日本でも海外でも。起業したいなら今から抑えたい「事業成長のポイント」を、ニューヨーク唯一の日系シェアハウス&Co-livingサービス経営者から学ぶ
日本でもフリーランスや複業への関心が高まり、働き方にいろいろな選択肢を求める人が増えています。
起業や海外で働くことを目指す人に向けて、今回はニューヨーク唯一の日系シェアハウス&Co-living(コリビング)サービス「Crossover」を展開するTKNY Management Inc.代表取締役の君島和也に、ビジネスを成長させるためのカギと海外で経営をすることについて、聞いてきました。
CrossoverのPRを担うitty selection Inc.所属の星緑がお伝えします。
プロフェッショナルな外部パートナーとのつながりが高い目標を達するカギ
これから起業をしたいという方は、今から師匠や信頼できるプロフェッショナルとのつながりを見つけておくことをおすすめします。
新しい挑戦をするときや壁にぶつかったとき、周りに支援・応援してもらう自分になることは、経営者として高い目標を達成していくは不可欠なんです。
Crossoverは、代表取締役である僕が33歳になるころ(設立は25歳)には「売上300億円の会社にする」という目標がありました。若い頃はじぶんが努力をして本気で仕事をすれば、目標は達成出来るものと思っていたんです。
ありがたいことに会社は成長し続けていましたが、32歳のころ「このままじゃだめだ、このスピードで事業を成長させていたら自分が立てた目標に追いつかない」と実感しました。
そうした中、「アドバイザリーボード」というを知り、「自分にはこれがない」と気付きました。
アドバイザリーボードとは、外部の有識者や専門家などで構成されるチームのことです。自社の外のプロフェッショナルから助言や評価をいただくことで、課題の解決や非常に大きな経営の成長が可能になるんです。
ニューヨークは特にビジネスのプロフェッショナルが集まる街です。僕自身、以前からニューヨークの経営者の方々とのつながりはありましたが、自社の経営課題について積極的にアドバイスをもらうことはしていませんでした。
目標に届かないと思ったときにはじめてアドバイスをもらいに行くよりも、早い段階から指導していただける環境を、ぜひ作ってください。
経営軸があるからこそ、自信を持って柔軟に変化していくことができる
ニューヨークはもとより、日本でも、世の中はどんどん変化していますよね。経営を始めたら、時代の変化に敏感に対応していくことが求められます。
ただし、事業のビジョンはぶらさず意思決定をすることが大切です。事業の「軸」をしっかりつくっておくことは、意思決定のスピードを上げることにもつながります。起業前の方も、今から「軸」について考えておいてください。
当社の「軸」は、「世界一挑戦を応援する企業になる」というビジョンと、「本当にお客様や従業員のためになるサービスを提供したい」という想いです。さまざまなチャレンジを行うなかで、今とこれからの状況を踏まえて、ベストな意思決定ができるよう、1度軸に立ち戻ります。
目先の売上だけを追っていないか、お客さまの満足度をあとまわしにしていまっていないか、従業員は働きがいを持っているかなどの視点から考えます。
軸からブレていないという確信を持って、仮説を立て、実行、検証し、次の意思決定ではより良い選択をして事業を成長させていく、というPDCAサイクルを愚直に行っています。
外部パートナーからのアドバイスをもらうことが大事だと先述しました。その際にも、自分たちの会社としての判断軸を持たなければ、せっかくのアドバイスを活かしきることはできません。
周囲の意見に振り回されるためではなく、自分たちの軸に沿って事業を成長させるために外部の意見も聞く、というのが、よい経営のコツではないでしょうか。
多様性を本当に尊重する。それが海外での起業やビジネス成功の基本
海外で起業あるいは働きたいという方には、改めて「多様性」について考えてもらいたいと思います。
当社の従業員、お客様、ビジネスパートナーは実にさまざまなバックグラウンドを持っており、多種多様です。そうした人たちと信頼関係を築かなければビジネスは成り立ちません。
自分自身の枠だけで考えないこと、そして、理解し合うためにコミュニケーションをしっかりとることがとても大切なんです。
たとえば、お客様のなかに、やたらと値引き交渉をしてくる方がいらっしゃるとします。これはその方がケチという訳ではなく値引き交渉をすることが当たり前の文化で育った方である可能性があります。
交渉の上で価格が決まる、というのがスタンダードなんですね。頭ごなしに非常識だと決めつけずに、きちんと相手の話を聞いて、お互い納得が出来る着地点に持っていくことで、とても優良なお客様になってくださる場合もあります。
社内ルールの整備においても同様です。たとえば祝日や休暇の設定など、従業員の出身国や信じる宗教はさまざまで、1人ひとりスタンダードは異なります。
海外、とくに多文化の国や街では、相手の文化や背景を理解し、尊重しようとする姿勢があって初めて会話が成り立ちます。日本またはその土地の文化を押しつけず、物ごとを決定することが海外でのビジネスの基本です。
日本にも外国人観光客や移住者が増えていますよね。海外起業する前に、日本で多文化になれる練習をするのもいいかもしれません。
(話し手:Crossover 君島和也 / 執筆: itty selection 星緑)