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過去の出来事

南留別志72

2019.10.30 09:45

荻生徂徠著『南留別志』72

一 春は墾[はる]なり。秋は飽なり。夏はあつきなり。冬はひゆるなり。辛(から-し)は軽(かろ-し)なり。甘(あま-し、うま-し)は重(おも-し)なり。酸(す-い)は清(せい)なり。苦(にが-し)は濁(にごり)なり。


[解説]四季と味覚を表わす漢字の訓について、それぞれ別の漢字や和語を以て語義を説明したもの。「墾」は「開墾」といった熟語で使われることがほとんどだが、開も墾も共に「ひらく」という意味。このような同義の字を重ねた熟語を連文という。重言とは違う。春は田畑の土地を切り開いて耕すことから、春と墾は同義である。思想(どちらも「おもう」)、道路(どちらも「みち」)、以下、「金銭」「獲得」「児童」「根本」「均等」「勤労」「会合」等、日常的な言葉だけでもたくさんある。熟語を構成するどちらの字も同じ意味であるとともに、熟語として一つの意味としても使う。徂徠の説明には、このような漢語の知識を踏まえているものが多々ある。