碍子引き
古民家ならではの碍子引き配線
「碍子引き」という言葉をご存じでしょうか。
電気工事士の免許を持っている方ならご存知かもしれません。
「碍子」は「ガイシ」と読みます。
日本碍子(ニホンガイシ)という会社がありますよね。
「碍子」とは主に電線等に使われる磁器(有田焼とか)の配線器具で、絶縁体として使われるらしいです。
現代の家屋では、電気配線はビニール被膜に覆われたVFFケーブルとかで、天井裏や壁裏等に隠して配線するのが常識ですが、70年ほど前までは露出配線が一般的でした。
こんな配線、見た事ありませんか?
台所の天井なのでかなり汚れていますが、これが碍子引きです。
私の古民家には、この配線をしてある個所が結構多く残っています。
今回、電源は全て新規に引き直す予定ですが、一部は可能であれば碍子引き出来たらいいのになぁ・・・とは思っていました。
調べてみると、家庭用の碍子自体もほとんど作られていないようですし、碍子引きの経験がある職人さんもずいぶん少なくなっているようで。
ダメもとで地元のご年配の電気工事屋さんに電気工事全般をお願いしているのですが、
「この碍子引き、良いんですけどねー。新しくやるのは難しいですよね・・・。チラッ」
そしたら、
「俺、碍子引きできるよ。やってやろうか?」
とのこと。
マジかー!うれしい!
「碍子取り外して、集めてさ、きれいに磨いておきなよ。」
とのことでしたので、既存の碍子を外すことに。
アップにするとこんな感じ。
うわぁ・・・マイナスねじで固定されている・・・しかも錆びている・・・
嫌な予感しかしない。
予感通り、取り外すのには非常に苦労しましたよ。
インパクトドライバでは一瞬でねじがダメになってしまうので、手で回します。
しかし、錆びているので回らない・・・
30分格闘して、3個くらいしか取れない・・・
しかし、こんな事じゃ数十個ある碍子を集めるなんて無理。
あまり賢くない頭を使って外す方法を編み出しました。
ねじが固いのは、ねじが錆びて土台の木材と一体化しているから取れないんだろう。
ならば、これを分離させてやれば良いのです。
碍子をがっちり掴んで、ねじを折り取るくらいのつもりで揺らします。
目に見えて2,3mmくらい揺れるくらい力をかけます。
これにより、錆びたねじと木材の密着が緩みます。
この状態になってから、マイナスドライバでねじを回します。
すると、よしバッチリ!
ねじが回って取り外す事が出来ました!
取り外した碍子がこれです。
汚いですね。
碍子はもちろん、下の足跡だらけのベニヤも・・・
まだ20個ほどしか集まっていませんが、全部集めてキレイにしようと思います。
一個一個磨くのめんどくさいから、まとめて処理したいな。
オキシクリーンでオキシ漬けしたら綺麗になるかなぁ・・・
今回はここまで。