999-Ep5:迷いの星の影(シャドウ)
松本零士・不朽の名作『銀河鉄道999』をレビューしながら、鉄郎やメーテルとともに「命の燃やし方」について考えていく企画でございます。つい先日、松本零士先生がイタリアで倒れたというニュースが流れて「ええええ!」と驚きましたが、なんとか命に別状は無さそうでほっとしております。まだまだ逝ってもらっては困ります!( ;∀;) さて、第5話『迷いの星の影(シャドウ)』のお話は、太陽系最果ての星・冥王星が舞台。メーテルの哀しい美しさが際立つ物語です。
■哀しき墓守、シャドウ
999に出てくるキャラのネーミングって独特のセンスがあっていいですよね。シャドウもその一人。人間だった頃の自分の美しさを永遠に保つため、機械の体にしたものの、人間の頃の美貌に勝る顔を手に入れることが出来ず、のっぺらぼうのまま過ごしている彼女。結局、彼女が選んだのは元の体に戻ること。そのために鉄郎の魂を手にいれようとしますが、一度ならず二度までもメーテルに邪魔をされて想いを遂げることはできませんでした。
母親に化けて鉄郎を誘い出したりする能力があるなら、昔の自分の顔に変装すればいいのでは?とヤボなことを考えてしまいますが(;'∀')、そういうことではないんでしょうな。昔の体を撃とうとした鉄郎から銃を取り上げてシャドウを救ったメーテルが、こんなセリフを口にします。
鉄郎・・・女というものは一番美しい時の自分を、心の支えとして生きていくものなのよ。
シャドウの気持ちもわかってあげて。
確かにいつの時代も女性は"美しくあること"に執着を見せるもの。「人間、大事なのは中身だよ」なんて言葉もありますが、それだけでは割り切れない美への想いは、当人以外には計り知れないものかもしれないですね。僕なんかメイクするとか考えたこともないし、見た目がしょぼくれてきても「ジジイだし仕方ないわな」と思ってしまうほうですが、最近はファンデ塗る男子もいるし、アンチエイジングは女子だけの話でも無くなってきているようですが・・・。
確かに、昔のシャドウは今とはまったく違う印象のスタイル抜群なセクシーお姉さん。
氷の惑星らしく、景色だけでなくシャドウの出で立ちも寒色系カラーですが、昔の体は真逆の暖色系。その色合いの対比もまた、この物語を印象付けるKEYになってますね。今ならば若い頃のきれいな自分の姿は写真に収めて残しておく、といったことしかできませんが、こういうことが出来るようになると、やりたがる人はそこそこ居そうな気がしますね・・・。基本的にはナルシストさんたちが、そういう風になるのかな・・・。
■それにしても鉄郎・・・(;´Д`A ```
そもそも鉄郎がメーテルの「町の外には出ないように」という忠告を、あっさり無視して、次のシーンではえらい町から離れた氷の墓地まで来なければ、こんなトラブルにはなりませんでした。
間一髪でメーテルに救われ、ホテルでシャドウがまた来るかもしれないから、誘いに乗っちゃダメだと言われたのに、またしても誘いに乗ってホイホイついていくし・・・。母親は死んだということは分かっているはずなのに、あそこまで葛藤した末に「かあさ~ん!」とかついて行く?? お母さんが「(メーテルの持ってる)ムチを持ってこい」なんて言うのもヘンだろー! ちょっと頭弱いヤツなのかと思ってしまいますわ・・・(;'∀') 寒さのせいで思考力が低下していたとでも思わないと、どうにも納得できん! メーテルもお人よし過ぎる! 鉄郎の「うん」は信じちゃダメ。
このシーンなんかあからさまにシャドウの棲み家だってわかるじゃん!
まあ、なんにしてもこの星での出来事も、機械の体になるという鉄郎の意志を揺るがすことはありませんでした。そういう意味で、彼は非常に思考回路シンプルな純朴少年なんでしょうな。
■メーテルの秘密
冥王星にはメーテルの昔の体が眠っている。という設定は覚えていましたが、改めてこの回を見てみると予備知識がないと、そういう設定とはわかりにくい表現になってますね。ホテルで鉄郎に聞かれたメーテルは
私の一番近しかった友達がこの星で死んであのお墓に葬られているの。
と答えておりました。そして物語の終わりにクローズアップされる、一人の女性の亡骸。
・・・うーん、これがメーテルの元の体なのだとしたら、シャドウと違って、今の体のほうが全然素敵じゃないの?と思ってしまう僕は、やっぱり男なんだな・・・(Byアムロ)
■今回のメーテル、作画が好き
今回のメーテルは、松本零士タッチに忠実な感じで、これまでの中で一番気に入りました。
■エンディングナレーション
迷いの星は宇宙で一番悲しいところ。
多くの人がここに体を置いて、遠くへ旅立った悲しい星。
いつの日か自分の体が懐かしくなって
人々が帰ってくるという星だから。
最後の眠った鉄郎を抱きしめるシーンにドキッとしちゃったなあ。「この星は宇宙で一番悲しいところ」と言ったメーテル。やっぱり、あれはメーテルの体なのか・・・。
■次回予告ナレーション
第6話「彗星図書館」
果てしない宇宙は無法の荒野。暗い闇の中に邪な欲望がうごめいている。
希望にきらめく星を撃ち砕くのは誰だ?
鉄郎よ、怒りの銃を抜け!
次回の『銀河鉄道999』は「彗星図書館」に、停まります。