文科省に送られた嘆願書と署名
10/28/19 文科省にTMT30メートル望遠鏡プロジェクトへの出資の見直しの嘆願書が日本のホアロハ(マウナケアを守るキアイ達のサポーター)達によって 文科省に届けられました。
日本やアメリカなど5か国がハワイ島に建設を計画している世界最大の望遠鏡について、地元の先住民系の住民から強い反対の声が上がっている問題で、28日、日本人の有志らで作るグループが文部科学省を訪れ、計画の見直しを求める嘆願書を提出しました。
この望遠鏡は、日本の国立天文台とアメリカなど世界4か国の大学などが、アメリカ ハワイ島のマウナケア山の山頂に建設する計画を進めていますが、先住民系の住民らから神聖な場所だとして強い反対の声が上がっていて、現在は計画が中断しています。
これについて28日、ハワイに住む日本人などで作るグループが文部科学省を訪れ、日本人を中心に8544人から集めた署名とともに嘆願書を担当者に手渡しました。
嘆願書では、ハワイ島には日本の「すばる望遠鏡」がすでにあることなどから現地での批判が強いなどとして、新たな望遠鏡の建設場所を見直すよう求めています。
そのうえで、日本が全体の予算の4分の1にあたる375億円を拠出する予定となっているとして、国内でも広くこの問題について議論するよう求めました。
グループのメンバーは「現地の住民の間では大きな問題になっている。日本の税金が使われることもあり、計画は見直してほしい」と訴えました。
文部科学省の担当者は「大きな問題だと捉えている。関係者が対応を話し合っているが、住民とも丁寧に話し合ってもらいたい」と述べました。NHKニュース
嘆願書の内容をご覧ください。
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アメリカ合衆国ハワイ島マウナケア山頂付近に建設予定の 巨大天文台TMT (Thirty Meter Telescope)の建設地見直しに 関する嘆願書。
*文部科学省の予算から出ているTMT建設への正確な出資額、出資計 画を公表してください。
有志一同
<TMTとは?>
ハワイ島の聖山マウナケア山頂には、現在世界11カ国13の天文台(日本のスバル天 文台を含む)がすでに乱立しているにも関わらず、さらにまた、地上18階、地下2階 建てに相当する巨大天文台TMT(Thirty Meter Telescope) が建設されようとしています。 超大型光学赤外線望遠鏡。口径30メートルの主鏡は、スバル望遠鏡の10倍の集光力 を持つ次世代の天文台で、ブラックホールや地球外生命体の発見を期待します。
このTMT建設費用は、アメリカ、カナダ、中国、インド、日本の5カ国が出資する ことが決定しています。全建設費用約1.4億ドル(日本円で約1600億円)のうち1/4の約4
00億円を日本が税金で賄う計画だと聞いています。この日本の出資額は五ヶ国の中で 一番多い額です。
**このTMT計画は、日本の国立天文台が参加を決定し、予算を文部科学省に 申請したものですが、国民への周知は十分でないです。税金がどのように使われ るかは日本国民が知る権利がありますので、日本の正確な出資額、出資計画を公 表してください。
<マウナケアと天文台>
1967年 ハワイ州により最初の天文台がマウナケア山頂近くに建てられる。 初めは一つだけ、という約束が、
1970年 アメリカ空軍 1973年 カナダ、フランスと次から次へと2012年までに世界11カ国13の天文台が地 元の反対、環境への懸念を押し切って建てられる。
マウナケアはもともとハワイ王国の土地であったが、アメリカに占領された後、 Hawaiian Homeland として、ハワイ大学、DLNR(Hawai’i Department of Land and Natural
Resources) の管轄になる。ハワイアンのために使われるべき土地、Hawaiian Homelandが 50年間にわたり、きちんと管理されなかった。
天文台が建てられている場所のリース代が年間1ドルであったり、許可なく天文台を建 て始め、建ててから許可を取ったこともある。
<マウナケアとTMTプロジェクト>
2009年7月 TMTプロジェクトが最初の建設候補地としてあげたチリではなく、マウナ
ケアを選定
2013年4月 TMT建設のためのハワイ・マウナケア山頂域保全地区利用許可(CDUP)を ハワイ州が承認
2013年5月 CDUP承認に対する訴訟が起こされる 2015年12月 ハワイアンを中心とする山を守る運動家たちの行動により、CDUPの承認
手続き差し戻しをハワイ州最高裁判所が決定 2016年2月 ハワイ州によるCDUP再承認手続き開始
2016年10月-2017年3月 CDUPに関する公聴会(44回開催されるものの、それに対し て何も策は行われていない。)
2017年9月 TMT建設のためのCDUPをハワイ州が再承認 2017年10月 CDUP再承認に対する訴訟が起こされる
2018年10月 ハワイ州最高裁判所がTMT建設のためのCDUPを有効と判断。 これにより建設にむけた法的手続きが完了
2019年6月 建設工事に必要な許可等の行政手続きが完了し、ハワイ州によりTMT現 地着工を認める通知が出された。
2019年7月15日 TMT建設工事のためマウナケアロードがハワイ島カウンティーにより 閉鎖され、ハワイアンを中心とするマウナケアを守る者たちがマウナケアロードに座り
込みを始める。
2019年7月17日 座り込みをしていた長老たち34人が逮捕される。IGEハワイ州知事は 非常事態宣言を発令。
ハワイ州は5億ドルを投じて事態の収拾にあたるが、進展せず、現在に至る。
<なぜ、マウナケアを守りたいか?>
マウナケアは、古代からハワイアンにとって神聖な場所であり信仰の対象でした。
ハワイ王国がアメリカ合衆国により制圧されたことにより、カホオラべや、他のたくさ んのハワイの土地はハワイアンの手が届かないところで勝手にアメリカ軍により利用さ れています。
マウナケアは、今、ハワイアンの民族としての象徴を担っています。
また、環境問題も一つの大きな問題です。 マウナケアは、ハワイ島の地下水源脈であるため水質汚染の問題、 ここに当たる風が変わることによる気象への影響(昔は万年雪だったマウナケアが今で は年に数日しか雪が降りません。)、 絶滅に瀕した虫がここには生息しているなど、環境への多大な影響も懸念されていま す。
TMTプロジェクトチームの方は、調査の結果、環境への懸念はないと発表されています が、これだけ大きな建造物が建てられ、それが稼働し、たくさんの重機、車が往復し、
環境へ影響がないはずがありません。また、過去にも油漏れ、火事などの事故も起こっ ていて、実際に土に汚染物が流れてしまった例もあります。
2021年4月までに今ある既存の天文台で使われていないもの2台、2033年まで にあと3台、計5台の天文台を撤去し、なるべく元に戻す作業が行われるそうですが、 全くなかった状態にすることはできません。すでに1番標高の高かった場所は整地のた めに削り取られました。 この撤去計画に関しましては、今までにも散々話し合いの中に出てきているのに、未だ に具体的には進められておりません。
また、TMT建設予定地はなるべく影響の少ない場所を選んだと言いますが、そこはマ ウナケア山頂で唯一手付かずだった場所であり、冬季は最初に雪が積もる場所でもあります。ここにTMTが建設されますと、ハワイ島中どこから見てもマウナケアの上には天 文台が見えることになり、ハワイアンの方達の気持ちを踏みにじることになります。
<現在のマウナケア問題>
日本では報道規制がかかっているのか、あまり報道されていませんが、このマウナケ
ア問題はハワイの民族運動とも重なり、ハワイでは、ここ100年にない大きな動きと なっています。 現在、世界中から多くの人たちがマウナケアの麓に集まり、平和的に山を守ろうとハワイ州知事に建設即時中止を訴えかけています。 アメリカ上院議員バーニーサンダース、数百人の宇宙飛行士のグループ、デカプリオなどハリウッド俳優をはじめ、世界的に各方面から、このマウナケアを守る運動を支持 表明する人が増えています。
私たちは日本人を対象にしたため、8000人の署名しか集められませんでしたが、英 語のサイトでは26万人の署名が集まり、ハワイ州にファイルされました。 ハワイ諸島を始め、世界各地で大規模な平和的行進が行われており、オアフ島では3万 人が集まりました。
TMTプロジェクトチームでは、マウナケアに建てられない場合に、次の候補地として アフリア大陸北西沿岸に位置するスペイン領カナリア諸島に建設可能か打診をして、受け入れ可能の返答をもらっています。
TMT 建設に参加している5カ国のうち、建設地をハワイ島マウナケアに1番固執して るのは日本です。現在、日本のスバル天文台がマウナケア山頂にあるため、人員などの便利性のため、そしてマウナケアの利便性のためだと思われます。
2015年に国立天文台TMT推進室宛に建設地見直しの要望書、署名をお持ちした時 に、マウナケアが如何に天文台建設に適しているかということはお聞きしました。
2019年10月20日、TMTプロジェクト副リーダーの岩田氏ともお話しさせていた だきました。
私の祖父、倉田主税は日本科学技術振興財団初代会長であり、退職金を全部投じて日立 科学技術財団を設立しました。 私たちは科学に反対するものではなく、TMTの重要性、マウナケアの重要性もよくわ かっております。しかし、今、高度成長時代が過ぎ、地球環境の重要性、多民族の尊重、 人権問題を考えた場合、これだけ世界が注目する案件をただ日本の利便性だけで推し進 めていいものでしょうか?
マウナケアに関しては、とにかく行き過ぎです。日本にいる方にはわからないと思いま すが、よその国の土地に、これだけの反対を押し切って、しかも日本は2台目の天文台 を建てるつもりか!と非難を浴びています。 私は日本人として、ハワイ島では非常に肩身の狭い思いをしています。
どうか、今一度、TMT 建設候補地を見直していただきたいと思います。 また、地元でこれだけの反対運動が起こっていることを含めて、この事実を国民に広く周知することは、文部科学省の義務だと思います。 私たち日本国民は、我々の税金の使用用途を知り、どのように使われていくか、意見を 述べる権利が守られるべきだと思います。
TMT をマウナケアに建てるべきかどうか、国民投票にかけていただきたいと思いま す。