六章 憂鬱な日々
2019.11.19 08:35
いよいよ病状が悪化して、娘をお風呂に入れてあげられなくなり、歩行も困難になってきたみすゞは、それでもこの時期には傑作ともいえる素晴らしい作品を発表しています。
『不思議』『雪』『七夕の頃」「日の光」などですが、小さな机にかじりつくようにして童謡を作り、弟に手紙を書くみすゞの様子を見て、宮本が嫉妬して手紙も詩作も禁じてしまいます。ある意味、童謡詩作りが生きることと同義となっていたみすゞは、大いに落胆しますが、そんな彼女を元気にさせるのが2歳になっておしゃまになった娘の存在でした。