「宇田川源流」<現代陰謀説> 中国の一帯一路に対抗するアメリカの代替案は米中貿易戦争にどのように影響するのか
「宇田川源流」<現代陰謀説> 中国の一帯一路に対抗するアメリカの代替案は米中貿易戦争にどのように影響するのか
金曜日は現代陰謀説の日である。まあ、すべてを陰謀に結びつける気はないし、そんな陰謀を語ったところで、全く意味はない。基本的に「陰謀論」というのは、思考停止であり、その陰謀に対抗する手段を持ったりあるいは、陰謀を止める力がない状況において、陰謀論を語るのは、昔の日本人が妖怪を語るのとあまり変わらない。「タブー視」という言葉があるが、まさにそのタブーの論理を、非科学的な妖怪でや幽霊ではなく、陰謀という手に届かない、なおかつ実感として遠い存在をあげつらってその話をしているだけのことでしかない。もしも本当に陰謀を語るのであれば、それを止める方向にまで話を発展させるべきものであり、そうでなければワイドショーのうわさ話や、幽霊に呪われて殺された人とあまり変わらない状態でしかないのである。
このように考えると、陰謀そのものには「根本的な対立」が存在し、その根本的な対立を利用した政治的または民族や宗教などの様々な内容での対立が存在することになるのである。それらの対立の根本を熟知し、そのうえで、その対立がどのような対立に発展するのか、「差別」なのか「経済戦争」なのか「虐待」なのか、あるいは「戦争」なのか、様々な内容を分け、そのうえで、そのカウンターがどのようになっているかを考えるべきではないかということがしっかりと考えられなければならないのである。
たとえば「ユダヤ人」と「欧州」の対立は、基本的には「差別」という方法が用いられており、その「差別」に対抗して、ユダヤ人は「経済力」で対抗している。この経済力を武力と虐待で奪おうとしたのがナチスドイツで、そこに対して、経済力を使って様々な国に影響のあるユダヤ人は、「戦争」という方法でナチスドイツを滅ぼした。
まずはこのような枠組みがあり、その枠組みに対して、その手段がどうなっているか、そしてその手段のための準備をどのようにするのか。誰と連携して仕事をするのかなどを解析すれば「陰謀」などというものはかなり少なくなる。
つまり「陰謀というような感覚」で物事を語ること自体が「それら民族や宗教の対立関係を全く見えていない」ということを自白しているようになってしまうのである。
では現代の対立関係ではどのようになっているのであろうか。
米、中国「一帯一路」の対抗代替案を発表 日本も参加
米政府はこのほど、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する代替案を発表した。日本の国際協力銀行(JBIC)が参加することが分かった。
米AP通信社によると、ロス米商務長官は5日、タイ・バンコクで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、グローバルインフラ開発の国際基準を促進する「ブルー・ドット・ネットワーク(Blue Dot Network)」計画を発表した。米国の海外民間投資公社(Overseas Private Investment Corporation、OPIC)とオーストラリア外務貿易省(DFAT)が、JBICとともに同計画を主導するという。
OPICが同ウェブサイトで掲載した声明では、ブルー・ドット・ネットワークの目標について、「公共部門と民間部門を結び付け、オープンかつ包括的な枠組みで、グローバルインフラ開発のために、高品質で信頼できる標準を促進する」と示した。
また声明は、「ブルー・ドット・ネットワークは、インド太平洋地域および世界中の市場主導型で透明性があり、財政的に持続可能なインフラ開発を促進するために、普遍的に受け入れられている原則と基準に基づき、指名されたインフラプロジェクトを評価、または認定する」とした。
長官とともに、ASEAN首脳会議に出席したロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、同計画に関して、「道路や港やエネルギーシステムなどのインフラ開発投資プロジェクトを評価するミシュランガイドのようなものだ」と述べた。
オブライエン氏は、ブルー・ドット・ネットワークは中国の「一帯一路」に対抗するものだと明言した。同氏は、中国当局の「一帯一路」政策の下で、「低品質のプロジェクトによって多くの国が債務トラップに陥り」、「主権が弱まった」国もあると批判した。
中国の国営銀行や国有企業が「一帯一路」の参加国に融資を行い、建設工事を担うことに対して、ブルー・ドット・ネットワークは、インフラ開発を必要とする国への資金供給を促すことに取り組むという。
AP通信によれば、ロス長官は同首脳会議において、トランプ米政権は依然としてインド太平洋地域を重視していると強調した。2017年、トランプ大統領が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱すると発表した。長官は「多くの人は、米国の同地域への関心が薄れたと誤解している。われわれはここに常駐し、より多くの投資を続け、二国間貿易を増やしていく」と話した。
同計画の名称は、米天文学者でSF作家であるカール・セーガン氏の著書『惑星へ』と、1990年に米無人宇宙探査機のボイジャー1号が撮影した地球の写真「ペイル・ブルー・ドット(Pale Blue Dot)」に由来する。
(翻訳編集・張哲)
2019年11月07日 大紀元
https://www.epochtimes.jp/p/2019/11/48856.html
現在の世界の枠組みとしては、「Gゼロ」といわれるように、「超大国」が存在しない状況にある。そのうえで、「アメリカ」「ロシア」「中国」「欧州連合」という大きなパワーが存在し、その欧州連合からイギリスが抜けて「コモンウエルス」を作るかどうかという枠組みになっている。そのような大きな政治的な対立がある中で、一方、「グローバルVSナショナリズムVSエスニシズム」という枠組みがあり、また、「イスラムVSキリストVSユダヤ」という宗教対立が存在する。またイデオロギー的には「民主主義VS共産党独裁VSイスラム型首長制」という対立が存在し、そのような対立状況を正確に読み取らなければならない。その対立は、例えば香港のデモのような民主化運動、それが過激化してアラブの春ように反乱やクーデターがあり、一方で軍拡競争があり、また核開発の競争があり、そのうえで、「経済戦争」がある。どの対立集団も相互に行われる可能性があり、その内容をいかに考えるかがかなり大きな問題になる。
さて、現在最もホットなものは、「ブレグジットにかかわるコモンウエルスと欧州連合の対立」と「米中貿易戦争」そして「中国におけるエスニシズムまたは民主化の戦い」ということになる。
その経済戦争の中に「中国の一帯一路というブロック経済及び中東における軍事力拡大覇権主義」をどのように治めるのかということに対して、アメリカやASEANなどが様々な方策を講じている。オーストラリアがコモンウエルスに移動するなどの話がありインド洋の勢力が拮抗しているのである。
さてそのような中でアメリカが「一帯一路に代わる経済連携」を作るという。つまり経済戦争が、米中の直接貿易ではなく、「米中の貿易先に対する影響力競争」に代わってくるということを意味する。つまり「世界経済戦争の幕開け」ということになるのではないか。
「ブルー・ドット・ネットワークは、インド太平洋地域および世界中の市場主導型で透明性があり、財政的に持続可能なインフラ開発を促進するために、普遍的に受け入れられている原則と基準に基づき、指名されたインフラプロジェクトを評価、または認定する」<上記より抜粋>
単純に、中国とアメリカの「サービス合戦」が始まるということになる。もちろん経済戦争でありインフラを投資したのちにその国との貿易が増額する、そのうえで経済的な依存性を高め実質的に支配するということには変わりはない。なお、港などのインフラにおいてそのシステムが存在する。アメリカはファーウェイを完全に排除、それに対して中国がグーグルやアップルを排除したのちに、このようなサービス合戦をした場合、当然に今まで汎用性が高いアメリカのシステムを使った方が利便性が高くなり、イデオロギー的にファーウェイを大きく信奉している以外は、そのような選択になる。もちろん相互乗り入れができるようにするのではあろうが、基本的に今後インド洋各国は、「中国化アメリカか、経済上の取引も選択を迫られる」という結果になるのである。
そしてその「選択」に従って様々な工作が行われる。そこに陰謀が隠される結果になるのである。