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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

万能の人24-ミケランジェロ逃亡と逮捕

2019.11.23 02:26

教皇クレメンス7世は、講和にあたって皇帝カール5世に、メディチ家の領地であったフィレンツェの奪還のお願いをした。まあこの期に及んで自分本位もはなはだしいが、皇帝は了解した。ということで1529年の会議中にも、フィレンツェに向かって皇帝軍が進軍した。

ミケランジェロは軍事委員の一人でサンミニアート要塞を建設していた。実は20年代最大の作品はこれ。そこへ皇帝軍が進軍してくるというのでパニクるのだ。恐怖よりもむしろ、大恩あるメディチ家に弓ひいていいのか?という忠誠心だった。ミケランジェロは一様ではなく、貴族的、共和的、カトリック的、プロテスタント的いろんなものが入り混じっている。

彼は矢も楯もたまらず逃げた、ヴェネツィアへ。そこから誘われているフランスへ行こうとしたらしい。しかし追いかけてきた親友に捕まって説得されてフィレンツェに戻った。それからは頑丈な要塞を建設し、さんざん攻撃軍を困らせた。

翌30年夏ついに共和制フィレンツェは陥落。ミケランジェロは今度こそ逃げた。準備のいいことでメディチ家礼拝堂に隠れ部屋を作っていてそこに半年居た。結局投降した彼は礼拝堂建築続行で赦免された。「我が願うのはただまどろみ 石になればさらによし 敗北と恥辱の続く限り」と彼は詩に書いている。

下は1975年に発見された隠れ家に描かれた壁画