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東洋の絵画

1. 最古の中国絵画

2019.12.03 02:14

中国最初の王朝といわれる「殷(いん)」その次の「周(しゅう)」の時代の絵画は発見されていませんが、2015年現在、最古の絵画といわれるものは、戦国時代の「楚(そ)」の墳墓(ふんぼ)から発見された絹に描いた絵「帛画(はくが)」とされています。紀元前4~3世紀のもので、龍や鳳凰、女性が墨の輪郭線で描かれています。


馬王堆漢墓(まおうたいかんぼ)帛画

1972年に湖南省長沙市の「馬王堆漢墓」で、素晴らしい遺品が発掘されました。
利蒼(長沙国丞相)とその妻子が葬られた「馬王堆漢墓」は、1972年の発掘時、妻の遺体の皮膚には未だ弾力があり、生きているような状態であったことで知られています。同時に副葬品にも貴重な工芸品や帛書など、多くの貴重な美術品が発見されました。

中でも、妻の棺を覆っていたT字型の帛画が注目されています。
前面に極彩色、からすやヒキガエル、龍、鳳凰などの動物や怪鳥が描かれ、中央にいるのは埋葬された妻とされています。数人の侍女を従えて死後の世界へ旅立つところで、文様と一体となった龍や雲気文も躍動感があります。

画像石に見られる古代

画像石(がぞうせき)や画像磚(がぞうせん)も墓室を装飾する技術として価値があります。
画像石とは、磨いた石に、薄いレリーフ状に彫刻をして絵を描いたものです。画像磚は、煉瓦(レンガ)で型板を作り、粘土で造形して彫刻、装飾して描き、窯に入れて焼成させたものです。

この時代の題材は神仙世界、地下世界、帝王、聖人、歴史、物語などが描かれ、拓本(木・石・石碑・金属器などの画像を紙に写したもの)に取るとシルエットのようになります。人物は横向きで、動作がオーバーアクションな作風であることが特徴です。

武氏祠画像石(ぶししがぞうせき - 山東省嘉祥県出土)、孝堂山祠(こうどうさんし - 山東省)、沂南墓(きなんぼ - 山東省)、打虎亭墓(だこてい - 河南省)などが有名で、考子伝や列女伝が題材として選ばれて描かれていることから、儒教道徳が影響していたと推測されています。