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この道往けば act2

抜土 前編

2019.11.28 10:05

福井県三方郡美浜町(みはまちょう)

我が敦賀市の西隣にあるこの自治体は、敦賀の周辺市町村としては最もつながりが深い町です。

共に原発立地自治体であり、時間的にも距離的にも最も近く、個人的にも親しみがあります。

仕事上の繋がりもありますしね。


そんな美浜町は海の町です。

市街地は海沿いに作られ、そこを国道27号が東西に貫いています。

では山側はというと、ほぼ山林。

もちろんいくつかの集落はありますが、それも町域のほぼ中心部まで。

南側一帯は野坂山地の懐に深く仕舞いこまれているのです。


そんなことでは南隣りである滋賀県へ抜ける道なんてあるはずも無く・・・、

いや、あるのです。

たった一本だけ。

その道の名は・・・

粟柄河内谷林道

(あわがらこうちだにりんどう)

そんなある意味、嶺南最強の秘境に挑む林道をレポします!

ここはレポの起点となる福井県道213号松屋河原市線(まつやかわらいちせん)と国道27号の交差点。

意外と町中じゃないかって?

ではこれから僕が挑む林道の地図をご覧ください。

まず単純に長い。

そしてもう一つ肝心なこと!

逃げれない!!

超大林道におけるこれは、かなり精神的負担が大きいポイントです。

だってもし通り抜けられなかった場合、この国道161号七里半越とほぼイコールの林道を延々とバックしなければならないことも考えられるのですよ!

・・・考えるだけで恐ろしい・・・。

まぁビビってばかりいてもしょうがないので、先に進みましょう。

まずはこの県道213号を走りつめねばなりません。

アクセスとしては広域基幹林道鵜川村井線と同じ感じですね。

まぁ距離は圧倒的にこちらの方が長いですが。

そして見覚えのある交差点を通過。

今年一発目に取り上げた、田代隧道へはここを左です。

県道は道なりに右へ。

県道自体はとりたてて特徴も無い、ピストン県道です。

ただ美浜町には珍しい、南北に長い県道という以外は。

終点付近には自然体験型のスポットがいっぱいありました。

そしてここが県道の起点。

つまり公道の終点。

右に行けばピストン林道。

そして左へ行けば・・・、

ここからが本番だ!

美しい。

原生林を抜ける黒河林道に対して、杉の植林地を抜ける粟柄河内谷林道。

兄弟のように共に語られることの多い両林道ですが、見せる景色は全くの別物です。

しかしやはり共通点も多い。

黒河林道が黒河峠を通過する峰越林道であるのと同様に、この粟柄河内谷林道も名のある峠を越えます。

黒河峠とは関西百名山の一つである赤坂山を挟んで隣り合うこの峠の名は・・・、

抜土(ぬけど)

峠の名前としては異例ですね。

あれ?

・・・なんか道が細いよ・・・?


舗装されてる分、まだ黒河林道より走りやすいけど、ここはまだまだ麓。

こんな最初の段階でこのくたびれ具合・・・ヤバくない??

右側の崖が怖くなってきた!

見えている川の名は粟柄谷川、この谷はこの辺りの谷の中でも大ボスみたいなやつなので、県境間際ぎりぎりまでこの林道にお付き合いしてくれます!

つまり峠付近の標高差は恐ろしいことに・・・。

海津街道の関所跡

新しそうに見えましたが、最近立てられたんでしょうか?

もうちょっとアピールしないと、釣り客かサンサイスト、登山客、あとは道馬鹿しか喜ばないよ??

しかし昔はこんなところを歩きで越えてたんだよなぁ。

・・・次回はチャリで来てみよう・・・。

ここで林道が分岐します。

しかし黒河林道同様に全て、ピストン林道。

景色を楽しむにはいいかもしれませんが、「どこに抜けるか」に主眼を置く僕みたいなタイプはあまり突っ込みたがらない支線です。

食わず嫌いはダメなんだけどね・・・。

この辺りで、一時はこのまま死に向かうのかと思うほど荒廃した道路状況が劇的に復活しました。

そしてこの支線は、古来より続く本峠である粟柄越へと続く道。

この道の記線は「破線」。

つまり歩行者道ということになっています。

まぁ要は登山道です。


現代の交通から考えて「登山」はレジャーでしょう。

こちら抜土の方が本筋を乗っ取る予感!


次回、道は思わぬ変貌を遂げる!