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英語教育に罪なし。日本語力のない日本人に英語が身につかない訳

2019.11.19 00:48

健康社会学者の河合薫(かわい・かおる)氏(東京大学大学院医学系研究科博士課程修了)は、『大学生の日本語力の低下は近年著しく、大きな問題になっています。』と前置きし、

『「学校の成績は国語力が9割」とも言われるように、日本語の読解力、記述力は国語だけでなく全ての教科で必要な基礎知識です。ところが「英語が話せないと経済成長できない!」と英語教育に過剰に力をいれるあまり、国語教育の比重が相対的に軽くなっているのです。』と、迷走する英語教育に罪はなく、国語教育にこそ問題があると指摘しています。

さらに『母語(日本語)をしっかりと身につけた上で文法・訳読方式で英語を学ぶと、学習者の精神的世界観が広がり、母語の意味がさらに進化し、個人の言語能力だけではなく、さまざまなことを論理的に考える思考力を向上させるプラス面が認められているのです。』とし、具体例として『例えば「夏至」「冬至」は英語では「summer solstice」「winter solstice」です。私たちは夏至や冬至という言葉は普通に使いますが「至」が何を意味するかを考えることは滅多にありません。でも、英語では「solstice」という単語がつくので、solsticeを英英辞典で調べると、「the time when the sun is furthest north or south of the equator」とある。これを直訳すると、「太陽が赤道の最も北または南にある時間」となります。要するに、昼の時間の長短としてしか理解されていなかった「夏至・冬至」が英語に翻訳し、単語を調べることで「太陽と赤道の距離」を意味し、その距離によって昼の時間が長くなったり、短くなったりしていることが意識できる。語学の問題が、理科の問題の理解にまで拡大するのです。』と、現代の日本に本当に必要な教育こそが、国語教育であると強く警鐘を鳴らしておられます。

MEG2NEWS『英語教育に罪なし。日本語力のない日本人に英語が身につかない訳』https://www.mag2.com/p/news/424223

こうした記事や著書が、日本の国語教諭や学者から出てこないのが残念でなりません。おそらく既得権益を失う恐れから、旧態依然とした国語教育を守りたいからなのでしょう。

未来を生きる子供たちを守り、伸ばしすためにも、我々も日々の研鑽に励んで参ります。


みらい学習教室(東大和中央)代表 杉本和功