「取りやめになってしまったのは驚きだ」家族を看取った経験者と語る厚労省の「人生会議」ポスター問題(19/12/02)
人間誰しもが迎える最期の時。そのことについて、家族と語り合ったことはあるだろうか。厚生労働省の調査によると、「詳しく話し合っている」が2.7%、「一応話し合っている」が36.8%だったのに対し、「話し合ったことがない」は55.1%だった。このテーマについて、AbemaTV『AbemaPrime』が家族を亡くした方に取材を進める中で飛び込んできたのが、厚生労働省のポスター問題だった。
“もしも”の時のため、本人が望む医療やケアを前もって考え、家族や医療・ケアチームなどと話し合い共有する取り組み「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」の愛称「人生会議」。これを啓発することを目的としたポスターだったはずが、家族を看取った経験を持つ人たちから「不謹慎だ。遺族の気持ちを考えていない」「死に向き合うときにそんなにふざけてない!」「直接、死を連想させすぎ」といった批判が相次ぎ、わずか1日で配布が中止される事態になった。
日本尊厳死協会元副理事長の鈴木裕也医師は「終末期医療の現場から出てきた言葉だが、日本語がなかったためにACPと呼んでいた。それに人生会議という名前をつけて、考える日まで作った。私自身も自分のことについてはピンとこないので、一般の方はなおさらだろうし、若い方はもっとなおさらだと思う」と話す。
実際、街で聞いてみると、「今から4年くらい前に母が脳梗塞で亡くなった。病院に運ばれた時には意識もなく、延命せずに看取った」「ついこの間、隣の家の方が亡くなってしまった。その時に、母親と父親が突然死んじゃったらどうするんだろう、みたいな話はした。あまり考えたくはないので、そういう話はしないようにはしているが…」「治療するかどうかは親の気持ちに任せたいというか。確かに話したことはない…今日帰って話す」といった戸惑いの声も少なくない。