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おもちのきもち

実存について考えてみた

2019.11.05 15:11

 雲の隙間から 太陽が手を差し伸べるような朝

 枕元で うるさい目覚まし時計 昨日の夜の 僕の差し金

 お腹は空くし 眠くもなるし

 皿の上には 熱々のトースト



 ある朝 バターを 塗りたくられた彼が 僕に話しかけてきた

 「また会ったね これで何度目かな 君に会うのは」

 僕は言い返す

 「何を言っているんだ 僕の胃袋にあるトーストは 今の君ではないだろう」

 すると彼も 静かに言い返す

 「じゃあなんだい 今そこに座る君は 昨日の彼と同じとでも言うのかい」


 変なことを言うやつだな 僕は何も言わず 彼を口に運んだ

 貪った 貪った 犬のように シュレッターのように

 何か気にくわないことでも あったかのように


 跡形もなく食べ尽くしても 僕は満たされなかった

 綺麗に皿を洗っても 耳に残る彼の言葉

 同じなものか 今日の僕は 昨日とは違うはず 昨日とは違うはず

 昨日と今日と 何が違う?


通勤ラッシュの 電車のホーム 忙しない人混みが ブリキのように見えた

昼時の食堂 食券を買った 毎日変わるBランチが 粘土のように見えた

仕事ってなんだ 生活ってなんだ 僕は頭を抱えて それでも眠りについた


 翌朝 僕はまた トーストを焼いた

 今日は少し 焦がしてしまったな

 「やあ また会ったね」

 やはりトーストは 今日も話しかけてきた

 「さて 僕と君の違いはなんだい」

 答えることが できなかった


 昨日と違う今日を 願った僕

 でもその変化は たまに少し焦げたり 焼き足りなかったり その程度だ

僕は 毎朝食べるトーストと 何も変わらないのか


通勤ラッシュの 電車に揺られた スマホでインスタを見ては 拷問のように感じた

学校の授業 教科書を開いた 新しい課のページ読んでは 古い地図のように感じた

日常ってなんだ 勉強ってなんだ 僕は頭を抱えて それでも帰路についた


僕はわからなくなった 人間が 自分がわからなくなった

次のトーストに僕は聞こう

生きるってなんだ



翌朝 僕はまた トーストを焼いた

皿にのせて いくら待っても やつの声は聞こえない

僕は悟った これが生か