横浜ヒストリックカーデイに行ってみて
11月9日土曜日に始めて横浜赤レンガ倉庫広場で行われた「横浜ヒストリックカーデイ」にモーリスマイナー1000を展示しました。
3ヶ月まえに購入したこのクルマは、私の生まれる前に製造され、英国車として世界で始めてミリオンセラーとなった大衆車。
エンジンはたったの1000cc。クーラーもなく、カーステレオもない。窓はボタンでなくハンドルをくるくる回し、もちろんステアリングも重い。どこもかしこも時代遅れの機能を備えた昔のクルマ。
ウチの家にはもう一台。発売から60年を迎えるミニというクルマもあり、現代車が一台もありません。
■そのクルマが持つストーリーが魅力
仕事では電車やバスを主として使い、これらのクルマは私と家内の趣味。
当時このクルマが製造された理由や、そのコンセプト。また、日本に来た経緯や前オーナーが手放した理由。そんなストーリーがついてくるヒストリックなクルマです。
そこに魅力を感じ、全国であるヒストリックカーのイベントや、ツーリングに参加して、オーナーの話を聞くのが、私たち夫婦のプライベートライフになっています。
■プライスレスな物語がある
ずっと長く乗りつづけるオーナーは、維持のため人間のような環境を用意する人もいます。
もう製造されておらず、中には日本に1台しか現存しないクルマもあるため、まるで子供ように大切にピカピカで元気な状態を維持する。当然それには手間がかかります。だからこそ愛着が生まれる。
維持やトラブルの苦労は、すべてのそのオーナーの思い出。
プライスレスな物語があるのです。
だから、そう簡単には手放せません。
市場に出回る台数も当然少なく、中には数億円もする高級車まであります。
■生きる元気に
このクルマを維持するために働き、このクルマが維持できる場所へ住いを移す。
面倒が見れる修理工場(我々は主治医と呼びます)を探し、付き合うほど親戚のような深い関係になるケースも少なくありません。
そこで生まれるひとつひとつの経験も私たちの宝物です。
今は、写真を撮りSNSで共有しあうことで、仲間の絆や大切に思う度合いも増す時代になりました。
いろんな苦労があっても、維持するために頑張る。
オーナーのストーリーを知り、また、元気になってい行く愛車に。
私たちは生きる勇気をもらいます。
■承継という大きな課題も
ただこのクルマを誰が引き継いで維持してくれるのか。
そんな承継問題を抱えています。
自動車保険会社の査定では、それほど価値を持つものではなく、仮に事故を起こしても元の状態に戻すには持ち出し覚悟。それ以上に部品は入手できるかの心配もあるクルマ。
それだけに、大切にしてくれる人に譲りたいと思うオーナーばかり。
実は私の車もその例。
免許返納を済ませたご年配から、今までのこのクルマへの愛情を私が引き継ぐ約束で購入したものでした。
継ぐ人がいなければ、存在は途絶え、ただの鉄の塊として世の中から消えてしまうだけ。歴史だけが残る寂しい結果になってしまう。
まるで会社の事業承継と同じ。
今回は、アジアではクラシックカー人気が増す傾向にあり、投資対象になり海を渡ることを嫌い、どこかの博物館にでもという会話もありました。
私もあと何年乗れるか、あと何年今の仕事ができるか。いつにも増してそのことを考える良い機会にもなりました。
歳を取るのは本当にイヤですね。