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Nakabe Hiroshi

スバルとの再会 心温まる話

2019.10.31 22:37

 かれこれ7年前になるだろうか。私は、一匹の捨て犬の赤ちゃんを拾った。泥まみれのまるで濡れねずみのような。名前もなかった。こたつに電気を入れ、ホームセンターで買ったミルクをその子犬に飲ませてやった。

その子犬も私がけがをするまですくすく育った。犬の名は、スバル。辛いとき、悲しいとき、うれしいとき、怒っているとき、いつもよく話を聞いてくれる家族であり、友であった。病気をしてから間もなく、別れの日がやって来た。私は、いつ退院できるかわからない。二度と会うことも。おもいっきり抱いてやった。頭とのどをさすってやった。そして最後に「可愛がってもらうんやでスバル」と何度も何度も声をかけ、友人にスバルを預けた。

私は、その後も幾度と生死を分けた病が襲った。何度も何度も父母やスバルの夢をみていた。

辛い病院生活、心も体も自分の体でなかった。生き続けることも、死ぬことさえも許されない暗い長いトンネルに入っていた。

ある日、車椅子に乗る訓練を外でしていると遠い木かげに犬が見えた。懐かしいまだ幼い子どものころの面影が残るその姿を。走馬灯のようによみがえった。  涙が止まらなかった。心の底からあるだけの声と力を振り絞って「スバル」。一直線に。わき目もせずただ一直線に。枯れてしまっているはずの涙が止まらなかった。

「クンクン」とただ「クンクン」と。

私は、力をもらった。生きる力を。そして勇気を。

ありがとうスバル。