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中里自然農園を訪ねて<高知三泊四日の旅>DAY2

2019.12.30 14:45

二日目も晴天。身支度を整えてかまやに行くと、コーヒーのいい香りが。なんでも生豆で購入し自家焙煎して、毎朝挽いて淹れているのだそう。素敵すぎます・・・。やっぱり香りが全然違う。効率と豊かさの隙間にすっぽり埋まってしまっている自分を少しだけ呪った。


朝ごはんをいただいてから、今朝採れたばかりの新生姜を見せてもらった。



思っていた以上に大きく、重い。例えるならばラピュタみたいな(・・・伝わる?)このずっしり感。スーパーで売っているそれからは想像もつかないだろう。土がまだ湿っている。生命を感じる。力強い感じ。ここから新代田のキッチンに届くまで、この息吹が消えることはない。土が落とされ、中里さんの手によって綺麗に洗われておめかしした子が段ボールの中に鎮座しているのだ。運ばれてくるまでの道中を思い、感慨にふけった。


さて。軽トラックに乗り込み、近くのニワトリ小屋へ。中里さんは土佐ジローというブランドのニワトリを近くの小屋で飼っているのだ。小屋に近づくと、そわそわし始めたニワトリたちがこちらを見ているのがわかった。


オスのニワトリは一羽だけ。メスは20羽ほどだろうか。今回のオスはあまり威厳がないとのこと。以前いたオスは小屋に入るなり、女の子たちを守るために人間をつつきにくるのだそうだ。卵を回収し、お水とごはんを補給し、小屋を開け放つと、ニワトリたちはそそくさと外に出て行く。お散歩タイムといったところか。


「さぁ行きましょうか」と中里さん。えええ!このままニワトリたち外に出したままでいいんですか?と驚くと、また夕方小屋を閉めにくるまでは放しているそうだ。つまり平飼い。悠々と自分の好きな方向に歩いて行くニワトリたちを眺めながら、そうだよね、自由がいいよね、と思った。


ニワトリという生き物は人間にとても都合がよい生き物だと、中里さんは話してくださった。卵をうんでくれて、一定期間すると肉としていただく。人間の営みの中には数多くの命があることを、都会で生活していると忘れかけてしまうものだ。循環の中にわたしたちはいて、わたしはカレーを作ることでその循環の媒介を担っている。いただきますという言葉の重みがより一層その輪郭を明確にした。


次は畑にお邪魔し、カブの葉を間引くのをお手伝いした。できるだけ大きく育てるために、隣り合った葉を間引いておくのだ。といっても、おなかがつっかえるのでかがんでいられず、わずかな時間だけ。抜いた小さな葉をそのまま口に入れる。やわらかくておいしい贅沢な味わい。こういう葉っぱも余すところなく料理に使いたい。



農業というのは体力勝負の頭脳仕事である。単純作業ではない。ましてや農薬や化学肥料を使わない中里さんの農法では、手間暇がモノを言う。そしてどれだけ手間暇をかけたとて、大雨や台風が来てしまうとすべてが無に帰してしまう。虫やイノシシに食べられないように工夫も必要だ。自然を相手にする仕事。育て、収穫する喜びと、その反動の落胆。納得いくまで準備をして、それでもだめなときはもう仕方がないなと思うと中里さんは言う。


畑を後にして中里さんが出荷準備するのを見学させてもらう。水道の蛇口をひねり勢いよく水を出すと、一気に生姜の土が落ちて赤い可愛い芽が顔を出す。中里さんから送られてくる野菜はどれも綺麗だ。隅々まで洗ってくれているのがわかる。「雨が降っている日は、野菜を洗ってるのか、自分が洗われてるのかわからなくなる」と中里さんは笑っていた。


わたしはかまやにある野菜を使って、みんなのお昼ご飯にカレーを作った。さつまいものカレーはココナツミルクを使ってコクのある感じに仕上げた。チキンカレーには昨夜中里さんが炊いてくれていた里芋をそのまま入れて、仕上げに柚子をたっぷりと絞った。高知の人たちは柑橘の使い分けが上手だ。ポン酢もたくさんの種類があるし、この魚にはこの柑橘、この料理にはこの柑橘、と暗黙の了解があるのだ。副菜も中里さんの野菜をたっぷりと使わせてもらった。人参葉とハヤトウリのココナツ炒めに、ルッコラのサラダ。


誰かに食べてもらうためにカレーを作るのはとても楽しい。喜んでもらえるととても嬉しい。美味しいと言われると照れながらもガッツポーズだ。


レモンバームもつんで、お湯を入れてハーブティーにした。中里さんが作っていた生姜シロップを入れると、爽やかな香りと新鮮な甘さでうっとりとした最高のドリンクになった。循環の真ん中にいる感じを思う存分味わって、そのままお昼寝をするという幸せな時間を堪能したのだった。


この日はラグビーW杯の決勝戦の日。夕飯は決勝戦を肴に、かつおのたたきをかまやの側で作ろう!ということに。ええと・・・かつおのたたきって自宅で作れるんでしょうか・・・?そんな心配をよそに、かつおのサクを熊手のような網に乗せ、かまやの外に運び出す中里夫妻。すぐそばにわらをくべ火をつけた炉があり、豪快にもその熊手を炎に差し出す。立ち上がる火におろおろしながらもいい香りが漂い始め、どこからかにこまるが現れ、じっとおこぼれを待っている。


表面を焼いたかつおはキッチンへ運ばれ、カット!出来立てのたたきはもう信じられないくらい美味しかった。やっぱりもちもちしている。早速覚えたにんにく+塩でひとつ、醤油と生姜でひとついただいた。おいしいよう・・・今書いてるだけでお腹すいてきたもんね。ふと思いついて、にんにく+塩の小皿にゆずをぎゅっと絞って食べてみたところ、最高潮へ。たまらんわ。土佐ジローの産みたてたまごで卵かけご飯も。んんんん!生姜を乗せて出汁醤油で食べる幸せ。噛み締めた。


この日も23時にはお布団にIN!


健康になっていくよわたし・・・(やや食べ過ぎてる感ありだが、新鮮だからカロリーゼロでしょ)


三日目へ続く。