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KANGE's log

映画「ターミネーター:ニュー・フェイト」

2019.12.01 11:41

本作は「サラの物語の続き」として、「ターミネーター2の正統な続編」いうことだそうです。だから、これまでの続編で重要なキャラクターとされてきた、人類の救世主ジョン・コナーは本作冒頭であっさりと姿を消してしまいます。あまりにも唐突でポカーンです。しかも、そこで出てくるT-800は、T2のアレと同じ姿をしていますが、当然別の個体。今でもパロディで語り継がれるほどインパクトのあった溶鉱炉のシーンでしたが、何事もなかったかのように同じ姿がひょこっと出てくるのです。ロボットなので同じ姿をしていているのは当然なのですが、こちらの気持ちはどうしてくれるのしょう? 

リセット具合がエゲツないです。話としてはT2の続きかもしれませんが、「続編」というには、ずいぶん豪快にうっちゃりました。 

そして、サラの物語といいつつ、メインとなるのは、かつてのサラと同じ立場に置かれるダニーと、またかつてのT-800のように未来の人類から送られてきた強化人間グレースです。この女性2人が、サラのサポートを得て、ダニーを抹殺するために送られてきたREV-9と戦うわけです。

ということで、これもまた別モノとして見るというのが、ハートに優しい見方だと思います。そうやって見れば、「ああ、相変わらずやってんなぁ」と楽しく見ることができます。

REV-9は、T-1000の液体化して自由に形を変えられる機能のほかに、内骨格から肉体が液化分離し、人型に再構築されることで、分身攻撃が可能になるという特技を持っています。サイバーダインのスカイネットは構築されず、それとは別のリージョンと呼ばれるAIシステムが支配しているのですが、なぜか同じような機能を持つロボットができているんですね。この分身攻撃で優位になるのは分かるのですが、それならば、そんな機能をつけなくても、2倍増産する方が楽な気がするのですが…。あと、分身するということに対して、迎え撃つ側がそれを逆利用するような反撃を期待していたのですが…。

それにしても、この「リージョン」という名前、新約聖書に出てくる悪霊の軍団レギオンのことだそうですが、なぜ人類はAIシステムにそんな禍々しい名前をつけたのでしょうね。まるで、最初から暴走することが分かっていたみたいです。 

そして何より、T-800の存在がとってつけたようなものになっています。ロボットが年をとったり、改心したりすることは、まあ良しとしましょう(いいのか?)。今回、新しくロボットに対抗すべく人類が開発した強化人間であるグレースが登場しました。長身スレンダーで、キレのいいアクションを見せてくれます。タンクトップ姿で戦って、エロ度ゼロで、とてもいいのです。それだけに「T-800必要?」と思っちゃいます。

せめて、サラにメールを送っていたのが誰なのかを最後まで謎のままにしておいて、そのうえで、T-800の最後のセリフがあれば、ちょっとぐっとくるものがあったかもしれません。

また、ダニーが将来どのような存在になるかが明かされると、サラのダニーに対する態度、関わり方に変化が見えるんですよね。かつての自分を重ね合わせるだけでなく、息子ジョンの姿も重ねて見るようになって、より「彼女を育てよう、鍛えよう」という気持ちが強くなったように見えました。ちゃんと世代交代の物語は成立しているように思えました。そこは、確実にぐっときます。 

それにしても、T3でもあったように、どうやっても人類は審判の日を回避することはできないようです。まったく方向性を変えないと、何度やっても焼き直しになってしまう気がします。