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NPO法人こおりやま子ども若者ネットワーク

2019.11.12車座会議レポ

2019.11.17 11:51

こんばんは!こおりやま子ども若者ネット加盟団体、生き方工房necotaの櫻井です。
今回は11月12日に開催しました車座会議についてご報告いたします。

今回の車座会議では、山形市よりお越しいただいた元「ぷらっとほーむ」共同代表/「よりみち文庫」共同代表の滝口克典様を講師にお招きしご講演頂きました。
ですが、その前にいつも通りアイスブレイクからです。
アイスブレイクは「今年の私の流行語大賞」をテーマにグループごとにシェアしました。

本題に入り、滝口さんから「地方でどのように実践を広めるのか?ー居場所(づくり)の経験から」というテーマでご講演頂きました。

今回のポイントは「地方で」というところです。子ども若者に関する実践はもちろん全国各地で行われていますが、特に東京、札幌、京都などの大都市では先進的な取り組みが古くから行われています。多様な人材、多様な地域資源、多様なニーズ、多様なネットワーク…これらが分かりやすく“見えている”のです。僕自身2年前まで東京で活動していましたが、故にあらゆる実践は良い意味でも悪い意味でも“生み出しやすい”のは間違いありませんでした。

では、人口33万人の中核市である郡山ではどのように実践を展開していけばいいのか?
山形市は人口25万人の中核市であり、条件としてはとても似ています。同じ東北の中核市での取り組みを学ぶ機会となりました。

滝口さんは現在ぷらっとほーむの複数ある後継団体のひとつ「よりみち文庫」の共同代表をされておりますが、これまで15年に渡りぷらっとほーむでの居場所づくりに携わってきました。まちなかの空き店舗をフリースペースとして開放、若者たち(及び多様な地域住民)の交流の場として運営してきました。しかしながら、特筆すべきは場を開放して待つのだけではなく、はたまた訪問支援などの福祉的なアウトリーチではなく、「テーマコミュニティ」と呼ばれる特定のテーマで語り合いを基盤とした活動を、市内あるいは市の周辺部各地で展開していったことでした。

テーマコミュニティは不登校、労働、映画、読書、まち、貧困、多様な性、若者活動、政治など多岐に渡ります。
フリースペースに不登校の子や親御さんが訪れれば、そのニーズから親の会の設立や不登校入門という冊子づくりに発展したり、映画を観たあとの感想交流でブラックな職場環境に苦しむ若者の吐露があればフリースペースに繋がり労働者の権利に関する勉強会を青年ユニオンと共同で開催したり、コスプレパーティーを開催したらセクシャルマイノリティの相談が入り、関連する映画を観ることに至ったり、その都度その都度集まるメンバーのニーズに即して多様な活動が展開されてきました。さらにそれらのコミュニティは少しずつスタッフの手を離れて独立していくとのことです。

滝口さんは「テーマコミュニティは半外地つくること」と言います。

「誰でもどうぞと居場所を開いていると、来た人のやりたいこと、ニーズが出てくる。じゃあどうやってやろうか。自分たちでできなければ地域の資源を探して組み合わせて、地域で活動している人たちと一緒に作っていくと、外の人がちょっとのぞき見する。お互いがのぞき見する中間地点を増やしていく。それがぷらほがやってきたことの特徴です。」

さらに滝口さんはこれらのテーマコミュニティの活動は「地域社会の中での多様性が可視化されていく」とも言います。
例えばセクシャルマイノリティに関しても上記の活動によってまさに可視化されたものでした。地方は都市に比べ、なんとなく同質的なコミュニティに収まっているように感じるのですが、実は見えていないだけで「可視化されるとこんなに多様なんだって気づくきっかけになる」とのこと。さらに、様々な活動の中で孤立する若者たちの存在が可視化されると、公的支援を求める政策提言にも繋がっていくようです。
なぜここまで多様な活動に展開していくのか、それはぷらっとほーむのミッションがそもそも孤立している人(若者)に承認の居場所をつくり包摂していくことであるため、“出会った人をひたすら包摂していくこと”になるからです。そのように目の前の人、一人一人を包摂していくと活動が多様になる。滝口さんはその結果「自分たちが当たり前だと思っていること疑わなければならない。“これが普通”(という自身の価値観)を自分が疑っていくことになる。すると場そのものが“多文化”化していく。」と言います。


ここまでの話を踏まえた上で、地方で実践を広げるために必要なことは「○○のための居場所」ではなく、居場所づくりそのものを目的化し、そこに来た人のやりたいことを共に実現していく中で、スタッフが地域に出て様々な文脈の人と繋がっていく。時に居場所に導いて若者との出逢いをつくる。居場所・支援空間と外・社会を限りなく曖昧にしていく。そして自分たちの外にあることをひたすら学び、関わった全ての人が何を経験して何を学んだのか、共有して共通財産にしていくことが必要だとのことです。


滝口さんの講演を受けて、こわかネットのメンバーからも質問が飛び交い、議論となりました。
郡山での実践を今後広げ、高めていくために多くの示唆を頂きました。滝口さんありがとうございました。

後半は12月に開催予定のシンポジウムに関して、各分科会ごとに議論しました(時間の関係でグループごとの報告は聞けなかったため今回記載できません(´;ω;`))。

次回の車座会議は12月4日(水)18時半~@中央公民館第8講義室。内容は12月15日開催のシンポジウムについてです。

皆さまのご参加お待ちしております。ありがとうございました。