【Interview】苦しんだ経験が、言葉に血を通わせる(後編)──eyeron [ソナーポケット]
デビュー7周年を記念し“7つの挑戦”プロジェクトを進行中の3人組音楽ユニット、ソナーポケット。2016年3月20日、7つの挑戦のうちのひとつとして、7時間にもおよぶ公開生放送番組『ソナーポケット7周年企画7時間生放送〜“おもらし”してもいいですか?〜』がAmebaFRESH!で放送された。
この番組内で、2015年に走ることを始め、これまで二度フルマラソンを完走しているボーカルのeyeronさんに、“走ること”について語ってもらった。アーティストである彼が、ここまで走る理由はどこにあるのだろうか。
※番組内では「eyeronさんにNGワードを言わせる」というドッキリ企画として行われていましたが、本稿では、そのインタビュー内容にフォーカスしてご紹介します。
聞き手:田原"104"洋(MOBSTYLES), 上田唯人(走るひと編集長)
輝けたら“プラマイゼロ”
--eyeronさんは普段走るとき、音楽を聴いているのですか?
俺、いっさい聴かないんです。走る前に、気持ちを上げるために聴いたりはするんですけど、走るときは聴かないですね。音楽って、気持ちを軽くしてくれるって思うんです。だからこそ音楽を聴かずに乗り越えたら、もっと強い自分になれるんじゃないかって思って、あえて聴かないようにしてますね。
--音楽は最後のエネルギーなのですね。そうやって、アーティストとして強くなるために、なぜ走ることを選んだのでしょうか。
走ることは自分一人の戦いだから、メンタルが鍛えられるし、集中力も上がる。あとはやっぱりランニングは有酸素運動だから……ソナポケって、しっとりと聴かせるラブソングが多いイメージがあると思うんですけど、ライブではすごく走り回ったりするんです。苦しい場面で歌うこととか、結構あるんですよね。だから、体力とか心肺機能が上がることももちろんそうだし、これだけトレーニングしてるんだから、どれだけ動いても疲れないっていう自信がまた力になる。マラソンを完走できたことで、さらに自信が持てる。だから、自分が活動を続けるなかで、走ることが全部プラスになってるって思ってます。
あとは、苦しんだぶん、そのひとから発する言葉って本物になるから。俺自身、苦しむことが好きっていうのもあるんですけどね。ドMなのかもしれないです(笑)。ひとを応援するような曲とか、勇気付ける曲を書くときに、自分の経験を書いて歌うほうが、それが伝わる。だから、苦しくても、時間がなくても走るんです。
いろんなライブをしながら、いろんなひとに歓声をもらって……その瞬間、自分たちが輝いてるって思えるのは、ベースに苦しんだ経験があるからこそ。苦しんだぶん、輝けるってことがあるから、俺はプラマイゼロだと思ってるんです。だから、苦しいことはちゃんと苦しんでやる。本当は、マラソンとかも別にやらなくていいじゃないですか。「アーティストなのになんで走るの」って思うひともいると思うんですけど、やっぱり血の通ったメッセージだったり、血の通った言葉を出すには、自分がそういうことをやらないとだめなんです。だから、より本物に近づくためにも、もっともっと苦しいことを乗り越えていかなくちゃいけないって思いますね。
Photo: Imai Takashi/Text: Sasanuma Kyoka
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名古屋市出身の3人組音楽ユニット『ソナーポケット』のボーカル。ロック、ヒップホップ、レゲエと、それぞれルーツの異なる3人が生み出す音楽は、「恋愛」「友情」「感謝」といった普遍的なテーマを独自の強いメッセージ性で表現しており、幅広い世代の人々の心をつかんでいる。