“Lost in Rome: ローマで迷子”
「すべての道はローマに通ず」All roads lead to Rome.
いつの日か訪れたいと願っていた街だったが、行く予定がなかったのにも関わらず気が付いたらいつの間にか辿り着いていた。
初めて訪れるローマ行きの電車の中で一人ポツンと座っていると、何やらイタリア語で話しかけられていた。私の方を見て話しているが、なんだろうと気にはなるものの少し疎ましくさえ感じていた。
電車から降りる際に、隣の席に座っていたイタリア人らしき3人から肩の上をポンポンと叩かれ一生懸命話しかけられているのだが、何を言っているのか理解できなかった。一言だけ理解できたことは私を励ましてくれているようなこの言葉でした。「。。。ベラ、バベーネ」私の拙いイタリア語の解釈では、おそらく「、、、、あなたは美しい、大丈夫よ!」その時の私は、南イタリアに3か月滞在するつもりで渡航したにも関わらず3日で断念して意気消沈していた。電車で号泣するアジア人を見て声をかけてくれたのだと思う。ケ・ジャンティーレ!(なんて優しい!)
しかしローマの街は、温かくは迎えてくれなかった。
ローマの玄関口であるローマテルミニ駅は、昼夜を問わず治安が悪く現地の人でさえも少し敬遠する場所である。真っ昼間に到着したにも関わらず、いろんな人がこぞって声をかけるフリをしてスーツケースやバッグをスる機会をうかがっている。
「今日泊まる場所は予約したかい?」
「よう、君中国人?ニーハオ?遊ばない?」
「君、かわいいね!今日の夜は暇かい?」
こんなことはパリに留学していた時にも日常茶飯事だったのでこの手の「勧誘」には慣れていたつもりだったが想像以上だった。
それよりも、、、、衝動的に来てしまったために泊まる場所がなかった。あてもなく市街地までスーツケースを押して歩くが、自分がどこにいるのかさえもわからなかった。
そしていつの間にか町並みに見惚れて迷子になったことを楽しんでいる自分がいた。
しかしそれも束の間、我に帰り見知らぬ街で言葉も分からない街で迷子になっている現実を突きつけられて途方に暮れた。
携帯の充電が切れていた為、どうやって宿を探そうか考えていると目の前からいかにも現地人の男性が歩いてきていたので思わず声をかけた。
慌てている私を見兼ねて今夜泊まれそうな場所を一緒に探してくれた。「ローマで宿を予約せずに来るなんて君は何を考えているんだ?ここはそんなに安全な街じゃない。友達がホテルに勤めているから安全で予算に合う部屋をネットで一緒に探そう。それか僕の家に泊まってもいいが、奥さんに電話してみるよ」と提案してくれた。見ず知らずの人の家に泊まるのはさすがにどうかと思い、ホテルを一緒に探して欲しいと頼んだ。その後その友達も合流して、部屋を予約してくれた上に土地勘のない私を滞在先まで見送ってくれた。その人たちとはここでお別れ!彼らがいなければ私はどうなっていたのだろう。今でもこの恩は忘れない。
滞在先のホステルのオーナーは気さくで優しかった。朝からご飯を食べていないと話をしたら一緒に食べようとご飯を振る舞ってくれた。オーナーは男性で50代半ば、お母さんと一緒にホステルを経営していた。いろんなところに旅をしていて旅行した場所の話しをしてくれた。
自業自得にもかかわらず親切にてくれた方々のおかげで救われました。
たまたま通りがかった人が親切で、そのまた次に出会った人も親切で人の優しさを身にしみた旅となりました。
Treasure every encounter as it may not come again.「一期一会」
この言葉を胸に刻んで人生を歩んで生きていきたい。
Thank you!
To Emanuel in Rome, grazzie mille!