御即位記念特別展「正倉院展」
御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」
会 期 2019年10月14日(月・祝)~11月24日(日)
会 場 東京国立博物館 平成館(上野公園)
聖武天皇・光明皇后ゆかりの品々が伝わる正倉院宝物。
毎年秋に奈良国立博物館で開かれる「正倉院展」で公開されていますが、天皇陛下の御即位を記念し、正倉院宝物を中心とした飛鳥・奈良時代の国際色豊かな造形文化に焦点を当てた特別展として、現在東京国立博物館でお披露目されています。
【東京国立博物館 御即位記念特別展 正倉院の世界 WEBサイト】
正倉院宝物は天平勝宝八年に光明皇后が聖武天皇の遺愛品を東大寺大仏に捧げたことに端を発します。本展にはその際の目録《国家珍宝帳》、教科書でお馴染みの《螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)》など、信じ難いほど貴重な品々が約四十点並びます。
正倉院は通常、外観の公開のみで中の宝物を拝むことができるチャンスは年に一度、奈良国立博物館での正倉院展となりますが、毎年長蛇の列な上、《平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)》など人気の品やお目当ての作品と出会える可能性は限られています。しかしこの秋、そうした品々が三十八年ぶりに東京にやってきました。
本展は、正倉院宝物と法隆寺献納宝物という日本を代表する文化財が一堂に会する稀有な機会です。また、令和元年の本年にこそふさわしい、日本文化を世界に発信する展覧会です。皇室が守り伝えたかけがえのない日本の美、今後も受け継がれゆく悠久の美を伺う展覧となっています。
正倉院とは、奈良県奈良市の東大寺大仏殿北北西に位置する、校倉造の高床式倉庫です。
元々は東大寺の倉庫でしたが、明治以降は内務省や宮内省などの所管となり、1908年には帝室博物館の主管となりました。現在は宮内庁の機関である正倉院事務所が管理しています。
そして今回、その正倉院が1260年の長きにわたって守り伝えてきた正倉院宝物約9000点のなかから、約40件が東京国立博物館にやって来ました。
正倉院宝物は、光明皇后が聖武天皇の遺愛品をはじめとする品々を東大寺大仏に捧げたことに由来しており(=天平勝宝8歳(756年)6月21日、聖武天皇の四十九日にあたり、光明皇后が亡き天皇の冥福を祈り、遺愛の品などを東大寺大仏殿に献納。後に献納された品も含めて現在の正倉院北倉に納められ、これが現在まで伝わる正倉院宝物の中心になりました。)、日本で製作された美術工芸品や文書類だけでなく、中国や東南アジアはもちろん、シルクロードを経由して西アジアから伝わったものも多く今回は正倉院宝物に加え、明治時代に法隆寺から皇室に献納され、後に国に移管された「法隆寺献納宝物」(東京国立博物館蔵)も、あわせて展示されています。
本展では、聖武天皇の遺愛品が献納された際の目録である国宝《国家珍宝帳》(756)や、その国家珍宝帳に記された20面の鏡のひとつ《平螺鈿背八角鏡》(8世紀)のほか、現存する唯一の五絃琵琶《螺鈿紫檀五絃琵琶》(8世紀)など様々な宝物が展示されています。
展覧会は6章構成で陳列されています。
第1章は「聖武天皇と光明皇后ゆかりの宝物」。正倉院宝物の中核で、《東大寺献物帳(国家珍宝帳)》に記された品々を中心に紹介されています。
第2章は「華麗なる染織美術」。正倉院宝物には膨大な数の染織品があり、唐で流行した華麗な唐花文の文様が数多く見られます。
(ただ、明治初期には染織の見本にするため、大久保利通が染織品の一部を切り分けて各地の博物館に送るという、今では考えられない事も行われています。)
第3章は「名香の世界」。仏教において香木を炊く事は、供養の一つでもあり、大寺院には法要で用いられる香木が保管されていました。「蘭奢待(らんじゃたい)」の別称で知られる香木は、足利義政、織田信長、そして明治天皇が一部を切り取った事で有名です。
第4章は「正倉院の琵琶」。琵琶はペルシア由来ですが、五絃琵琶はインド起源の楽器。華麗な装飾の《螺鈿紫檀五絃琵琶》は、正倉院宝物を代表する品として知られます。五絃琵琶は現在は失われてしまったため、《螺鈿紫檀五絃琵琶》が世界唯一の実物です。
第5章の「工芸美の共演」では、法隆寺献納宝物と正倉院宝物が並べて展示されています。法隆寺は聖徳太子が推古天皇15年(607)に創建。東大寺は聖武天皇が天平勝宝4年(752)に大仏の開眼法要と、やや時代は異なりますが、両宝物には同じ用途のために作られたものも少なからずあります。
第6章の「宝物をまもる」では、文化財の伝承について。正倉院南蔵と中蔵の一部は原寸大で再現されており、迫力たっぷりです。1260年以上にわたって、貴重な品々を伝え続けている正倉院。宝庫や宝物の修理も幾度となく行われ、現在はX線や赤外線カメラなども用いて調査・点検が続けられています。
会期は11月24日までと平成館で行われる展覧会としてはかなり短めです。
しかも前後期で大幅な展示替えがありますので、ぜひお見逃しなく。
前期:10/14~11/4
後期:11/6~11/24
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