ブッチ・ヴィグ #1 / 時代の音を作ったプロデューサー
今回からご紹介するのは、まさに「90年代のサウンドを定義した男」、Butch Vig / ブッチ・ヴィグです。
派手さを競った80年代
MTVという革新的なフォーマットの登場により、無数のヒット曲が生まれた80年代。
ポップミュージックシーンでは、マイケル・ジャクソンやマドンナ等、その後伝説となるアーティストが次々にチャートを賑わせ、またロックバンドも派手なステージプロダクションを次々に繰り出した時代でした。
強烈なアンチテーゼ
数多くのハードロック / ヘビーメタルバンドが派手さを武器にMTVからブレイクし、世界中でツアーをしまくっていた90年代初頭。
そんなシーンにあって、まるで自宅のガレージで友達と演奏しているかのようなラフな服装、時代にアンチテーゼを叩きつけるかのような生々しいサウンドを提示したのがNirvana / ニルヴァーナでした。
この"Smells like teen spirit" は世界中のラジオを席巻し、この作品をプロデュースしたブッチ・ヴィグも一躍脚光を浴びるようになりました。
また、同年1991年にブッチがプロデューサーを務めたSmashing Pumpkins / スマッシング・パンプキンズの"Gish"と合わせ、グランジの代名詞とも言える2作品にかかわったことで、ブッチはプロデューサーとしての地位を確立します。
このようなパンクの激情をベースに、<ノイジーでヘビーなギターサウンド+ダークでシリアスな歌詞>というフォーマットは「グランジ」と呼ばれるようになり、それを包括する形で「80年代的なロックに当てはまらないスタイル」は「オルタナティブ・ロック」とまとめられました。
Garbageのドラマー
ブッチの存在をよりユニークにしているのが、自ら結成したバンド・Garbageのドラマーとしての顔です。
95年のファーストアルバム以降、毎回まさに「オルタナティブ」で実験的なサウンドを世に送り出しています。
知的で穏やかな印象のあるブッチですが、Garbageのライブではボーカルのシャーリーを煽るかのように、非常に力強いドラミングを披露しています。
オルタナティブの次へ
以前オルタナティブと呼ばれたロックがもはや時代のスタンダードに定着した2010年代。
ブッチはこの10年間で、また現代を代表するようなロックバンドを次々にプロデュースしています。
Foo Fighters /
Sonic Highways
元ニルヴァーナのドラマー、デイヴ・グロール率いるロックバンド・Foo Fighters。
2014年のアルバムSonic Highways は、デイヴがアメリカ8都市を回りながらその土地でインスピレーションを得て、地元のアーティストを起用し、各々の街でレコーディングをしていくというユニークなコンセプトの下で制作。
その様子はドキュメンタリーとしてTVで放送されました。
Green day /
21st Century Breakdown
若さと勢い、良い意味のバカっぽさを武器にしていたこのバンドが、こんな壮大でシリアスなテーマの作品を作るとは…と思わせるような一作。
なんと経済危機・環境問題等を扱ったコンセプトアルバムです。
個人的には、彼が携わった作品のサウンドは大好きなので、今後のブッチにも注目しております。
そんな名プロデューサー、ブッチのインタビュー要約を次回以降お届けします!