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のらくらり。

【R18】触られるより、触りたい

2019.12.03 13:17

ピロートーク。

ウィリアムの性癖告白大会。


ダラム・モリアーティ邸。

ウィリアムの寝室で、事後のまとわりつくような濃密な雰囲気を醸しながら、二人の兄弟は互いの体を抱きしめていた。

少し汗ばんで絡みつくルイスの髪に、ウィリアムは顔を埋めて息をする。

彼本人の濃い匂いと、事後ゆえの気だるげに熱を持った瞳で見上げるその顔に、ウィリアムの欲はこの上なくそそられた。

自然と抱きしめる腕に力がこもり、気持ちを抑える意味で露わになっている額にキスをする。

だが、ルイスはそんな兄の心情など知ることなく、唇を尖らせて不満を吐露した。


「…兄さんは、僕に触られるのはお嫌いですか?」

「え?いきなりどうしたんだい、ルイス」

「僕が触れようとするといつも拒絶するじゃないですか」

「そんなことないよ。今だってこうして抱いているだろう?」

「今のことではなくて、さ、最中のことです」

「…セックスの最中かい?」

「…はい」

「どうしてそう思うの?」

「…いつも僕ばかり良くしてもらって、兄さんにも感じてほしいと思って触れようとしても、それとなく意識を逸らされます。何度も続けばいくら僕でも気付きます。僕が兄さんのを触ったのも数えられるくらいです。せっかく肌を重ねているのに、いつも僕ばかり良くしてもらってる」

「僕もちゃんと気持ち良いと思ってるよ、ルイス」

「じゃあどうして僕が兄さんのを触ろうとすると拒絶するんですか。僕だって兄さんを気持ち良くさせたいし、気持ち良くなってほしいのに、兄さんにばっかり色々シてもらって、僕ばっかり気持ち良くなって。結局、僕は兄さんに何も出来てない」

「ルイス…」

「…僕、下手ですか?」

「え?」

「気付いたときには兄さんにシてもらってましたし、自分でスることもほとんどないですし…あまり得意ではないのは分かってますが、やっぱり下手なんですか…?」


舐めるの。

直接その口から音として出しはしなかったが、ルイスが何を言おうとしているのかウィリアムにはよく伝わった。

きゅ、と唇を引き締めて視線を逸らさずに兄を見つめるルイスの瞳には、不安と戸惑いが見え隠れしている。

その目元が赤く染まっているのは、先ほどまでの濃密な時間を経ているからではないだろう。

羞恥を耐えて、それでもウィリアムに問いかけるルイスは本気だ。


「兄さん、キスマークも付けさせてくれないです…」

「ルイス、それはね」

「僕、下手ですか?兄さんを満足させられてないです、よね…?」

「下手じゃないよ、ちゃんと気持ち良いし満足してる」

「じゃあ、どうして」

「…それは…」


ウィリアムが一瞬だけ自分から目を逸らしたのを、ルイスは見逃さなかった。

誤魔化さないでほしい、と兄の背に回した腕に力を込めて更に言い募る。


「へ、たなのは分かりました…でも、頑張るので」

「違うんだ、ルイス」

「…」

「ルイスに触れられるのは気持ちいいよ。それは間違いないし、確かだ」

「…はい」

「確かに、僕は意識的にルイスが自主的に動かないようにリードしていたね。でもそれには理由があるんだ」

「どんな理由ですか…?」


眉を顰めてじっと兄を見やるルイスの表情はまだ色香を残している。

とめどなく溢れているその色香に、ウィリアムは苦笑しながら言葉を紡いだ。


「ルイス。僕はね、君に触れられるよりも、君に触れる方がよほど快感になるんだ」


「え?」


覚悟を決めたウィリアムはルイスから視線を逸らさず、至極真面目な顔をして己の嗜好を彼に伝える。

実の弟を愛欲の対象として認識したときから、自覚していても誰にも伝えることのなかったその趣味嗜好を弟本人に、それはもう事細かく。


「男は触られれば感じる生物だ、なんてどこかの浮浪者が言っていたけれど、僕にそれは当てはまらない。自分でイイはずのところを触ってもろくに感じないからね。でもルイス、君が僕の腕の中で感じてくれているのを見ると、どうしようもなく快感を擽られる。言い換えれば、ルイスの痴態でしか僕は反応しない」

「は、ぁ…」

「ルイスの肌を触っていると気持ちが良いし、愛撫に感じて蕩けたように僕を見る顔に劣情を煽られるし、抑えきれず零れ出る声を聞けば十分すぎるほどに感じられる。普段から可愛いルイスが僕の手でより一層綺麗に乱れる姿を見ると、この上ない快感を得られるんだ。ましてや僕のことだけを考えて感じ入っているルイスを見るのは、それこそ至上の幸福だと言っていい。直接僕の体に触れるよりも何よりも、ルイスに触れてルイスを気持ち良く溶かしてあげることの方が、僕の快感に繋がるんだ」

「ぇ、あ、はぁ…」

「ルイス、君は言ったね。下手だから、技術がないから触らせてくれないんじゃないかと。それは違うと断言しよう。確かにルイスはあまり慣れていないのがよく分かるけど、それがまた初々しくてたまらなくそそられる。でもね、本音を言うなら舐められている物理的な快感よりも、僕のを咥えて懸命に舐めているその視覚的な要素の方が強い。僕の反応を見ながらたどたどしく口と手を動かすルイスを見ている方が、支配欲が満たされてよほど気持ちが良いんだ。だけど、その気持ち良さも僕の手で乱れるルイスには遠く及ばない。はっきり言ってしまえば、ルイスが僕自身を咥えているのを見るのは気持ちが良いけど、それ以上に僕の愛撫でルイスが感じ入っている姿を見る方が僕にとっては快感が強いんだ」

「え、あの、兄さん?」

「決して触られたくない訳じゃない。そこは理解してほしいんだ。ルイスが僕に触れたいと思ってくれているのは凄く嬉しいよ。それこそ、いつでもどれだけでも僕に触ってくれていい。だけど僕としてはルイスが僕に触れるよりも僕がルイスに触れたいし、一秒でも長く君を感じさせたいんだ。ルイス、君は僕が触れることに快感を得て、それを僕にも返したいと思っているんだろう?」

「は、はい」

「ありがとう、その気持ちは素直に嬉しい。でもね、僕は触られるよりも触りたい。ルイスに触ることで僕は快感を得る。僕とルイスでは快感の得方が根本的に違うんだろう。ルイスが僕に触れることで君が満足するならいくらでも触っていいよ。でも、僕を存分に気持ち良くさせたいのなら、僕が満足するまで君に触れさせてほしいんだ」

「え、と…」

「それとも、ルイスは僕に触られるのは嫌かな?」

「いえ、そんなことは…!兄さんに触れてもらうのはすきです」

「そう、良かった」


ほぼ口を挟む隙すらなく、ウィリアムは淡々とルイスに自分の性癖を暴露した。

ルイス本人としては言っている内容の半分も昇華できていないが、兄が何を言っているのかはおおよその判断がつく。

思っていた以上に、兄さんが僕に執着していた。

しかも、かなりの勢いで。

事後というだけでない頬の赤みを強くして、ルイスは自分を抱きしめているウィリアムから距離を取るようにその身を後ろに引いた。

だがその思惑に気付いたウィリアムがルイスの腕を引いて、そのまま彼の体に乗り上げて細い首筋に吸い付く方が早かった。


「だからね、ルイス」

「んんっ、にいさ、ぁ」

「こんなふうに、僕が軽く跡を残すだけで感じられるくらい君を敏感にしたのも、僕の欲を満たすためだったんだよ」

「ぁ…そう、なんですか…?」

「ごめんね、君の意思を無視してしまって」

「いえ…兄さんがそうしたいと思ってのことでしたら、僕は嬉しいです。僕の体が兄さんのためになるなら何よりです」

「そう。良かった」


戸惑いながらも安心したようにウィリアムを見るルイスは、先ほどまでの張りつめた表情が嘘のように甘く溶けている。

誰より愛しい兄の執着を喜ばないルイスではない。

弟の表情の変化ににっこりと笑みを深め、ウィリアムはルイスに覆いかぶさったままその唇にキスをした。

目を開けながら唇を合わせれば、嬉しそうに目を閉じてキスに応えるルイスの顔を間近に見られるから良い。


「可愛いよ、ルイス。僕の手で存分に感じ入っている君は本当に可愛い。ルイスが気持ち良くなれば、それがそのまま僕の快感に繋がるんだ」

「ん、ぁ」

「それでも僕のために何かしたいというなら…そうだね。自分で自分を慰めている様子を見せてくれればいいよ」

「ぇ、え?」

「ルイスを見るか触れるかで僕の劣情は煽られるからね。ルイスが一人で気持ち良くなろうと頑張っている姿が見られるなら、それは僕にとってとても大きな快感になるはずだ」

「え、な、兄さん?」

「大丈夫、僕がちゃんと教えてあげるから。あとは僕の上に乗って、ルイスが気持ちいいように動いてくれたら嬉しいかな?」

「…それは、つまり…」

「騎乗位。あまりさせたことはなかったね」

「…」

「ルイスの性器が可愛く震えているのをしっかり見られるから僕としてはすきなんだけど、ルイスはあまり得意じゃなさそうだったから。感じるところに向けて自分で腰を動かすルイスは可愛いし、今度じっくり堪能させてほしいな」

「…ぅ」

「ふふ。今すぐじゃなくていいよ。まずはこの肌に思う存分触れさせてくれればそれでいい」

「…兄さん…」

「ルイス、僕のことすきかい?」

「すき、です。兄さんのことが、誰よりすきです」

「ありがとう。僕も愛してるよ、ルイス」


もう一度深く深くキスをして、羞恥に染まったルイスの目元に浮かんできた涙を吸い取るように、ウィリアムは口角の上がった唇をよせた。



(ど、どうしましょうアルバート兄様…!に、兄さんが…!)

(どうした、ルイス。そんなに狼狽えて珍しいな?)

(に、兄さんが…思っていた以上に、僕に執着していました…)

(…何を今更。ウィルは昔からおまえを大事にしていたじゃないか)

(そういう可愛らしい類のものではなくてですね)

(もっと生々しい類のもの、ということか?おまえの首についた跡みたいに)

(え、あ)

(ウィルにしては珍しいな。見える位置に付けるなんて初めてじゃないか?)

(そ、のようですね…)

(まぁでも、あいつがルイスを溺愛するのは今に始まったことじゃない。おまえが気付いていなかっただけで、あいつはおまえに対して人一倍独占欲が強いからな)

(…先日、驚くほど実感しました)

(ほぅ、それは興味深いな。何があったのかは聞かないが、そんなウィルのことは嫌いか?)

(いえ、まさか。少し驚いただけで、兄さんのことは変わらず敬愛しています)

(なら良いじゃないか。私はウィルとルイスが仲睦まじくいてくれて嬉しいよ)

(あ、ありがとうございます兄様)

(さぁ、落ちついたところでルイス、紅茶を淹れてくれるかい?)

(はい、お待ちください兄様)