反日種族主義③ 日本製品不買運動は韓国文化だと!?
史上最悪といわれる日韓関係を背景に、7月以来、韓国で進められている日本製品不買運動(ボイコット・ジャパン)は一つの「韓国の文化」になったのだという。「文化」の意味を貶め、卑しめていると思わざるをえないが、しかし、不買運動を「文化」だといって恥じない韓国は、なんと薄ぺっらい文化の国なのかと、哀れに思う。
この「日本製品不買運動は一つの文化として定着したようだ」と発言したのは、韓国国内の中小スーパー4000店が加盟するスーパーマーケットの業界団体・韓国マート協会のキム・ソンミン会長である。中央日報の記事(「韓国マート協会会長、日本製品不買運動は1つの文化として定着」11月29日)によると、
キム・ソンミン会長は、韓国のラジオ番組に出演し、「消費者は継続的に日本製品不買運動に参加している」とし「何と言ってもビールが最も影響が大きく、飲料や食品、そして日本のタバコもマートから消えた」と述べた。
その上で、キム会長は「日本製品不買運動は1つの文化として定着したようだ」とし「私たちは経済貿易報復が撤回されるまで、歴史の反省があるまで不買運動を継続する」と語った。
その前日、日本産ビールの韓国向け輸出が9月、10月とほぼゼロになったというニュースを受けての発言と思われるが、実際は、小さなコンビニなどを除いて、ロッテマートやEマートなど大型スーパーでは、いまだに日本ブランドのビールは売られている。またひところは客足がばったりと途絶えたユニクロは冬物のセールが始まると、客が殺到し、結構な賑わいになっている。日本のラーメン店も、相変わらず地元の若者で賑わっている。要するに「日本製品不買運動が韓国の文化になった」という割には、それほど徹底はされていないし、「文化」というほど根付いているようにも見えないのである。
ところで、韓国マート協会会長のキム・ソンミンという人物は、去年11月、ソウルで『大統領様 ありがとうございます』というプラカードを持って、文在寅を賞賛する集会を開いた人物であり、ことし7月15日、反日不買運動を呼びかけるため、ソウルの日本大使館付近で、アサヒビールやポカリスエットをバケツにぶちまけるパフォーマンスを行ったデモにも参加している。要するに「日本製品不買運動を主導しているのは、筋金入りの文在寅シンパなのだ。これでは“官製不買運動”と言われても仕方あるまい」(『週刊文春』(2019年8月1日号)といわれるような人物なのである。
韓国で今回の「反日不買運動」が広がるきっかけとなったのは、日本が7月3日、半導体やディスプレイの生産に必要なフッ化水素など3品目の韓国向け輸出管理を厳格化した措置に対する反発だった。しかし、それから5か月が経過したが、半導体素材など3品目の韓国向け輸出は、審査が包括手続きから個別審査に変わったとはいえ、通常通り輸出されているし、サムソン電子やSKハイニックスなど半導体・ディスプレー製造メーカー4社は7月以降、日本が半導体・ディスプレー材料3品目の輸出管理を強化したあとも、生産に支障が生じていないことを何度も韓国政府に伝えているというのである。
(KBSワールドラジオ11月26日「半導体・ディスプレー生産、日本の輸出管理強化後も支障なし」)
日本側は、当初から「輸出管理の厳格化」は、「輸出規制」ではなく、個別審査に時間がかかるが、書類に問題がなけれな通常通り、輸出は行われると説明してきた。それを韓国政府も韓国メディアもすべて「輸出規制」という言葉に言い換え、今すぐにも日本からの半導体素材の輸入がストップするかのように言い続けてきた。国民を欺し、感情を煽りたてる目的があったとしか思えない。
そもそも「輸出規制」を撤廃しろといいながら、「反日不買運動」を呼びかけると言うこと自体が自家撞着、自己矛盾も甚だしいことに気づいていないのだろうか?
それにしても「反日不買運動」を一つの「文化」だと言わしめるほど、韓国人の日本への反感、恨みは深刻だということなのだろうか。
11月下旬の段階で、韓国では13万部が売れ、日本でも25万部が売れたという『反日種族主義』の編著者、李栄薫(イ・ヨンフン)ソウル大学元教授は、反日種族主義を定義して「それは無条件かつ絶対不変の敵対感情を指す」として次のように語っている。
「韓国人は日本に対して強烈な敵対感情を持っている。それは歴史的に受け継いだのだ。多くの韓国人は朝鮮王朝を非常に美しい高尚な人の国だと考えている。そして非常に不道徳で暴力的な日本帝国主義が入ってきて朝鮮王朝を滅亡させたと考えている。歴史の本を通じて幼い世代がそう教育されている。そういう歴史教育、歴史を意識を持っていては、決して韓国は先進社会、先進国として発展することはできないだろう。なぜなら先進社会・先進政治になるということは隣国との友好協力関係を前提とするからだ。そういう私たちの未来を遮る反日感情が限界に到達したという危機感でこの本を書くことになった」(9月11日ソウル外信記者クラブでの李栄薫記者会見)
李栄薫教授はまた「韓国人はまだ中世的な善と悪の観念で、日本との関係を認識し評価している」とも語っている。それをもう少し詳しく説明したのが、11月21日、日本記者クラブで行われた記者会見だった。
(以下引用)「韓国は人口が5000万以上でありながら一人当たりの所得水準が3万ドル以上の世界で10カ国もない先進グループに属しています。それでも、この国の精神文化には19世紀までの朝鮮王朝が深い影を落としています。朝鮮王朝は、明・清の中華帝国の諸侯国でした。朝鮮王朝は、完璧に閉鎖された国家でした。
中国は世界の中心として、日本は海の中の野蛮人として認識されていました。人間の「生と死」の原理は、自然宗教のシャーマニズムに多く規定されていました。個人、自由、利己心、商業を正当化する政治哲学の進歩はないか、微弱でした。
その結果、18世紀から19世紀の朝鮮の経済は、深刻な停滞を招きました。人口の多数は、なお原始と文明の境界線でさまよっていました。(20世紀に入ると)韓国人の物質生活には実に大きい変化がありました。しかし、人々の社会関係、精神文化、ひいては国際感覚において本質的な変革はありませんでした。私は、こんにちの韓国の反日種族主義を以上のような歴史的視座から理解しています。
こんにち、韓国で日本は理解の対象ではありません。もっぱら仇怨の対象なだけです。日本が韓国を支配した35年間は恥の歴史なだけです。それに対する客観的評価は、「植民地近代化論」と言われ、反民族行為として糾弾されます。その結果、こんにちの韓国人は、自分たちの近代文明がどこから、どのように生まれてきたのかを知りません。こんにちの韓国人は、自分の歴史的感覚において朝鮮王朝の臣民そのままです。同様に、こんにちの韓国人はこんにちの日本を旧帝国の延長として、ファシスト国家として感覚しています。」(引用終わり)
<産経新聞11月21日「李栄薫氏『韓国人の自己批判書だ』発言全文」>
日本と韓国の間には宗教的な対立があるわけではなく、自由民主主義という政治体制でも違いがあるわけでもない。それこそ自由貿易主義と貿易立国を標榜し、あちこちの国や地域とFTA自由経済協定を締結している韓国が、「日本製品不買運動は韓国の一つの文化だ」として、日本に限っては自由貿易の原則を放棄するというのは、辻褄があわないのではないか。
それにしても、反日不買運動は一つの文化だと公言して恥じない人物が流通業界のトップの地位を占め、現政権を支持する層に甚大な影響力を発揮しているという事実がもつ意味は、日本にとって決して小さくない。反日不買運動が「文化」というなら、それはこの先も永遠に変わることがないということである。
振り返れば、韓国には戦後、日韓請求権協定に基づく経済協力金8億ドルだけでなく、11月29日、101歳で亡くなった中曽根元首相は1983年1月の訪韓で、40億ドルの円借款供与を表明し、これが全斗煥時代の経済インフラ、教育、医療などに使われた。韓国がいま世界一のインスタントラーメン王国になっているのは、1960年代に明星食品が韓国に無償の技術提供をしたからだと言われる。「ラーメンに限らず韓国の食品メーカーの多くは、自動車や半導体など他分野の企業と同じく日本との提携や協力で発展してきた」(産経新聞11月30日 黒田勝弘「ソウルからヨボセヨ“辛ラーメンの冷淡”」)
人類の歴史において、文明や文化が国を超えて行き交い、物や人の交流によって経済、文化が発展してきたのは間違いない。反日不買運動を恥じない韓国人たちの精神文化「反日種族主義」は、人類の文明史からみて異形であり、先進社会、先進文化と肩を並べるのは相当に難しいのではないか。いずれにしても、日本人は、そうした異様な「文化」を持つ人々が海を隔ててすぐ隣にいるということを常に意識しなければならない。