが必要になった、ということなのでしょう。
まさに、当時の連邦軍の限界を体現した存在といえるのかもしれません。
フライトフォーム
機種パーツで頭部を完全に覆い、腕部や脚部を後方に揃えた飛行形態。
あれ? 結局変形しちゃってるよ(笑)。まぁ、変形と呼べるほどのものでもないんですが。
この形態で前面にビームバリアーを展開することで、超音速飛行が可能になるそうです。
バリアーはどこから発生させるんだろう? これまた映画を見なきゃわからないのかな。
後ろに伸ばした脚部はジョイントで固定される(あまりかっちりとはなりませんが)ので,重さで垂れ下がるということはありませんが、腕部のほうはとくに固定されません。
武装
メガ粒子砲(ビームサーベル)
基部がボールジョイント、さらに丸一モールド部分で可動するのでフレキシブルに動きます。
でも、サーベルとしてはよほど敵に肉薄されたときの緊急回避くらいにしか使えなさそうですね。ジ・オの隠し腕みたいなものですか。
サーベル刃はコンポジットウエポンユニットと共用。ただし、キットには2本しか付属しないので、4刀流再現には余所から拝借する必要があります。
ファンネルミサイル
腰部前部アーマーの裏側や肩アーマー内部に搭載するサイコミュ誘導式のミサイル。
今回はディティールとしての再現のみで実際のミサイルは付属しません。
というか、ゲームとかのイメージでもっと大きいものかと思ってたんですが、けっこう小さいんですね。
肩アーマーのほうは装甲パーツの付け替えで射出状態を再現できるんですが、こちらには格子状のディティールがあるだけで弾頭などは造形されていないので、ダクトようにしか見えません。
カラーもこれ、白いまんまでいいのかな?
ガンダムの世界観だと、ミサイルって核を除けば牽制用の武器くらいの印象しかないんですが、これってどれほど有効な武器なんですかね?
質より量で、とにかく数を当てる武器みたなものなんだとしたら、装弾数ってどれくらいなんだろう?
いわゆるビーム砲塔型のファンネルから切り替えた理由ってなにかあるんだろうか?
図らずも ? が4つも続いてしまった・・(笑)
比較画像
マフティー事件当時の連邦軍の主力量産機、グスタフ・カールと。
でかいです(何回言うんだ)。
オデュッセウスガンダムの状態だとプロポーション的にはごく普通のMSなので、一見スケール違いかと思ってしまいます。グスタフもそれまでの連邦製MSとしては大きい(主に横に)ほうなんですけどね。
なお、このグスタフ・カールは先行生産機とされるUCVerなので、カラーリングとシールドの取り付け方式が正式採用機とは違っています。おそらくいずれは閃ハサ版の発売もあるでしょうが、既にそれらしい水色の機体はプレバンでギレンの野望Verとして発売されているので、閃ハサ版としてはまた少しどこか変えてくるのだと思います。
ひょっとしたら、幻の軽装型を出してくるのか・・
本当ならνガンダムと並べて見たかったんですが、行方不明だったのでサザビーと。
シャアの最後の乗機と並べてもこの威容・・
でも、結局総合性能だとサザビーのほうが優れてるんだろうなぁ。パイロットの技倆も加味すれば言わずもがな。
ペーネロペーの優位性は単体(というか合体状態)で空が飛べるということくらいですかね。宇宙空間だとただのでかい的でしょう。