story45.地球環境問題と木造モダニズム住宅
現在、私は、自宅古民家の保存活用や妻の水彩関係のサポートをしながら、前職同様、国や地方自治体向けの調査や計画策定、コンサルティングなどの仕事をしています。調査等のテーマは地球環境問題が中心で、それは会社勤めをしていた時代から一貫しています。フリーランスになった今も、国や自治体などお客様の所で会議をしたり、お世話になっているコンサルティング会社で作業や打合せをしたりなど外出の機会は多いですが、これまでに比べると、家で仕事をする時間が圧倒的に増えました。築100年の古い家で、窓辺からの庭のみどりを眺めながらパソコン仕事をする場合が多いのですが、この家や庭を、生活や仕事の場として利用し守っていくことは、地球環境にも良いことであると理解しています。
地球環境問題は、地球温暖化や気候変動に関わる問題(低炭素社会)、ごみやリサイクルに関わる問題(循環型社会)、生き物やみどりなど自然に関わる問題(生物多様性)の3本柱であると言われています。藤井厚二が構想したように、家の通気性や日陰を多くして冷房エネルギーを節約するというのは低炭素社会に貢献することになり、古い家を壊さず守り続けることは新築物件の材料を減らすという意味で循環型社会に寄与すると考えられています。さらに、庭のみどりを適正に管理し、鳥や虫など生き物の棲み家として保全することは生物多様性の確保につながっていきます。
大学時代は環境分野の研究をしていた訳ではなく、会社に入った頃も、地球環境問題という言葉すらほとんど知らないような状況でした。でも、入社後何も分からない中で、「自分は地球環境問題を専門に仕事をしたい」と会社に言い続け、それ以来、環境問題に関わる仕事を今も続けています。環境問題は、生き方、暮らし方そのものの問題であると言えます。まだまだ環境問題の研究をしていきたいですし、来年はこれまでの環境研究について大学で教鞭をとる機会もいただけそうです。さらに、我が家の木造モダニズム住宅に、暮らしながら、使いながら、長持ちさせていく取組を、環境問題にもつなげて考えていければと思います(昨日、我が家が国の登録有形文化財になるという報道発表がありました。今後も変わらず、同様の取組をしていきたいと思っています)。
Katsuji