最速自転車その2
昨日の続きです。
ちょっと自転車乗り目線のお話を。
たった2日間で車体にカメラを取り付けたりスタート練習をしたりしただけで、迎えた本番。1週間続く大会でも、気象条件の影響などで、計測中止になったりして、計測できたのは確か3回だったかな?
その割には!
結果はみなさんご存知の通り、良い車体のおかげでいい記録が出たと思います笑
そう、いい車体のおかげなのです。よくあんなにも攻めた設計の車体を一発で作ったものです。普通、作れませんよ。
とにかく時間がなかった。サドル高とか一切調整できないんですが、一発で良いポジションを作ってくれました。クランク長さもQファクターも超コンパクトな一点もの。
リカンベントは仰向けに寝そべって自転車を漕ぎます。
なので、普段のロードとは全く違った体の使い方をします。ロードは上半身を揺らしたり立ち漕ぎしたりできますが、リカンベントは姿勢が固定されているので、どうしても脚の力だけで踏みこむ感じになります。ペダルに脚の重みを載せられません。
ウェートトレーニングでやるレッグプレスみたいな?
なので、それに合わせたトレーニングも多少はしていましたが、本業のロードと掛け持ちのためなかなかトレーニング時間が確保できませんでした。車体自体がギリギリまで完成してないし笑
協力していただいたWalkrideの須田さんのお話では、リカンベントは身体の向きとクランク位置がロードと違うことも影響して、ペダリング効率がロードより格段に良いらしいです。
そう、「効率は」良いんです。
効率が良くても、そもそものパワーが出ていなければお話にならないので、本番をイメージしてトレーニングをしていました。ロードとは全くベツモノの乗り物なので、パフォーマンスを出すのは難しいと感じました。
普段自分がもっとトレーニングしていればもっと良い結果が出たと思います。
実際のところ、本番でも計測回数を重ねるほど良い記録が出ました。
背もたれの反力を使って上半身はリラックスさせて思いっきり踏み込むのと、腸腰筋を意識して脚を思いっきり引きつけることだけを意識すれば、パワーが出せますが、立ち漕ぎができないので、瞬間的なパワーは出しにくいと思います。ロードでは出せる1000ワットとかも、リカンベントを使った本番では出ませんでした。あと特定の脚の角度で踏まないと、ボディに体が当たります。頭、肩、腕、骨盤がボディに当たって全く身動きできないほど狭い車内です。
逆に時速70kmくらいのペースだったら200ワットくらいで維持できるので、ずっと走り続けられますよ笑
リラックスして直線を走るだけなら最高の乗り物です。このくらいのスピードになれば十分な空気も車内に入ってきて息苦しくもありません。
コースは長い直線道ですが、5分くらいで走り抜けます。
スタートは、ロードでいうとアウタートップよりも重いギヤなので全力で笑 筋トレしてるみたいな感じ。
そして、ハンドルでバランスを取るのが難しいので、すぐにスピードを上げないと転びます。実際、本番でも転んでしまいました。。。
一度転ぶと、車体に傷がついて空気抵抗が増えてしまうんです。。。傷がなければあと3km/hは上がったかなぁ。。。自分の責任だからなぁ悔しいなぁ。
そして、無事スタートして車体が安定してからはFTP付近で走り続けます。するとどんどんスピードが上がっていくのでそれに合わせてギヤチェンジしていくイメージ。途中から出力を上げていって、ラスト1.5kmからはもう全力です。たまに吹く風に煽られて転ばないようにバランスをとりながら全力。最後の1分くらいを全力で走っている気持ちでした。計測区間のラスト200mに突入することにはもう限界でタレ初めていますが、勢いがついた車体はスピードが落ちないので、この方が記録が伸びました。あとで走行データを見ると、最後は出力が下がり始めてもスピード自体はまだ加速し続けていたんです。
テレビ放送では映らなかったマイナートラブルも色々とありましたが、全て現地で解決してもらって最後は力を出しきりました。結局、上手く走れたのは最後の一回だけでした。
まぁまぁの記録が出て一安心という気持ちと、あと3回くらいチャレンジできたらなぁという悔しさで、僕の夏は終わりました。
しかし、本番用の車体で初めて走ったときに何度もなんどもスタート練習に失敗して、そのときのNHKと車体制作のみなさんのめちゃくちゃ不安そうな顔は今でも忘れられません
プレッシャーだったなぁ笑
そして、大会が終わった時のみんなのホッとした笑顔はもっと忘れらません。
今年も違う人が昨年と同じ車体を使って日本から出場するらしいので、良い記録を期待しています。初期不具合は去年出し切ったハズですし!笑