新刊入荷のお知らせ 20191115
今回の新刊入荷のリストです。
・『ゲンロン10』編集長 東浩紀
・『西周と「哲学」の誕生』石井雅巳
・『出逢いのあわい』宮野真生子
・『数学の贈り物』森田真生
・『遊びを育てる』野村寿子
・『胎児のはなし』増崎英明 最相葉月
・『わたしの服の見つけかた』クレア・マッカーデル
・『なぜオフィスでラブなのか』西口想
・『選んだ理由。』石井ゆかり
・『どこにでもあるどこかになる前に』藤井聡子
・『うしろめたさの人類学』松村圭一郎
・『人生、行きがかりじょう』バッキー井上
・『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』若林理砂
・『マンガ家になる!』さわやか+西島大介(編)
・『おなみだぽいぽい』ごとうみづき
トランスビューさんとミシマ社さんからの入荷でした。
今回は人文系とエッセイを比較的多く選びました。
いくつか簡単に紹介します。
①『ゲンロン10』
批評家・東浩紀さんが編集長の雑誌『ゲンロン』です。
今号で小特集を組まれている座談会「AI研究の現在とSFの想像力」(長谷敏司+三宅陽一郎+大森望)は、株式会社ゲンロンのイベントでネット上でも中継されました。まったく知識はないんですけれども面白そうだったので私も視聴しました。都市型AIの話が現実での運用とSF作品での扱われ方などを知れてとても興味深かったです。
②『西周と「哲学」の誕生』と『出逢いのあわい』
・『西周と「哲学」の誕生』(石井雅巳)
幕末から明治にかけて活躍した思想家・西周の入門書です。
哲学者、翻訳者、官僚と様々な顔がある人物。「哲学」という訳語を作ったのも西周だそうです。
「西周は軍国主義のイデオローグではないか?」などの批判に応えながら、西周の仕事を検討した内容になっています。良い入門書だと思います。
仕入れてから気づきましたが、著者の方は1990年生まれで私と同い年です。
大学院時代はフランス哲学を専攻。その後地域おこし協力隊として島根県津和野町(西周の出身地)に赴任し、町役場の西周顕彰事業担当として勤務。明治期日本の哲学や思想に精通していなかったため、地元の郷土史家や地元大学の西周研究会の先生から教えを請いつつ、一から手探りで事業を進めたと、あとがきで書いています。こういう出会いの仕方おもしろいですね。
・『出逢いのあわい 九鬼周造における存在論理学と邂逅の倫理』(宮野真生子)
今年亡くなられた九鬼周造の研究者、宮野真生子さんの著書です。
先日入荷した『急に具合が悪くなる』(宮野真生子・磯野真穂)でも九鬼周造の(偶然の)哲学への言及が度々ありました。(『急に~』は私も読みました。)
九鬼周造の哲学をより深く知りたいと思って仕入れてみましたが、さすがに硬い内容ですね。『急に~』の方が、宮野さんの具体的な実体験に即して「生きた哲学」として語られているので読みやすいです。
『急に~』の中で宮野さんが「不運=不幸」ではないんだという話をしていたのが印象に残っています。まだ読後の余韻が続いていて、自分が不運に見舞われた時に果たして不幸ではない人生を歩むことができるのかとかつい考えてしまいます。ともかく、「偶然性」について論理的に考えるってとても難しそうなイメージがありますけど、一体どのように論じられているのか気になる本です。