我ここに立つ12-スイスのツィングリ登場
2019.10.29 02:39
さて国王達が欧州戦争をやっている間に、宗教改革は騒乱を呼んでいた。スイスでは、ルターよりももっと徹底した改革者が出た。ツィングリである。彼もやはり1519年に免罪符の批判の説教を行って改革に参加した。
彼はルターよりも聖書主義であり過激である。彼は信徒共同体が、教義や司祭を選択すると考えた。ミサで信徒に与えられる「聖体ホスチア」を単なる象徴と考えた。また聖書にないといって、聖画や教会音楽まで否定した。ルターは、社会の権力は、神が認めたものとして是認したが、ツィングリは、神の教えと違うなら変えてもよいと言った。ハプスブルクに逆らってきたスイスらしいといえばらしい。しかしこれは社会革命の容認である。
23年9月9日、チューリヒの聖ペーター寺院の待者が教会の内陣に侵入して、金銀で飾られた祭壇を打ち壊した。これをきっかけに、チューリヒやスイスのあちこちで、聖画、聖像破壊が行われた。これには、民衆を離れた贅沢をしているカトリック聖職者への反感があった。
翌24年には、聖像聖画撤去は、行政が主導して秩序だって行われたが、スイスは統一した政権ではなく、内部的には連合体であったため、カトリック地域との対立、さらにルター派との対立も起こることとなった。
下左はハンス・アスパー作ツィングリ肖像と右聖像破壊