【GeoValueセレクション】馬車道駅で地下湧水の熱利用など実証へ~横浜高速鉄道、横浜国大など
環境電子情報媒体「Geo Value」セレクション
◆「みなとみらい線馬車道駅で地下湧水熱等利用の実証へ◆
◆横浜高速鉄道、横浜国大、超スマート社会研究機構、オプテージ◆
横浜市内2カ所目の地下鉄トンネル湧水の熱利用――。横浜高速鉄道、横浜国立大学、超スマート社会研究機構(SSCL)、オプテージは、環境省/CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業の採択を受けて、2019年度~2021年度の3年間、みなとみらい線馬車道駅で、「地下鉄の再エネを最大限活用したゼロエネルギー空調システムの開発・実証」に取り組むと発表しました。
この事業では、地下湧水や列車風等を活用した新たな地中熱空調システムの開発を行うことで駅舎空調のゼロエネルギー化を目指すもの。
地下駅では車両冷房排熱が列車風により駅構内に流入することもあり、冷房用エネルギー消費が大きくなる問題があります。同事業では、地下駅に湧出する地下湧水に着目し、湧水を介した地中熱回収利用を行うとともに、湧水を利用した空調システムにより駅構内の冷房消費エネルギーを削減してCO2排出削減を目指します。
同事業で技術開発するシステムは、湧水槽の熱を回収する「湧水熱交換器」、湧水の熱で導入外気を冷却する「プレクール」、軌道からホームに流入する空気を地下湧水や列車風の活用により冷却する「クールゲート」、全体のシステムを統合する「EMS」で構成されます。
列車の運行状況や湧水槽や送水管の水温、トンネル内・外気の温湿度およびホーム上の温湿度分布・風況・人密度分布などの情報を一元的に集約し、再生可能エネルギーを最大限活用しながら最適な空調制御を実現するシステム運用を実施し、その低炭素化の効果を検証するとしています。
【記者目線】
◆横浜市内では市営地下鉄ブルーライン地下湧水を港南区総合庁舎で熱利用◆
横浜市内ではすでに横浜市営地下鉄ブルーラインにおいてトンネルから湧出する地下水を熱源とし、近傍に立地する横浜市港南区総合庁舎で冷暖房利用しています。今回の横浜高速鉄道等の事業は実証事業ですが、同市内では2件目の事例となります。
※この記事は土地環境電子媒体「Geo Value」Vol.87(2019年11月11日配信)で掲載したものです。