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山岸産業医事務所

職場復帰の目安とは

2019.11.30 23:54

皆さんは、職場復帰がどのように判断され、行われるかご存知ですか。


職場復帰可否については、個々のケースに応じて総合的な判断が必要です。労働者の業務遂行能力が完全に改善していないことも考慮し、職場の受け入れ制度や態勢と組み合わせながら判断しなければなりません。なお、判断基準の例を、厚生労働省が『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』にて、下記のような例を挙げています。


 <判断基準の例>

 ・労働者が十分な意欲を示している

 ・通勤時間帯に一人で安全に通勤ができる

 ・決まった勤務日、時間に就労が継続して可能である

 ・業務に必要な作業ができる

 ・作業による疲労が翌日までに十分回復する ・適切な睡眠覚醒リズムが整っている、昼間に眠気がない

・業務遂行に必要な注意力・集中力が回復している 

 など


上記の他、復帰前に『リワークプログラム』の活用や、『認知行動療法』なども有効であると考えられています。


同様に、厚生労働省(労働委員会)は、Q & A の方式で、復職時の配慮について下記のように回答しています。


A. 私傷病による休職制度は、労働者が業務以外の理由で傷病にかかり、その療養のために労務の提供ができなくなった場合に、従業員の地位を維持したまま、一定期間就労を免除するものです。


 休職に関しては、法律上の規定はなく、就業規則等で定められることになりますので、企業ごとに取扱いもさまざまです。労働者の事情による休職ですから、賃金の補償がないことや、休職期間が満了しても復職の見込みが立たなければ自然退職または解雇となることもやむを得ないことと言えるでしょう。

(休職期間中は、必要に応じて、健康保険組合からの傷病手当金などの活用を検討してもらうのが良いでしょう)


 しかし、復職の要件である治癒の程度については、休職期間満了時に従前の職務を支障なく行える状態になくても、当初は軽易業務に就かせればほどなく通常業務へ復帰できるという回復ぶりである場合には、短期の復帰準備期間の提供や教育的措置を取るなど使用者に一定の配慮を求めた裁判例もあります。


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 上記『手引き』や『Q & A』を踏まえると、ケースバイケースではありますが、労働者が復職を希望して実施した産業医面談の時点で、本人の体調や状況から、ほどなく(例えば1ヶ月などの具体的な期間内で)、通常業務、つまりフルタイム勤務ができる、少なくとも『少しの準備期間があれば、フルタイム勤務が出来そうな体調・状況であり、労働者本人も、通常業務へ前向きである』ということが、復帰時に求められるべき体調・状況だと言えそうです。


 仮にそうではない(当面、フルタイム勤務に不安がある等)であれば、回復不十分と判断し、もう少し療養に専念してはどうかという助言指導を本人に行い、会社にも同様の意見を伝えるということが妥当だと考えます。


*注意点
労働者が(会社側がOKなら)時短勤務で良いので早く復職したい、等と考えてしまうのは、ある意味当然のことですですので、会社も『時短勤務や軽減勤務でも良いので、一刻も早く復帰してほしい』と焦ってしまうと、回復不十分な体調・状況で職場復帰をしてしまう場合があります。その場合、復帰から間もないタイミングで不調が再燃し、療養を繰り返すことで、かえって安定勤務が難しくなることがあるため、注意が必要です。

職場復帰について、お悩みのことがあれば、当事務所へ気軽にご相談下さい。