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大肉球曼荼羅 《第1章 カフェ&バー虚空庭園》

2019.11.30 11:09

寒くなりましたね。インフルエンザが流行っているそうですね。

ワクチンの効かない型のインフルエンザウィルスもいるそうですね。

皆様も、気を付けてお過ごしください。

 

画像は、今年の個展で発表した作品です。猫沢兄弟と猫庭博士が、猫の星のシンボル「カンタスカラーナシダー」と会っている場面。画材は、顔彩絵の具です。

 

では、続きをお楽しみください。

 

《大肉球曼荼羅 第1章④ カフェ&バー虚空庭園》

 

猫沢さんが地球任務から帰還して2週間後、彼は、兄の猫沢風(ねこさわ ふう)が、営むカフェに昼食を食べに来ていました。二人とも、優しげな目元がよく似ており、弟の空(くう)よりも丸みを帯びた体型にカフェエプロン、キャップをかぶり白髭を蓄えた姿は、不思議と安心感を与えます。

猫沢さんは、店の外を歩いていく猫達の異変を目にしながら…

 

「兄さん、あの猫達を見た?毛並みがさ…」

 

兄に話しかけると

 

「…最近、多いんだ…どうしちまったのかねぇ…」

 

食後のスペシャルニャンコフィーを、特製の器に注ぐと、行き交う猫達を眺めていました。

猫沢さんは、鞄から友猫から貰った、例の駄菓子達をテーブルに広げると、風さんは目を輝かせ、

 

「うわ!懐かしい!!食べてもいい?」

「ダメだよ、あの猫達みたいになる、兄さん、ニャッカリイウムって覚えてる?」

「なんだっけかな?」

「神経毒だよ」

「え?!」

「ウトゥウサの1000倍以上の甘さ、ごく微量で脳神経を狂わせる事が出来る、私達は幼い頃、これらを喜んで食べていたね…あの頃、私達は、楓ちゃんに、このお菓子をあげたら倒れたのを覚えてる?」

「覚えてるとも…あの時は驚いたな…って…と言うことは、今、私が、これを食べたら…!?」

 

風さんは、目を丸くして震えました。

 

「案の定、私は、既に倒れてしまった…」

「じゃぁ、なぜ、現代の猫達は平気なんだ?」

「この商品が出る前に、ウトゥウサを使った食品が現れて、猫達の脳を慣らしていったようだ…私がテラに行っている間、猫達の食文化に変化が起きていたらしい…」

「ウトゥウサって、お前が学生の時に中毒になったアレか…」

「そう、幸いウトゥウサは、植物性で体から抜けるのが早くて酷くはならなかったが、中毒性は高い…ウトゥウサに慣らされた猫達の脳と味覚は、ニャッカリイウムを楽に受け入れる…これは、化学薬品兵器の副産物だ…微量では直ちに影響はないが、長期に渡り摂取し続ければ危険な代物だ…」

 

猫沢さんが、そう言うと、風さんは、何かを思い出したように食材保管庫に向かいました。しばらくすると、何やら業務用の調味料や粉袋を数個抱えて出てきました。

 

「空…私は見逃していたようだ…」

「!?」

 

原材料表示を見ると「ウトゥウサ」の文字が…

 

「兄さん、どこでこれを仕入れた?」

「レトロンストリートの奥の食材屋だ。美味しい[パニャーン]が、作れると噂が耳に入ってきてな…なにも考えずに買ってしまった。作ってみると、本当に美味くて…不思議とリピーターが増えて、うちの店で評判なんだ…」

「また、レトロンストリートか…兄さん…その[パニャーン]を、一旦、メニューから外して、その店で購入した材料を猫居博士の研究機関に持っていく」

 

風さんは、ショックな表情を見せると、再び、食材庫へ行き、レトロンストリートで購入した物を猫沢さんに託しました。

 

「気がつかなかった…」

「無理もないよ、今どき、これら物質の正体を知る猫達は少ないんだ…密かに出回っている事さえ気がつかないだろう…兄さんの作る[パニャーン]は、ウトゥウサなんて、入っていなくても十分美味しいよ」

 

猫沢兄弟は、猫の星に、これから起こるであろう出来事を予測するには、たいして時間は、かかりませんでした。

 

「こんにちわ」

「いらっしゃい。楓ちゃん!!じゃない、猫庭博士!!」

「楓ちゃんで良いですよ、風さん、お久しぶりです。猫沢博士もご一緒でしたか」

 

猫庭博士は、ニコニコしながら、大きな紙袋を手渡しました。

中には、新鮮な野菜がいっぱいです。

 

「私の留守中に助手達が育ててくれた、お野菜です」

「ありがとう。久しぶりに楓ちゃん所の野菜が食べられる」

 

風さんは、ニコニコして、テーブルに野菜達を広げます。

 

「これは見事な野菜達♪」

「猫沢博士の分は、先程、研究所に届けましたよ」

 

猫沢さんは、ふにゃっと表情がほころびます。

 

和気あいあいとする3人、彼等は、子猫時代、共に過ごした仲

久しぶりに揃った途端、あのころの時代が蘇ります。

 

「今日は、子猫探偵団メンバー全員集合か懐かしいな。子猫ん頃は、ウィラード博士が凄く怖かったなー…今でも夢に出てくるんだ…」

 

ふと、風さんは、あの時の出来事を思い出していました。

彼等は、昔、英雄ケイオスと出逢い、子猫探偵団を結成し、カルカナル社との戦いに協力していました。

 

「私は、目の前でケイオスさんが、命を落とした時の事が、今でも忘れられない…」

 

猫沢さんは、肉球で顔を覆うと、それを見た猫庭博士が、

 

「あの時は、とてもショックでしたね…ですが、テラで元気な姿のケイオスさんに会えましたよね…猫沢博士、もう、大丈夫なんですよ」

「どういう事だね?」

 

風さんが、キョトンとしています。

 

「あ、風さんは、まだ、この事はご存知なかったですね。分かりやすく説明しますね。ケイオスさんは、あの時、全身全霊でウィラード博士をやっつけた後、自ら、肉体を抜け出しウィラード博士の魂を追いかけていったんです。だけども、取り逃がしてしまい[虹の星]へ連れていく事が出来ないまま、ケイオスさんだけ[虹の星]に、吸い込まれて行ってしまったんです…」

「[虹の星]…?猫庭博士、その話、初めて聞きましたよ!?」

「テラで、アルハンゲルさんに、お話を聞いたんですよ」

「いつの間に…」

 

猫沢さんは、もやっとした表情で、ニャンコフィーを、一口運びました。

 

「一体、どういう事だね?ケイオスさんは、テラで生きてるのかね?」

「生きていると言うか…テラ猫[アルハンゲル]に、生まれ変わって、虎之助博士と一緒にいます」

「虎之助博士は、とうの昔に亡くなられてるじゃないか?」

「虎之助博士は、テラビトとして[寅次郎]と言う名で生きています」

「テラの生物として生きてる。と言うことか、ようやく理解できた!」

 

風さんは、肉球をポンと叩いたあと、何かを思い出したように、厨房に戻っていくと…可愛らしいお皿に乗ったデザートを、スッと置きました。

 

「ニャイチゴケーキ!!!」

「野菜のお礼だよ」

 

猫庭博士は、満面の笑みで頬張ります。

風さんは、もう一皿、猫沢博士の目の前に、コトンと置きました。

 

「空(くう)も、食う?」

「え?私も食べてもいいの?」

「もちろん、重要な情報を教えてくれたからな、ちなみに、このケーキにはウトゥウサは、入ってないからな」

「いただきます」

 

猫沢さんは、肉球を合わせると、風さんは、不思議な表情です。

 

「あ、これ?テラ、ヒノモトの民は、食事をする前に、手を合わせて「いただきます」と言ってから食べる習慣があるんだ」

「へー、祈りみたいだな」

「祈りそのものだよ、食材となった者達の命を頂くのだから…」

 

3人は、仲良くニャイチゴケーキを頬張り、ご機嫌です。

 

「ところで、猫庭博士は、ロドニアの事は、ご存知ですか?」

「知っていますよ。可愛らしいルックスで美しい歌声の子、とても人気があるそうですね。ですが、正直、彼の歌は、何故か好きにはなれません…」

「…奇遇ですね。私もですよ」

「猫沢博士もですか!?この子が、どうしたのですか?」

 

キョトンとする猫庭博士に、猫沢さんは小声で…

 

「実は…」

 

 

[つづく]

 

  (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。

 

そんな楽しい猫の星の世界観第6弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました。

 

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

 

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

 

(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)   

 

 猫の額さんのHPは、ここをクリック↓