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『 白銀の墟 玄の月』感想(11)阿選は何故謀反を起こしたのか【真相】

2019.11.18 14:00

敵役の阿選を表紙にしてしまう心意気、好きっすわ(笑)



でも、表紙を飾る阿選がまさかここまで堕ちてしまっていたとは、本当に、本当に悲しい…(T_T)


しつこいですが、私としては阿選は本当は味方だった説を切望しておりました。。1,2巻の阿選麾下がみんな好漢だったからです。


束ねる人間の性質に、集まってくる人間も似通ってくる場合がほとんどで、というか絶対そうだと思っているので、麾下がみんな良い奴なのは、阿選が良い奴だからに決まってる、と思ってました。


そして、実際に阿選は驍宗と並び称される傑物だったのです、間違いなく。


でも、ほんのわずかな違いから、最悪の殺戮者にまで転がり落ちてしまうというこの顛末。



あまり関係のない話かもしれませんが、昨今悲惨な事件事故が多く報道されている中、人間、最後の最後まで気を引き締めておかなければ、いつ転落するか分からないなぁと、自分のことのように恐ろしく感じています。


僕はもちろん、阿選のような傑物ではありませんが(笑)なぜこの人が?という人物が恐ろしい事件や事故を起こしてしまうことが実際に起こるからです。

自分はいつも間違ったことはしていない、するつもりもない、と思っていても、果たしてこの長い人生、道義に反するような間違いをおかさずに全うできるのだろうか。


小野先生はもしかしたらこういったメッセージを込めているのかもしれませんね。



とまあ、自分の身に置いて考えるのもこれくらいにして、今回は阿選の思惑を考えていきましょう。



ネタバレ注意!



感想(9)と内容が被るかもしれませんが、ご了承ください。




まず、3,4巻でようやく阿選の心情が描写され始めますが、


驍宗と泰麒の二人とも所在不明となることは阿選にとっても不慮の事態だった様子。


本来、驍宗を函養山に閉じ込めて定期的に養って生かし続けるつもりだったようです。しかし、烏衡の身勝手な行為と狸力の断末魔の凄まじさは目算を外し、一切の連絡は取れなくなる…


泰麒の方も、本来は角を封じて自分の後ろに侍らすつもりだったようですが、蓬莱に逃げてしまって消息不明。



阿選にとっては完全に自らの身の保証ができないまま、朝を動かさざるを得なくなりました。



阿選は何故謀反を起こしたのか。


これは1,2巻では予想しかできませんでしたが、3,4巻で阿選の思いが詳細に語られたことで分かってきました。



嫉妬ではない。


これは何度も繰り返し語られています。


逆に、周囲の者は皆、嫉妬だと思っているようです。琅燦すらも。


唯一、泰麒だけが「貴方はそんな方ではないと思います」と言い、驍宗に対する妬みを否定します。



嫉妬よりも暗黒。


阿選は、驍宗が王になることにより自分が驍宗の影になってしまうことに絶望を感じています。


どんなに頑張っても驍宗を超えることはかなわず、周りから常に「驍宗なら…」と揶揄され続け比べられ続ける。

驍宗の治世が続く限り、何十年、何百年と続きます。…確かに地獄ですね。


さらに、謀反を引き起こした後も驍宗の影は色濃く阿選を苦しめます。

時が経つにつれ、阿選の謀反が明るみになってくると、当たり前ですが周りは阿選に対して否定的、ならまだしも、声高らかに批判し始める者もあるでしょう。


阿選は二の句も告げないはずです。なぜなら真実だから。


結局、力ずくでそういった反阿選の人間を排除していくしか手立てがなくなり、阿選自身も、そんな己の過ちを理解しながらも後戻りできない状態になっていく…


行く先は本当の暗黒だよ…(;_;)



この歪んだ言動はどこから始まっていたのか。

それは感想(10)でも少し語りましたが、驕王治世、二人が王師で競い合っていたときのことでした。




決定的になったのは驍宗が功を投げ捨てたとき。出撃を辞退して軍を辞し、仙籍を返上して、只人となって野に下ってしまった。

王の命により喜々として功を取りに行った自分に対して、功を捨て道義を取った驍宗に、阿選は身の置き場もない羞恥を感じた。自己への嫌悪と怒り。そして驍宗への憎悪がこのとき生まれたのだ、



と阿選は振り返ります。


阿選はこのとき、ライバル視していたのは自分だけで、実は驍宗は阿選など歯牙にもかけていなかったのだろう、と自分を卑下するのですが、琅燦は「誰がそんなことを言ったんだ?」と一蹴します。



驍宗は阿選のことを常に意識していた。



これもまた事実のようです。


そして琅燦はこんなことも言っています(だいぶ端折ってます)



二人はどちらがよりましな人間かを競っていた。

驕王の寵や地位や名声はそれを目に見える形で明らかにするために必要なもの。しかし、阿選はそのうち、何を競っているのかを忘れてしまい、より重用されより高い地位を欲してしまった。

驍宗は何を競っていたか、それを忘れなかった。




阿選もそれは気づいていました。だからこそ、身の置き場のない羞恥を感じたのです。



阿選は驍宗を陥れましたが、本当に憎かったのはおそらく自分自身ですね…



驍宗と並び称されるほど優れていたはずなのに、驍宗にはできて自分にはできなかったことがあった。そんな自分を誰よりも何よりも憎んでいる。その激情を、結局驍宗へ、驍宗を選んだ泰麒へ、泰麒に選ばせた天へと向けるしかなかった、ということなのでしょう。


阿選は天に対する復讐を誓います。



悲しいいいいいああああ(ノД`)シクシク


誰か救いの手をおおおお


って思うけど、もう後戻りはできないよなぁ。これだけの人々を苦しめてしまったのだから。


たくさんの有能な麾下たちも周りにいたのに、結局誰もこの暗闇から救い出せる人は側にいなかった、というべきか。

いや、本来、人とは皆孤独だから、自分を諌め高みに昇るか、もしくは下り落ちるか、それは自分自身にしか選べないんだろうなぁ。



深いなあ。小野先生ええ…(;_;)



小野先生のすごいところは、決して美談にしてまとめあげないところではないかと思っています。



あえて答えを出さない、というか。


非常に難しい問題、答えの出せない難題をあえてコロンと物語の真ん中に持ってきて「どうだろう」と眺める、というか(笑)



おかげでめっちゃんこ考えさせれる読者Aですwww




ところでさー、


この暗闇に墜ちていく阿選を、実際に行動に移させた人物がいますよね。


そう、


琅燦…!!٩(๑`^´๑)۶


もう幾度となくデカ文字で名前を叫んでいるんだけど、琅燦、アンタ!!一体何を考えているんだってばよ?!


次はもう琅燦についてわかったことを語り尽くしちゃうわよおおお!