普通の中学生
恐らく、世間一般でイメージされている「普通の中学生」は、
恐らく、「普通」の中学生ではない。
(いきなり、禅問答のようなことを書いてしまって、すみません…)
まあ、要するに、世間一般でイメージされている「普通の中学生」というのは、実際には「かなり優秀な中学生」のことであろう、ということです。
(偏差値でいえば、60台中盤以上といった生徒でしょうか)
例えば、社会人ならば、研修を受ける際に、相手の説明を聞きながらメモをとるというのは普通であるし、それが出来ないほうが少しおかしいというイメージでしょう。
(というか、ボーと聞いていたら、一昔前なら怒られたでしょうね。)
しかし、一般的な「普通の中学生」は、なかなか「聞く」という作業と、「書く」という作業を同時に行うことが出来ない。
私が学生時代、一番最初に塾講師としてバイトを始めたとき、研修で模擬授業を行いました。
模擬授業を終え、フィードバックを受けていた時に言われた言葉が非常に印象的でした。
「理想を言えば、僕が板書をするのと同時並行で、生徒には板書を写してもらいたいんですよ。メモをとるようなイメージで。」
という私の言葉に対して、先輩講師は、
「そんなの無理です。普通の生徒はそんなこと出来ません。」
とハッキリ言い切ったのでした。
私は、
「話を聞きながらメモをとるなんて普通のことなんじゃないの?」
「無理ってことはないでしょ。」
と思ったのですが、結論から言うと、私の「普通の生徒」という認識が、現実の「普通」とはかけ離れていたのでした。
しかし、実際に教えるようになってから、こういった「授業の受け方・聴き方」というのは、訓練次第である程度身に付けられるものだということがわかりました。
と、同時に、こういった「授業の受け方」が身についた生徒は、自動的に成績が上がるということもわかりました。
私は、講師として1年目から結果を出すことが出来たのだが、それは「わかりやすさ」や「教え方のテクニック」が優れていたというだけではなく、
生徒の「授業の受け方・聴き方」を常にコントロールすることを心掛けていたからだったと考えています。
確かに「普通の中学生」にとって、最初から出来ていることではないかもしれないが、かといって、ベラボーに難しいことを要求しているわけでもない。
「普通」のことが出来ない生徒が多いからこそ、中学レベルでは、一般的なイメージとしての「普通」が身に付けば、即「優秀」な人材と化すことが出来るのである。
「人の話をキチンと聞く」「指示通りに作業をする」「わからないことは質問して確認する」「遅刻をしない」といったことは、「普通」のことではあるが、「誰もが出来ている」ことでもない。
しかし、こういったことは、脳ミソのスペックとはあまり関係なく、本人の心掛けと周囲の環境からの要求によって、ある程度身に付けることが出来ることでもある。