自分で作ったサービスについて頭の整理
本は強い。先人が考え尽くした知的好奇心の塊を文章という型にはめこみ、全人類に対して公開しているのだ。本を読んでいると、先人の想いやビジョン、アイデア、考え方、思想、文化を少しずつ感じ取ることが出来る。著者は、本と本気で向き合い、自分が伝えたいことを整理しつつ、丁寧に、熱を込めて書いてくれている。こんな心強く、楽しいコンテンツが他にあるだろうか。。。
ただ、本は溢れ帰り始めている。今までで国内で出版された本の数は何冊がご存知だろうか。77万冊(絶版を除く)である。そして毎年新刊書籍は約7万冊ずつ増えている。私たちは、本当にその77万冊の中から、自分が読みたいと思える本を発見できているのだろうか。もちろん、そんなわけがないのだ。今の私たちの本の見つけ方は2パターンのうちのどちらかだ。1つ目は、偶然歩いていてタイトルや書影画像で目に止まった本を手に取り、目次やあらすじを読み、本を読むかどうか判断する方法だ。2つ目は、友達や大学の先生、本や雑誌、メディアで"オススメ!"と言ってもらった本を読んでみる方法だ。しかし、まだまだ数十万冊ある本の中から最適な本を見つけることには限界がある。
そこで、私たちは第3の道を提案したい。それは、誰もが書店員さんになれて、紹介したい本を本棚みたいに(僕らはこれを本のプレイリストと呼ぶ)並べられてて、その個性あふれる本のプレイリストがオンライン上に大量に並んでいるオンライン本屋さんみたいなものを作ること。最近増えてきた個人経営の本屋さんは、カテゴリごとに本を分けるのではなく、書店員さんの独断と偏見によって決められた本が並べられている。これが予想以上に面白いのだ。え、この著者はこんな本を書いていたのかとか、確かに最近こんな本読んでみたかったんだよね、と思える本がずらっと並んでいる。これは、今までの本屋の並べ方として当たり前な"カテゴリ"の概念を無視して、ある一定のテーマごとに本が並ぶという独特な方法を用いているからこその魅力なのだ。例えば、先日できた渋谷スクランブルスクエアの書店にはこんな棚があった。
『空想の世界へ大冒険!』
1. はてしない物語 / ミヒャエル・エンデ
2. モモ / ミヒャエル・エンデ
3. タイムトラベル 時間の歴史を物語る / ジェイムズ・グリッグ
4. 時をかける少女 / 筒井康隆
5. ニューロマンサー /ウィリアム・ギブスン
海外の小説、日本の小説、そしてSF小説、そして科学史の本までと多様だ。しかし、テーマとしては一貫しているのだ。こんな本棚は、今までの本屋ではカテゴリが異なるせいで絶対に実現させることができなかったはず。
そして、私はこれをオンライン上で実現してみたい。人の主観による本のキュレーションで、色んなバックグラウンドを持つ人たちがシェアされるプレイリストたち。そして、オンライン上の本屋に足を運ぶ人たちは、個性たっぷりの本棚を眺めながら、読んでみたい新しい本を発見していく。。。どうだろう。
最初は、本屋に来るひとは、自由に本棚を探すこともできるし、興味あるテーマで絞り込んでから限られた本棚を閲覧することもできる。途中から、AIを使って、その人が次に読みたくなるような本を自動でレコメンドしてくれる本のプレイリストが登場したり、今まで読んだことはなかったけど、多分新しい発見できそうだね、という本が集まった本のプレイリストが登場するようになる。こうして、みんなが、新しい本に出会い、新しい知的好奇心をくすぐられる発見をして、物事を一歩だけでも深く理解できるようなきっかけを作りたい。そう。僕たちは世界に知的インフラを提供するんだ。