Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

武蔵野台地の湧き水復活を考える

台風19号後の石神井川③ 驚きの柳沢児童広場

2019.11.03 00:30


 青梅街道を抜けた西東京市内の石神井川の河川改修はまったく進んでおらず、上部に鉄の梁が等間隔で設けられた古い河道区間がしばらく続きます。

 その中でも目を凝らすと護岸から染み出す湧水が確認でき、こちらは青梅街道のすぐ上流部、

 こちらは柳沢1丁目付近の様子です。

 コンクリート護岸や鋼矢板護岸の方が、人工物の中に自然のものがあるので湧水を見つけやすいというのも皮肉なものですね。

 ちなみにこの区間の河床の様子はこんな感じで、やはり水草ではない草本が生えているところを水が流れているので、普段の流量は少ないことが伝わってきます。

 さて、西東京市内には大きな調整池が3つあり、その中で最も下流側にあるのが南町調整池です。

 富士見池と同じく石神井川の越流水を貯留する施設となっていますが、富士見池と異なり普段は水が無いので「柳沢児童広場」としてグラウンドとして利用されています。

 従って、南町調整池からの水路は普段はほとんど水が流れていません。

 ところが今回、石神井川と水路の合流点を見てみると、水が流れている様子が確認できました。

「まさか、まだ台風19号の際に越流した水が溜まっているのか?」

と南町調整池を見てみると、そこには完全に湿地化した児童広場の姿がありました。 

 周囲をコンクリート壁に囲まれた中に湿地が広がる様子はまるで谷津干潟を思わせます。ですが、ここは普段は子供たちがサッカーや野球をやっている広場です。

 しかし、いくら台風19号が凄かったとは言え、この水の量はおかしい。そこで、水面をよく見てみると、水の流れがあることに気が付きました。

 そして、その流れを上流側に追っていくと・・・泡がプクプクと出ている地点にたどり着きました。水が湧いているのです。残念ながら調整池の中には立ち入れないため、探し出すのには限界がありますが、私が見つけたのは調整池の北東部分。

 地図で見ると西武新宿線とも隣接し、さらにその北部には弘法大師標柱というのがあるのがなんだかロマンチック。弘法大師は石神井川流域では、貫井で湧水の池を作ったという伝説がありますしね。

 

 普段遊んでいるこどもたちからしてみたら、早く水が引いて欲しいと願うのでしょうが、河川や環境工学に関心がある身としてはこのまま湿地が永続的に続いて、工場跡地がヨシが生える湿地化したことからそのまま公園化した尾久の原公園みたいにならないかなぁ、なんて思ってしまったりします。

 とはいえ現在の石神井川の状況を考えれば、この湧水もいつまで続くかは分かりません。この幻の湧水がどれだけ湧き続けることができるのか、まずは見守りたいと思います。


 そして石神井川の流量はまだまだ豊富なまま上流へ。

 向台や芝久保の調整池がどうなっているのか、期待が膨らみます。