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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

英国離婚王3-離婚審査いよいよ開始

2019.11.18 02:35

カール5世の「ローマの略奪(サッコ)」は、ドーバー海峡の向こうにも影響を及ぼした。今やヴァチカンはカール5世が支配し、その伯母とヘンリー8世との離婚の望みを非常に危うくした。大法官トマス・ウルジーは、1525年にアン・ブーリンの怒りを鎮めるため、広大なハンプトンコート宮殿を捧げていた。

しかし27年初夏には英国でいよいよ離婚の形式的審査が開始された。責任者は枢機卿たるウルジーだが、この中にはトマス・モアも入っていた。実は「ユートピア」では本人の意志での離婚はOKになっていて、ヘンリー8世は個人的に何度もモアに相談し、その都度彼はぐらかした。「やっかいなもの書いちゃったなあ」と思っただろうか?

追い詰められたウルジーは、起死回生の一手を案出した。教皇が機能不全の間、自分が教皇代理を務めるという策である。この実現のため7月、壮麗な行列をロンドンからフランスに向けて出発させ、行く所で豪勢な宴会を行った。

ウルジーは同時に、皇帝の力を削ぐために、カンブレイ同盟に加わり、フランスを資金援助した。仏将軍ロートレックは、勇躍ジェノヴァを確保し、大敗を喫したパヴィアを占領、ナポリへ軍をすすめた。しかし調子に乗ったフランソワ1世がジェノヴァを怒らせて裏切らせて、またもや計画は失敗してしまった。

下は英王妃の離婚審査