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「かゆみ」コラム 〜愛知県春日井市 みやこ内科クリニック〜

気候によってアレルギーの順番が違う??

2019.11.15 02:08

気候によってアレルギーの順番が違う?

寒暖差が激しく、あれ日本ってこんな気候だったかなと思う日が続いていますね。

2019年11月23日の日経新聞の記事

10年前の夏は何月から何月でしたか?というアンケートをしたら。

6月下旬から7月中旬に始まって、8月中・下旬に終わる。

およそ50日くらい。20代から60代まで差がなかったそうです。

今は?という質問をすると。

6月上旬・中旬に始まって9月中旬・下旬に終わる、およそ100日になったそうです。

東洋経済の記事に昔より断然暑いとわかりやすい画像もありました。

記事はこちら→東京の夏が昔より断然暑いという裏付け

論文を探していると、気候によってアレルギーの順番が違うという記事を見つけました。


熱帯気候のアレルギーの特殊性

Allergic diseases are distributed worldwide and their risk factors and triggers vary according to geographical and socioeconomic conditions.

和訳と要約

「アレルギーは世界中にあり原因や引き金は地域や社会状況によって異なります。」


In the atopic march the symptoms often appear in a particular sequence starting with atopic dermatitis (AD) as the first manifestation of allergy in an infant, followed by food allergy, seasonal or perennial allergic rhinitis and finally asthma at late childhood.
In the Tropics, an observational study in the birth cohort FRAAT (Risk Factors for Asthma and Atopy in the Tropics), conducted in Cartagena (Colombia), revealed that none of children in the follow-up developed AD during the first two years of age, but 38 % of them have had wheezing and 15 % were recurrent wheezers.

和訳と要約

「アトピーの症状は、幼児期に皮膚炎、そして食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、喘息が現れます。

熱帯地方のコロンビアのカルタヘナでは、幼児期の2年間でアトピーの症状はなく38%で喘鳴が見られ、15%が再発性の喘鳴でした。」


皮膚炎、食物、鼻炎、そして喘息と進むのに対して。

熱帯地方では、いきなり喘息のような呼吸器の症状から出る。

熱帯地方はアトピーはないのかと考えたら次のような記述が

In summary, the climate, cultural and socioeconomic conditions in the Tropics facilitate an environment for the development of allergic diseases.
Although socioeconomic conditions and particularly hygiene are modifiable risk factors, temperature and humidity levels are more constant and very appropriate for mite growth.


The consequence of mite allergen exposure throughout the year is, probably the most important particularity of the Tropics with regards to allergy.

和訳と要約

「熱帯地方の文化や社会状態はアレルギー症状を引き起こしやすい。
温度と湿度が一定でありダニの成長を促進します。年間を通してダニがアレルギーの原因になという結果は、熱帯地方の特徴である。」


アトピーは少ないかもしれないけど、ダニの影響を年中受けている。

ハウスダストの状態ですね。

その影響なのか、喘鳴の再発率は温帯気候よりも高くなっている。

The progress and severity of asthma is influenced by helminth infections.
It is more frequent in urban areas where helminths are less prevalent and with lower parasitic load.

和訳と要約

「喘息の進行と重症度は、腸内寄生虫の影響を受けます。

寄生虫の感染率が少なく、寄生する可能性が低い都市部で頻繁に発生しています。」


寄生虫がいない場合、喘息が起こっていない。

寄生虫がいますからね、他にも皮膚炎が起こっていないけど真菌の感染などがある。

衛生に配慮した寄生虫が少ない都市部では、喘息が起こっている。

環境的にダニが多く年中暴露しているので鼻炎が多い。


環境の変化でアレルゲンが変わる可能性

このところ日本も暑い期間が長く、そして湿度が高い状態。

熱帯気候ほどではないですが、ダニが繁殖しやすくなる可能性もあります。

アレルギー疾患は何が引き金になるのかわからない。

目に見えない環境の変化が起こっていて。

今まで大丈夫だった人が、急に反応してしまう。

そんなこともあります。

あれ、急に鼻水がとか咳が出るなって思ったら。

環境が変わってアレルギーを起こしている可能性があります。

鼻炎になると気道を塞いで、風邪やインフルエンザなどの感染症になりやすくなったり。

咳は体力を奪ったり、さらに他の人に「病気うつさないでよ」って相手の気分を害してしまったり。

こんなこともあるので、アレルギーがなかったとしても。

環境の変化で起こる可能性がありますので、変だなって思ったらかかりつけ医に相談しましょう。


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今回の引用論文及び文献

(1)Particularities of allergy in the Tropics(海外論文サイトへ飛びます)

日本語題:熱帯地方におけるアレルギーの特殊性

著者:Luis Caraballo,corresponding author Josefina Zakzuk, Bee Wah Lee, Nathalie Acevedo, Jian Yi Soh, Mario Sánchez-Borges, Elham Hossny, Elizabeth García, Nelson Rosario, Ignacio Ansotegui, Leonardo Puerta, Jorge Sánchez, and Victoria Cardona


(2)東京の夏が「昔より断然暑い」決定的な裏づけ

著者:萩原和樹 東洋経済