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のらくらり。

【R18】「おねだり」と「おさそい」

2019.12.04 01:59

セックスしてる最中のルイスに違和感を覚えたアルバート兄様のため、ルイスとウィリアムが一緒に頑張る話。


「んっ…兄様、どう、ですか?気持ちいぃ、ですか…?ふ、ぁ」


そう言って押し倒したアルバートの腰に跨り、肌蹴たシャツ一枚で艶めかしく腰を振っているのは四つ下の弟だった。

無理矢理に勃たされた性器を受け入れている彼の秘部は随分と柔らかくアルバートを迎えていて、その熱さと潤って蕩けている状態からよほど丁寧に解されてきたことと事後であることがよく分かる。

大きな瞳から今にも滴が零れてきそうなほど羞恥に満ちたその表情に、アルバートの欲はそそられた。

普段ならばその身に生じる快楽ゆえ涙を流しているというのに、今のルイスは快感とは別の感情を主体として気持ちが高ぶっているように思う。

ふと視線をルイスから外して横に向ければ、愉しげにこちらを見ているウィリアムの姿があった。

その顔に浮かぶ緋色を見れば、今この状態の鍵を握っているのは他ならぬ彼以外には存在しないことが分かる。

控えめで奥手なルイスをけしかけたのは間違いなく彼なのだろう。




話は数日前に遡る。

モリアーティ家の末弟であるルイスは真面目で懸命な人間であり、幼い頃からの凛とした雰囲気をそのままにとても美しく成長した。

憂いを帯びた表情は他者に心を許さない性分からくるものである。

今では大勢の同士がいるけれど、それでもルイスの世界の中心は揺るぎなくウィリアムとアルバートであり、この二人がいれば他の何も要らないと考えるほどには兄達に依存していた。

ウィリアムにだけ許していた心と体をいつしかアルバートにも許すようになり、ルイスの心と体は文字通り二人の兄のものである。

関係を持ったのは実兄であるウィリアムの方が早かった。

実の兄弟であるということも相まって、ルイスはウィリアムに対しては比較的自我を見せることが多い。

比較的程度の表現なのは元々控えめな性質であり、世間一般から見れば我がままに捉えられることはないからだ。

それでもベッドの中でのルイスは特にアルバートに対して消極的で、というよりもアルバートの言うこと成すことにあまり抵抗をしない。

してはいけないと考えているのか、そもそもアルバートの行動を制限するという発想がないのかは分からない。

意識しているのか無自覚なのか、どんな理由にせよルイスは本能を剥き出しにするセックスの最中であろうと、アルバートには自我を出すことがなかった。

ウィリアムに対しては、もっと触ってほしい、気持ち良くしてほしい、その体に触れたい、と素直に己の欲求を請うことも多い。

けれどアルバートに対してはただ可愛らしく喘ぐばかりで、何を問いかけても肯定しか返らない。

ルイスの一番がウィリアムだということは重々承知しているし、それに嫉妬を覚えるような浅い関係でもない。

けれどアルバートはそのことを僅かばかり気にかけていて、もっと自我を出してくれても良いのだが、と常々考えていた。

そうしてそれをウィリアムとともにルイスを抱いた日の夜、何となく呟いてしまったのだ。

ルイスは既に寝入っていたから知らないだろう。

けれど確実にウィリアムの耳には届いたし、彼は何やら考え込むような仕草をしてその日の夜は終わった。

アルバートとしてはただ日常のちょっとした愚痴程度の認識で、まさかウィリアムがルイスとともに行動を起こすとは思いもよらなかったのだ。


「兄さん、どうされましたか?」

「ルイス」


アルバートの呟きからしばらくした頃、再び三人で肌を重ねるタイミングが出来た。

仕事の都合で最後に湯を浴びることになったアルバートを浴室に残し、ウィリアムとルイスは一足先にアルバートの寝室へと向かっていく。

もう何度も三人で共にした広いベッドに突如押し倒されたルイスは、微笑みながら自分を見下ろす兄を見た。

今夜は抱かれることを想定していたため驚きはないが、普段ならばウィリアムとアルバートが二人揃った状況で肌に触れられることが多い。

ルイスは少しだけ首を傾げてウィリアムの顔を伺った。

とうに日が暮れている室内は灯りに乏しく、まだ慣れていない目にははっきりとウィリアムの表情を捉えることは出来ない。

それでも彼が何かを企んでいることは明白で、ルイスは首を傾げたまま彼の言葉を待った。


「ルイスが遠慮しているんじゃないかって、アルバート兄さんが気にしていたよ」

「僕が、兄様に遠慮?何をでしょうか?」

「セックスの最中、ルイスがあまりねだってくれないって」

「ねだっ…」


気にする様子もなく、ただ淡々と言うウィリアムの言葉にルイスの方が呆気に取られた。

何度も肌を重ねたし、ウィリアムともアルバートともその二人同時にも抱かれたことがある。

だが体は慣れても精神的にはどこか落ち着かないし、未だに触れられると胸の奥が疼くようにときめくこともあった。

決して嫌なわけではないが、言うなれば一度に幸せを流し込まれて許容量を超えてしまうような、そんな溢れる感情がルイスの心を覆い隠してしまうのだ。

そもそもウィリアムもアルバートも天性の才能なのか、ルイスの快感を引き出すのが抜群に巧い。

感じやすく教え込まれた体を持つルイスがそんな二人に触れられて理性が残っているわけもないし、この場合のねだるとは快感を要求するということなのだろう。

そうであるならば、ルイス自らが意識してねだったことなど数える程度しかない。

アルバートが何を気にしているのかは知らないが、全く持って身に覚えのないことを気にされてもルイスとしては困ってしまう。

頬を赤らめ狼狽えた様子でウィリアムを見上げ、ルイスは視線だけでどういうことなのか改めて説明を申し出た。


「僕相手にはよくねだっているのに、だってさ」

「ねだって…いたでしょうか…?」

「あまり意識したことはなかったけど、思い返せば兄さんに抱かれているときと比べれば、もっと、とかどこを触ってほしい、とか言っているね」

「…」

「アルバート兄さんに抱かれているときのルイスは確かに静かだよ」

「……」


ウィリアムの言葉に直近のセックスを思い返すが、ほとんど理性が飛んでいる状態で発した言葉、しかも喘ぎ声などほぼほぼ覚えていない。

だがウィリアムとアルバートがそう言うのならば、おそらく自分は二人に抱かれているときの声に差があるのだろう。

意識して変えているわけではないし、決してアルバートに気を許していないわけでもない。

けれどアルバートにしてみれば、ウィリアムに対する態度と自分に対する態度が違うことで己への気持ちを疑う要素になってしまっているのかもしれない。

ルイスとしてはウィリアムとほとんど同格の、差などない状態でアルバートのことを大切に想っているというのに。

ウィリアムにベッドへ押し倒された状態のまま、ルイスは視線を俯かせて赤く染まっていた顔を青くさせてアルバートへの非礼を後悔していた。


「ルイス?大丈夫かい?」

「だ、大丈夫じゃありません…ほとんど無意識とはいえ、に、兄様に不快な思いをさせてしまっていて…大丈夫でいられません…!」

「ルイス、落ち着いて」

「に、兄さん」


どうしよう、そのつもりはなくても兄様を傷つけてしまった、どうしよう。

何を考えているのかよく分かる表情をしたルイスを宥めるように、ウィリアムは髪を撫でてそのこめかみに何度もキスをした。

触れるだけのそれに逸っていた気持ちが少しだけ凪いでいくのを感じるが、それでもルイスの心は完全には晴れていかない。

そもそも無意識でウィリアムとアルバートへの態度に差が出てしまうなど、アルバートに対し失礼にも程がある。

でも無意識だからこそどうすればいいのか分からない。

ウィリアムに抱かれていてもアルバートに抱かれていても、差異なく幸せで気持ちが良いというのにそれが伝わっていないだなんて。

ルイスのそんな戸惑いが幼く見えたウィリアムは、努めて穏やかに声をかけた。


「ルイスは、セックスに対して兄さんに遠慮しているわけじゃないんだね?」

「は、はい…失礼のないようにしたいとは思っていますが、遠慮というほどでは…」

「兄さんにもっと触れてもらいたいと思ったことは?」

「…あります、けど」

「伝えたことはないのかな?」

「…兄様、たくさん触ってくれるので、それで充分ですし」

「…あぁ、なるほど」


最中の様子を思い出しているのか、多少口ごもりながら返事をするルイスの言葉を聞いたウィリアムは一つの答えを出す。

ルイスは元々新しいことが苦手で、それこそ変化を嫌って遠慮ばかりする子どもだった。

そのまま成長したのだから今も性分は変わらないだろう。

いつまで経ってもセックスには慣れないし、初々しい反応は見ていて心擽られる。

そんなルイスの色々な表情を見たくて、色々な仕草を見たくて、ウィリアムは昔からいくつかの誘導をかけて抱いてきたのだ。

歯を食いしばって快感に耐えようすることもやめさせたし、気持ち良ければちゃんと声に出すよう教えてきたし、シーツを握るくらいなら自分の体に縋るよう言い聞かせてきた。

その教育の延長として、ウィリアムはルイスを抱くときには必ずいくつかの問いかけをしている。

あまりに自然な習慣になってしまっているので、ウィリアムとしても気付くのに遅れてしまったのだ。


「僕がルイスを抱くときは、君が自分でイイところを言わないと触らないようにしていたね」


ルイスの全身を指と唇で愛撫することを好むウィリアムだが、彼の主体性を引き出すためにあえて一番触れてほしいであろう場所には淡くしか触れない。

強い刺激が欲しいだろうときにもわざと弱く刺激をするし、ルイス自ら行動するよりも自分がルイスの体を愛でることを優先させる。

だからルイスはもどかしい快感をより一層強くさせるためにも、自然とウィリアムにねだる形をとっていたのだ。

快感に溶けきる手前、蜜のように甘い表情をしたルイスに「もっと」とねだられることがウィリアムの快感をより強くする。

それに気付いてからは習慣付くほどルイスにねだらせてきた。

ルイスが自我を見せていると言えばその通りだが、主体性を引き出すというよりほとんどウィリアムの趣味に等しい行為である。

けれどアルバートはルイスを慈しむように抱いているし、ルイスが声に出さずとも意思を汲んで望まれるまま彼に触れて快感を引き出している。

多少意地が悪い問いかけをすることもあるが、それでもルイスが欲しがるよりも前に十分すぎるほどの快感を与えているのだから、ルイスがねだる余地などないだろう。


「…ではウィリアム兄さんは、セックスの最中にわざと僕にイイところを言わせていたということですか?」

「ふふ。ルイスがあんまりにも可愛いから、ついね」


幾分か拗ねたようにウィリアムを見上げるルイスの耳へ囁きかけるように言葉を流し込み、ちゅう、と音を立ててキスをした。

くすぐったいばかりの優しい刺激にルイスは目を閉じて、先ほどの言葉の意味を考える。

思えばアルバートに抱かれているとき、自分で何かを望むよりも前にアルバートから与えられていた。

声に出したことはないけれど、欲しいところに欲しいタイミングでとびきりの快感をくれるのだから、ルイス自ら何かを要求する必要はなかったのだ。

ウィリアムに至ってはルイスの欲求など手に取るように分かっているはずなのに、敢えてねだらせていたというのだから手に負えない。

それに気付いていなかった自分にも呆れてしまう。

ぼんやりと考えながら耳元へのキスを受け入れていると、耳馴染みの良いテノールが音を形作ってルイスの耳に注がれた。


「兄さんがルイスに壁を感じているのは本当だよ。彼のためにも積極的な姿を見せてあげないと、ね?」


積極的な姿、をした自分を想像し、ルイスは頬を赤らめて視線を彷徨わせた。

兄の言葉を言い換えるならば、セックスに対して受け身ではなく扇情するように誘ってみせろ、ということだ。

ウィリアムのコントロール下にあったとしても、確かにアルバートに不快な思いをさせたのは事実だ。

遠慮されていることに壁を感じているならば、セックスに対して積極的になるのも一つの手だろう。

ウィリアムは赤い顔をして思い悩むルイスを視界に納め、柔らかく笑みを浮かべながら白い首筋に唇を這わせた。

薄い皮膚の下に浮かぶ筋と血管に堪らない愛おしさを覚え、優しく甘噛みしては綺麗な肌を堪能する。

染み一つなく滑らかな肌に触れていると気持ちが良い。

食べてしまえるものなら食べてしまいたいと、そう思いながらウィリアムはルイスの肌へ存分に触れては噛みついていく。

耳元にかかる吐息のような喘ぎにぞくぞくするような快感を覚え、ふとその顔を見てみると大きな瞳には綺麗な膜が張っていた。


「に、いさん…僕、兄様に何をすればいいんでしょうか…」

「…大丈夫。僕が準備してあげるよ」

「ふ…ん、んん」


この顔だ。

戸惑いながらも快感を受け入れて、無意識にその先を欲しがる無垢な色香にウィリアムとアルバートは心を射抜かれた。

兄弟の中で誰よりも大きな瞳には普段からは想像出来ないほどの欲を乗せていて、清廉な雰囲気が一転して妖艶そのものだ。

何も言わずしてこれだけの色香を持つルイスなのだから、敢えて言葉を望むウィリアムの気持ちはきっとアルバートならば理解できる。

実際に彼はルイスの言葉を欲しがっているのだから。

しかも、今のルイスはこれだけ欲を感じさせながらも未だ純粋無垢だった。

淫らな先を望んでおきながら、それでも慣れずに初々しい様子はいつまでも残存している。

瞳を覆っていた眼鏡を外してサイドテーブルに置き、赤く染まったその唇に触れながらウィリアムは自らの舌でその唇をなぞっていく。


「ふ、ぁ…ん、んぅ」


敏感な唇を舌で弄ぶように触れていき、互いの両手を絡めて握る。

アルバートのベッドで彼の香りに包まれながらルイスを愛撫する倒錯感に、弟であるウィリアムとルイスは夢中になった。


「今夜は兄さんに抱いてもらうのを待つんじゃなくて、ルイスの方から兄さんに乗ってごらん」

「兄様に、乗る…」

「騎乗位、この前したよね」


以前、ダラムの屋敷でウィリアムが望むまま彼の体に乗り上げて自ら腰を振ったことがある。

ルイスの体も繋がっている部分も大胆に見えてしまうその体位は、ルイスにとって快感と同等以上の羞恥が付きまとったけれど、確かにあの体位であれば必然的にルイスが意識して動く必要が出てくる。

いつも与えられてばかりの快感を、ルイスが主体となってアルバートに与えられるという面では理想かもしれない。

あのときのウィリアムは気持ち良さそうだったし、何より愉しそうだった。

よく似た趣向の兄達だから、ウィリアムが気に入ったのならばアルバートも気に入ることだろう。

自分が全てを曝け出す恥ずかしさに耐えればいいのだと、ルイスはウィリアムの提案に小さく首を縦に振る。

その様子を見て、ウィリアムはそっとほくそ笑んだ。

いつも受け身で誘導しない限りはねだることもないルイスがセックスに対して積極的になる姿は新鮮だし、アルバートを誘う姿が見られるのはウィリアムとしても興味深い。

敬愛する兄と愛する弟が仲睦まじく乱れる姿を見るのはさぞ愉しいことだろう。

ウィリアムは緋色の瞳に別の欲を乗せながら、ルイスが抵抗なくアルバートを誘えるよう準備を始めていった。


「あっ…んぅ、ゃあん、ん」

「僕が準備してあげるから、兄さんが戻ってきたらルイスから誘っておいで」

「ぅあ、ふ、ぁ…さ、誘う…?ぅ、ん」

「そう。今日はルイスから兄さんを気持ち良くしてあげないとね」

「ふっ、んん、…わ、かりました、ぁん」


まだ芯を持たないルイスの性器を服の上からやんわりと揉み込み、もどかしくも確実な快感を与えつつ欲に染まる表情を間近で堪能する。

綺麗な顔が段階を追ってゆっくりと溶けていく様を見るのは心地よい。

薄く開いた唇にキスを落として互いの舌を絡ませながら、少しだけ手先に力を込めて握りこむ。

途端に震える舌先を押さえつけるようにキスを続けていると、首に回されたルイスの腕が縋るように動かされる。

キスも気持ち良ければウィリアムに触られている部分からの刺激も気持ち良いのだろう。

瞳を閉じていたルイスから、鼻に抜けるような吐息が零れてきた。


「ん、ふ、兄さん…ぁ、」

「ふふ、服越しじゃ物足りないかな?」

「ん、はい…早く」


キスを終えて蕩けた瞳を覗き込み、着ていた衣服の裾から手を差し入れる。

触れた先では既に精液の一部が溢れていて、ウィリアムの指をいとも簡単に汚してしまった。

皮膚に伝うぬるついた感触は、通常ならば不快なものなのだろう。

だがそれが愛する弟からのものだと思うと不快どころか快感が増すスパイスにしかならなかった。

ウィリアムが僅かに硬度を増したその性器を扱いてみせれば、ルイスが羞恥に染まった顔で見上げてくる。


「んゃ、や…ぁ、ふぁ」

「ルイスはここを触られるのがすきだよね…ふふ、可愛い」

「あ、あぁん、は、ぁん」


赤く染まった頬にキスをして、一際大きく音を立てながら先端を強く刺激して竿を優しく扱く。

服の中での手淫は蒸れて空気が熱く回るが、それにすらそそられた。


「あ、あん、ふっう、んぅ」

「ルイス、腰上げられるかい?」

「ん、ん…にいさん、ウィリアム兄さん…」


ウィリアムの首に回した腕に力を込めて、ルイスは抱き上げてもらうように腰を上げた。

浮いた隙間で下着ごと衣服を脱がしてみれば、しっかりと芯を持ったルイスの性器が震えながら顔を出す。

その様子が何とも厭らしくて、ウィリアムはごくりと喉を鳴らして薄く染まっているそれを見た。

先走りで濡れている性器は綺麗な色と形をしていて、とても美味しそうだ。

健気に震えて次の刺激を待つ様子を見ているウィリアムの目はとても真剣で、だからこそルイスの羞恥はより一層煽られた。

欲望の象徴でもある場所をそんなにまじまじと見られて感じるほど、ルイスの性癖は歪んでいない。


「…あまり見ないでください、兄さん」

「ん?あぁ、ごめんね」


ウィリアムの体を挟んでいるせいで足を閉じることも出来ず、ルイスはウィリアムの頬に手を添えて自分の顔を見るように促した。

この兄に見られていないどころか触れられたことのない場所すらどこにもないが、それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。

ルイスは拗ねたようにウィリアムを見上げて、視線だけで次をくれないだろうかと期待を込めて彼を見た。


「舐めても?」

「…駄目です」


指と唇でルイスの全身を愛でることを好むウィリアムだからこそ、ルイスの隙を見つけてはすぐに口淫することを望む。

舌と唇で性器を愛撫するという行為を初めて知ったときは驚いたし、確かに快感はとてつもなかった。

けれど何度経験してもウィリアムの唇に自分の性器が在ることに慣れなくて、強い快感で我を失いそうになる感覚も苦手ゆえに、ルイスは口淫されることにだけは得意になれない。

それなのにウィリアムどころかアルバートでさえも、隙さえあればすぐにルイスの性器を舐めようとするのだから気が抜けないのだ。

今も寂しげに自分を見るウィリアムに絆されないよう、ルイスは兄の頭を顔の目の前で固定して触れるだけのキスをした。


「んっ…兄さん、フェラチオより、キスがほしいです…」

「…ルイスがそう言うのなら」

「ふ、んん、ぅ」


染まった唇に自分のそれを覆いかぶせて、ウィリアムはルイスとのキスを楽しみながらもう一度勃ち上がっているその性器に手を寄せた。

根本から先端までをぐりぐりと扱き、時折撫でるように優しく触れてみれば熱さと硬さがどんどんと増していく。

それと同時に緩く腰も動かしており、淫らな腰付きがとても厭らしくて良い。

深いキスではなく軽めのキスを何度か繰り返し、所々で漏れる吐息と喘ぎを愛しく思った。

もう大分精液が溢れてきており、あと少しもすれば射精するだろう。

一度イかせておくべきか否かをウィリアムが考えていると、ルイスの方からキスを終えて瞳を覗き込みながらねだられた。


「兄さん…後ろ、ほしいです…ぁ、ん…」

「ん、分かった。…十分に解して、中に出してから兄さんを待とうか」

「はぁい…ふ、ぁ、あん」


先ほどのキスといい、ウィリアムが今まで仕込んできた成果なのか、随分とねだるのが上手で様になっている。

綺麗な弟の可愛くも厭らしい欲求に気を良くしたウィリアムは、笑みを深めてその体への愛撫に集中する。

ルイスの先走りでたっぷりと潤った指をそのまま後ろに這わせ、まだ硬く閉じた場所を馴染ませるように押し開いていく。

ウィリアムがやりやすいようにルイスも足を開き、潤んだ瞳で彼を見上げて更なる快感を心待ちにしていた。


「兄さん、ください…」

「駄目だよ。傷をつけたくはないからね」

「ん、も、はやく…あ、ぅん」


もう何度も抱いてきて、もはやルイスのそこは単なる排泄器官ではなく立派な性器である。

硬く閉じていようとウィリアムが意思を持ってそこに触れれば、まるで柔らかく花開くかのように迎え入れてくれる場所だ。

丹念に指で入り口に触れていくと、徐々に弛緩したように秘部が開いていく。

円を描くように指を動かしながら、まずは中指だけを優しく挿入してみると淡く吸い付くように内部が収縮した。

とても熱くて柔らかいのに、指に合わせて締め付ける具合は何度経験しても腰が疼くほどの快感だ。

ウィリアムはきゅうと締め付けるルイスの内部を傷つけないよう、全周囲をゆっくりとほぐして段々と指を増やしていった。

ルイスの表情を伺えば違和感はあれど痛みは感じていないようで、それどころか違和感すらもすぐに消えて物足りない快感を追っているようだ。


「んぅ…も、早く…にいさぁん…」

「あと少し、ね」

「ん、ん…あ、ふぁ」


ルイスがしがみついているせいで頭ごと彼の顔に固定されており、ウィリアムは指の感覚だけでルイスの中を念入りに解していく。

柔らかくなってきた内側はさぞ綺麗な赤をしているのだろう。

互いの腹の間で健気に震えている性器も一目見ておきたいのだが、すぐ目の前にある蕩けた瞳で更なる快感を求めているルイスの表情を脳裏に焼き付けるのも悪くない。

綺麗で可愛い顔に浮かぶ妖艶な表情も、これはこれで十分すぎるほどの快感だ。

ウィリアムは唇になだらかな曲線を描いてから、解していた指を届く限り一番奥へと押し入れた。


「あっ、あぁっ」

「奥、気持ち良いかい?」

「んっ、いい、ですっ…あ、あん」

「おや、指だけでイけそうだね。…僕のは挿れなくてもいいのかな」

「ぃゃ、やぁっ、指、ゆびじゃやだ…兄さんのほしい…」

「僕のを?」

「ん、ぅんっ…兄さんの、くださぃ…」


ウィリアムの長い指でも十分に快感はある。

だけどいくら本数があろうとウィリアムの性器には及ばないし、もっと熱くて硬いのが欲しい。

ルイスはほとんど本能的にそう感じて、開いていた足をウィリアムの腰に回して自らの性器を押し付けるようにすり寄った。


「ん…挿れて、兄さぁん」


衣服越しにルイスの熱さと硬さを直に感じて、ウィリアムは自らの唇を舌で舐めながら瞳を光らせた。

食べてしまいたいと思うほどに愛しい弟の熱烈な誘いに応えないなどありえない。

前を寛げ、既に硬く勃ち上がっていた性器の先端をルイスのそれと合わせて先走りを馴染ませる。

色も形も大きさもさほど変わらないというのに、ルイスの性器はやはりどこか魅力的だった。

先端の穴の部分を重ねて指で強く刺激すれば、互いから僅かに白く濁った液体が滲んでくる。

それを見届けてからルイスの性器を辿るように後ろへと移動させ、念入りに解した秘部を左右に割って、まずは先だけを挿入した。

一番太い部分を丁寧に挿れて、しばらくそのままの姿勢でいると内部が奥に引きずり込むように収縮する。


「ふぁ、もう…、焦らさないで…兄さん、早くきて…いっぱい擦って…」

「…ん、ごめんね。ルイスの中があまりにも熱くて気持ち良いから」


やはり昔に比べて随分とねだるのが上手くなったし、誘うのも上手くなった。

ウィリアムがそうなるように誘導して教え込んできた成果だろう。

それでもアルバートにはまだ控えめな姿勢を崩さないのだから、今日はこの淫らな姿を彼に見てもらわなければならない。

きっと見たことのない積極的な姿にさぞ喜んでくれることだろう。

ウィリアムはその様子を想像して僅かに笑みを浮かべ、ルイスが望むままに硬く勃ち上がった性器を彼の最奥まで届けた。

狭くてきついのに迎え入れるように開いていくその様子は、正しくルイスのもう一つの性器である。

その証拠に先ほどよりも強い快感に表情を蕩けさせたルイスがあえやかな声をあげていた。


「ひぁ、ぁあっ、あっん」

「っく…は、はぁ」

「あ、あぁ、ん、んふ、ぅ」


びくりと震える体を見下ろして、ウィリアムはルイスの息が整うのを待つことなく腰を動かした。

勢いよく突いていくのではなく、中を馴染ませて文字通り一つになれるようじっくりと内部を堪能する。

纏わせていた先走りが潤滑油の役割をして、摩擦を感じることなくスムーズに挿入できて気持ちが良い。

熱く優しく締め付けてくるルイスの内側は何度経験しても心地よく、気を抜くとすぐに持っていかれそうになる。

ウィリアムは息を荒くさせながら善がるルイスを抱きしめた。

手触りの良い肌に触れながら全身で彼の体に感じ入り、絶えず声が漏れる唇に覆い被さっていく。

一方のルイスは唯一自由に発散できる声を奪われ、それでも中で感じるウィリアムを象徴する硬さに酔いしれていた。


「ふっ、んん、ぁ、はっ…あ、あぁ」

「は、…ルイス」

「んぁ、に、にぃさん、ウィリアム、にいさぁん、そこ、んんっ…」

「ここ、だね?」

「あんっ、そこ、んゃ、あ、ぁ」


唇を離した途端、一際大きくあがる声にウィリアムは突いていた部分を意識して腰を振った。

粘膜を強く擦られることを望むルイスも、内側に存在する性感帯には随分と弱い。

しこりの部分を何度か優しく突いていけば、堪えきれずに互いの間で震えていた性器から溢れるように精液がこぼれていった。


「ぁ、あ…ふ、ぅん」

「っ、ルイス、出す、よ…」

「んっんぁ、あぁ…ぁ」


ルイスが達したときの収縮に逆らわず、ウィリアムも彼の中にそのまま欲を吐き出した。

そうしてそのまま微かに震えている内側を達したばかりの自身で堪能する。

ルイスが精液を吐き出してすぐ、奥で何かを吸収するかのように柔らかく収縮を繰り返す内部はウィリアムのお気に入りだ。

その収縮が落ち着くまでは彼の中から出て行かないし、自分の精液がルイスのより深いところまで届いてしまえばいいと思う。

そうして彼の内側とウィリアムの精液が馴染んだ後は、更に蕩けて極上の具合に変化していく。

このままもう一度抱いてしまうのも良いが、今夜はこれからメインでもある行為が待っている。

あまり無理はさせられないかと、ウィリアムはルイスの腰を抱き寄せて更に奥まで繋がろうと抱きしめた。

一方のルイスは意識を飛ばしそうなほどの快感に頭をくらくらさせながら、ウィリアムの精液を全てその身で受け止めていた。


「ルイス、良かった、かい?」

「…ん…はぃ。気持ち良かったです…ぁ」

「ふふ。名残惜しいけど、これで中は随分と柔らかくなったから」


アルバート兄さんも気持ち良く感じてくれるはずだよ。


ウィリアムにそう囁かれて、今日これからの自分の痴態を想像してルイスの意識はすぐに戻ってきた。

準備とはアルバートがすぐにでも挿入できるように、ということだったのかと今更気が付いた。

ゆっくりと中から出て行ったウィリアムを惜しく思いながら、後ろから垂れる感触に少しだけ眉を寄せる。

抱かれるまま上半身を上げて座った状態で抱き合っていると、寝室の扉が音も立てずに静かに開いた。

入ってくる人物は当然、この屋敷の当主である彼以外には存在しない。




「…おや、もうお楽しみ中だったのか」


衣服が乱れた状態で抱き合う弟達の姿を見ても戸惑うことなく、普段と変わらず優雅に微笑んでいる。

いつ何時も余裕を携えているアルバートらしい。

彼は真っ直ぐに二人の元へと足を進め、そのままベッドの端へと腰を下ろして弟達と向かい合った。


「それで、私はどう動けばいいのかな?」


乱れているルイスの髪を手櫛で整え、赤く染まった頬を好ましく思いながらアルバートはウィリアムを見た。

この場の主導者はルイスではなくウィリアムであり、彼の意見が絶対優勢だ。

ルイスにもアルバートにも不利益を被るような判断はしない。

そう考えてアルバートはウィリアムに問いかけたのだが、当の彼はルイスに目配せをして一言二言発したかと思いきや、座り込んでいたルイスがいきなりアルバートに抱きついてきた。

それだけならばさほど驚くこともないのだが、あまりに勢いよく抱きついてきたためにそのまま後ろに倒されてしまう。

こんなにも積極的な様子を見るのは初めてで、いつだってルイスは窺うように控えめな接触ばかりを好んでいたと思うのだが、一体どうしたというのだろうか。

アルバートはひとまず自分の体に被さる末弟の背に腕を回し、落ち着かせるように撫でていった。


「ルイス?どうかしたのかい?」

「…兄様」

「ん?」

「…に、兄様…」

「何だい?」

「…に、兄さん」

「大丈夫だよ、傍についてるから」

「は、はい…」

「…?」


ルイスは半身を上げ、押し倒したアルバートを無礼を承知で見下ろしていた。

その顔は赤く染まっており、覚悟を決めたように口を開いても中々本題には入っていかない。

終いにはウィリアムに縋るような表情を向けていて、アルバートとしては何がしたいのかさっぱり分からなかった。

肌蹴たシャツ一枚で、腹部や太腿に白く濁った液体がついた扇情的な姿の彼に欲をそそられることだけは間違いない。

加えて丁度アルバートの腰辺りに乗りかかるようなこの体勢にも落ち着かない気持ちにさせられた。


「…アルバート兄様」

「何だい、ルイス」

「…今日は、僕が兄様を気持ち良くして差し上げます」

「え?」


羞恥に満ちた表情のルイスがそう言った言葉を、アルバートは聞き違えたのかと思った。

問いかけようと口を開こうとしたが、珍しくルイスの方から唇を合わせに顔を近付けてくる。

拒否するでもなく柔らかい唇の感触を受け入れていると、隙間からゆっくりと舌が差し入れられる。

本当に珍しいことだと、アルバートは目を見開いて目の前で瞳を閉じてアルバートに口付けるルイスの顔を見た。

その頬はやはり赤く染まっていて、でも渋々実施している様子も見られない。

指し込まれた舌に自分のそれを絡ませてしばらく互いの口腔内を堪能していると、ようやくルイスが目を開けてアルバートから顔を離した。

夢中でキスをするルイスも中々可愛らしいな、とそんなことを考えながら、アルバートはルイスの言葉と次の行動を待つ。

すると不意に右手を取られ、恭しくルイスの両手で握られた。


「兄様。今日は僕が全てやるので、兄様はそのまま横になっていてください」

「…どういう意味だ?」

「先ほどウィリアム兄さんに後ろも準備してもらいました。だから僕だけでも大丈夫です」


ちゅう。

ルイスは両手に持ったアルバートの右手の指に吸い付いた。

続けて軽く歯を立てて甘噛みし、驚いた表情で自分を見上げるアルバートに向けて緊張しながらも甘くふわりと微笑んだ。

そのままアルバートの人差し指を口に含み、吸い付きながら舌を這わせて音を立てて舐めていく。

柔らかい唇の感触とねっとり絡みつく舌の感触、何よりとろんとした瞳でアルバートを見ながら指を咥えるルイスはとても官能的だった。


「ルイス?」

「ん、ちゅ…は、ふぁ」


まるで口淫を見せつけているような仕草にアルバートの腰は容赦なく疼いた。

ルイスはひとしきり長い指を舐めた後で口から出し、もう一度その指先に小さな音を立ててキスをする。

そうして自分の左手指とアルバートの右手指を絡めて握り、片手で兄の着ているシャツのボタンを器用に外していった。

羽織るだけのシャツを左右に肌蹴させれば、そこに現れるのは鍛えられた上半身だ。

ルイスは思わず感嘆の息をつき、震える指先でアルバートの腹に浮いた筋を上から下へ辿るようになぞる。

細い指が一番下の際どい部分まで到達してから、下着ごと前を寛げた。


「ルイス?どうしたというんだ、一体」

「ん、兄様は、寝ててくださって結構ですよ」

「そういうわけにもいくまい」


左手はアルバートと繋いだまま、ルイスは右手でアルバートの性器を優しく撫でている。

まだ多少芯がある程度、ほとんど勃起していない状態のそれは触れていて心許ない。

結局体を起こしてしまったアルバートに少しだけ眉を下げたルイスは隣に座るウィリアムを見やり、彼が頷く様子を目にしたところで構わず進めて良いのだと理解した。

そのまま頭を下げて、アルバートの指を舐めていたときと同じ流れで彼の性器に吸い付いた。

口を開いて先端部分だけを口に入れ、歯を立てず上顎に先を擦りつけるように頭を動かして快感を与えていく。

上顎をくすぐる独特の感触にルイス本人も恍惚としながら、頬張るようにアルバートの性器を口の中に含めるだけ含んでいった。


「っ、ルイ、ス…?」

「ふ、んん…て、はなしちゃ、いやです…ふ、ぁむ、ん」

「ウィル、どういうことだ?」

「兄さんが以前、ルイスが遠慮しているのではないかと気にかけていたので」

「何?」

「たまには積極的になってごらんと助言したまでですよ」


頭上で兄達が会話するのを聞きながら、ルイスは目を閉じてアルバートの性器へ懸命に舌を這わせて舐めていく。

段々と形を作っていく過程が嬉しくて、ルイスは口に入りきらない部分を扱くように指を動かした。

もう片手はアルバートの手を握ったまま離していない。

そんな末弟の様子に羞恥や動揺ではなく、ひたすらに戸惑っているのが長兄のアルバートだった。

確かにウィリアムには自分の欲求を素直にぶつけるルイスを見て幾分かの劣等感を覚えたが、だからといってこんなにも淫らに自分を誘うルイスを見ることになるとは思っていなかった。

積極的ではなかったといえばそうだろうが、ひとたび積極的になったのがこれでは振れ幅が大きすぎるのではないだろうか。

綺麗な顔を自らの股間に埋め、うっとりと口淫をするルイスは見ているだけで欲をそそられた。


「ん、ふ…兄様、気持ち良いですか…?」

「…あ、あぁ。気持ちいいよ、ルイス」

「…よかった」


ルイスは硬く勃ち上がってきたアルバートの性器から一度口を離して上目で彼を見上げた。

その返事が望んでいたものだったようで、満足したようにルイスはもう一度吸い付くようなキスをしてから先端だけを口に含んで舌を絡めていく。

質量を増して大きくなったアルバートの性器を全て口に含むのは難しい。

竿の部分含め、口に入りきらない部位は指で刺激するように撫でていくことで代用した。

基本的に兄は二人ともルイスの体を愛撫することを好むため、ルイス自らが彼らに口淫する機会はあまりない。

そのため大して上手くもないのだろうが、それでも男の象徴でもある場所に触れることを許してもらえているだけで幸せだった。

これが普段自分を目一杯に気持ち良くしてくれているのだと思うと、全身にぞくぞくするような快感が走る。

アルバートの手を握る腕に力を込めて、ルイスはもう一度アルバートの表情を窺った。


「…これは、中々絶景だな」

「…ぅ?」

「同感ですね。ですが積極的なルイスはこれだけじゃありませんよ」


兄の性器を咥えた弟の白い太腿には、先ほどウィリアムが吐き出した精液がこびり付いている。

絶景と評したアルバートの気持ちはよく分かるし、事実ウィリアムも同じ立場ならば同じ評価を下すだろう。

ウィリアムは微笑みながらルイスの髪を混ぜるように撫でて、そろそろいいんじゃないかな、と弟に声をかける。

その声を聞いたルイスは咥えていた性器から口を離し、もう一度唾液を絡めるように全体をしかと舐めていった。

その快感にまたもアルバート自身は硬さを増していく。


「ん、大丈夫そうだね」

「ふ、ぁん…ん、ん」

「頑張っておいで、ルイス」


ルイスはアルバートと繋いでいた手も離してウィリアムの肩に縋りつき、膝立ちになって後ろに触れるウィリアムの指を受け入れる。

つい先ほどまで彼に抱かれており、中にはまだ吐き出したばかりの精液も残っているせいか、ルイスの内側は十分すぎるほどに柔らかい。

これならばアルバートを受け入れるのは難しくないだろう。

そう判断したウィリアムは、ルイスの背中を押してアルバートと向かい合わせた。


「兄様…」

「あ、あぁ、おいでルイス」


アルバートは目の前で行われた弟達の濃密なやりとりについ目を奪われたが、ルイスから伸ばされる手をすぐに取って軽く抱きしめた。

そうしてルイスが足を開いて自分の膝上に跨ったと思いきや、薄く色付いている彼の性器が既に震えて勃ち上がっていることに気付いて喉が鳴る。

それに構うことなくルイスはアルバートの肩に頭を乗せて、彼の性器の上に座り込むように慎重に腰を下ろしていった。


「ふ、ぁ…ん、あ、あぁ…」


途切れ途切れに喘ぐ声と、包まれるような快感にアルバートはようやく彼の意図を察した。

最初に言われた言葉の通り、アルバートからは何もしない方がいいのだろう。

積極的になったルイスがこうも大胆に行動するとは想像も出来なかったが、貴重な体験であることは間違いない。

ゆっくりと、ルイスにしては妥当な時間なのだろうがアルバートとウィリアムにしては信じられないほど長い時間をかけて、ようやくルイスの内側にアルバートの性器が全て収まった。


「ふ…ぁ、に、兄様…全部、はいりました…?」

「あぁ…大丈夫だよ、全て挿入った」

「ん、ふぁ」


アルバートの肩を支えにしてルイスは体を支え、足を開いてバランスを取る。

中には硬く勃ちあがった彼の性器がルイスの内側を占領しており、少し動くだけでも擦れて絶妙な快感が過ぎってしまう。

だがそれだけでは足りないし、アルバートも快感がもどかしいままだろう。

積極的にアルバートを求める姿をしっかりと見てもらうためにも、ルイス自らが腰を振らなければ終われない。

伏せていた瞳を開けてアルバートの翡翠色の瞳と目を合わせ、ルイスはその肩を抱いたままアルバートの体ごと前に倒した。

始まり同様押し倒された形になったアルバートは、姿勢を変えた瞬間に得た快感での声を耳に感じて腰が重くなる。

しばらくルイスの重みを感じていると、ふいにその体が離れていった。

アルバートだけが寝そべり、ルイスは兄の性器を内部に含んだまま足を開いて跨っている。

ルイスの顔と体、接合部までが一目で見られるこの光景は、アルバートにとって初めての経験だ。


「…なるほど、確かに、これは凄いな」

「でしょう?」

「ん、んん…」


可愛い弟の様子がくまなく観察できる。

それに加え、この体位であるならばルイス自らが腰を振ることは確定だろう。

アルバートはその期待ゆえにどくりと血液が体の中心に溜まっていくのを実感した。


「ふ、ぁ…に、兄様…その、動いても、いいですか…?」

「あぁ…頼む、ルイス」


アルバートの変化にいち早く気付いたルイスは頬を染め、これ以上ないというほど羞恥に染まった顔を伏せてアルバートの腹に両手を置いた。

そしてその手を支えに、ゆっくりと腰を上下に動かしていく。

膝で踏ん張ろうにも上手くいかず、あまり腰を持ち上げられないことにやきもきする。

けれどアルバートは優しくこちらを見ているばかりで、ルイスは焦ることなくまずは自分のペースを掴むために体を動かした。

そうするうちに段々と慣れてきたのか、もどかしいだけの腰の動きが大胆に上下するようになる。

惜しむように離れたかと思いきや迎え入れるように絡みつくルイスの内部に、アルバートは息を荒くして白い太腿に手を添えた。


「ふ、ぅあっ、あっん、んん、あ…」

「…ルイス、無理はしなくていいよ」

「ゃ、無理、じゃない、ですっ、ん、んん、はっ」


懸命に腰を上下させる振動で、ルイスの性器もふるんと揺れている。

その様子があまりにも魅力的でつい手が伸びそうになるが、健気に頑張っている彼の気持ちを優先しようとアルバートは太腿に添えた手に力を込める。

快感でとろとろと滴を溢しているそれが可愛くて、下手に触れるより見ている方が愉しいと判断したせいもある。

ルイスは無理じゃないというが慣れない体位に膝が震えているのは明白で、見かねたウィリアムが兄に乗る弟の背後に回って後ろから囁いてあげた。


「ルイス、抜き挿しするだけじゃなくて左右に動くのも一つの手だよ」

「んんっ、さ、ゆう…?ぁ、ふぅ、あん」

「一度腰を下ろして、そのまま左右に動いてごらん」

「ぁ、あっ、ひぁっ」


ウィリアムの言葉通りルイスは腰を落とし、自分の体重も加わって奥深くまで挿入された快感に身悶える。

そしてそのまま左右、そして前後に腰を回すように動かしていった。

なるほど、これなら膝が震えていても問題ないし気持ちが良い。

ルイスはさすが兄だと感心しつつ、アルバートの性器を意識してきゅうと締め付けた。

内側を硬く反りたった性器で擦られると自然と締め付けてしまうが、なるべくたくさんの快感を与えたいと考えたルイスの判断だ。

締め付ける度に中のアルバートの感触が全身に響いてそれもまた気持ち良かった。


「んっ…兄様、どう、ですか?気持ちいぃ、ですか…?ふ、ぁ」


アルバートの快感を追い求めつつ、それを自分の快感に繋げる淫らな仕草にアルバートは震えるほどの刺激を貰った。

これだけ自分を求めて懸命な様子に欲情しないなど有り得ないだろう。

普段のルイスとのギャップにアルバートの心は歓喜で震えた。


「…あぁ、気持ち良い、よ、ルイスっ」

「ひっあっ、あぁん!」

「っく…は、ぁ」


あまりにも必死に頑張る弟に言いようのない感情をあふれさせたアルバートは、自分に跨るルイスの腰を更に押さえつけるように固定して、震えて勃ち上がっていたルイス自身を下から上に扱きあげる。

突然の快感に目の前が真っ白になったルイスは大きく喘ぎ、アルバートの手と腹に向けて勢いよく精液を吐き出した。

同時に強く収縮した内部の刺激に逆らうことなく、アルバートもルイスの中に射精する。

震える中はアルバートの性器を搾り取るようにまたも収縮した。

それを心地よく思いながら、手の中にあるルイスの性器から最後の一滴までを全て絞りきるようにもう一度強く刺激する。


「やっ、だめ、もぅ出なぃ、でないですっ…にいさま、ぁあんっ」


頭を振って拒絶しても、アルバートと繋がったままでは腰を引いて逃げることも叶わない。

甲高く鳴く声と許容を超える快感を乗せた表情に、出したばかりの欲望が一気に復活する心地がした。

暴れようとする欲を何とか押しとどめ、アルバートは自分に跨って泣きながら快感を露わにする弟へと手を伸ばす。

頬を流れる水滴を拭うように払い、まだ敏感な唇へと指を這わせた。


「ん…兄様…」

「ありがとう。良かったよ」

「兄様…」


アルバートの言葉に羞恥以上の喜びを浮かべるルイスの顔は、薄暗い照明に反射して鈍く光る涙が煌めいて見える。

これだけ積極的で魅力的な一面がルイスの中にあったとは驚きだ。

十分に慕われていることが分かるし、本当に求められていたことも分かる。

妖艶でありながら無垢に微笑むルイスを見上げ、アルバートの口角は自然と上がっていた。


「アルバート兄様、兄様のことがすきです」


ぎゅうと、体を倒したルイスがそのまま兄にしがみついた。

兄様に壁なんか作っていません、だいすきです兄様、兄様、と自分にすり寄るルイスを肌で感じ、アルバートは思わず目を見開く。

可愛い弟に可愛いことを言われたような気がする。

広い割に華奢な背中を反射的に抱きしめ返し、ふと視線を彷徨わせてみれば暗闇で怪しく紅を光らせているウィリアムと目が合った。

至極愉しそうで満足気なその顔に、またも彼のプラン通りの結果になったのかと理解する。

抱き合った後で濃密な空気漂う寝室で、猫のように機嫌よく兄に懐いているルイスと彼の愛を感じて歓喜に震えるアルバートを見て、ウィリアムは一際美しく微笑んでは己の欲が満たされるのを実感した。

そうして二人の抱擁に自分も混ざろうと、座っていた腰を上げてルイスの背中に手を伸ばす。

二人の兄に愛されて幸福そのままに微笑むルイスだが、以降彼らによる巧みな話術で自らねだらなければ快感を与えられない羽目になるなど、今は想像もしていなかった。



(…最近、セックスの最中のお二人は少し様子がおかしくないですか?)

(おかしい?どんな風に?)

(以前よりも言葉が厭らしいというか…僕に対して誘導尋問めいている気がします)

(気のせいだろう。特に意識して変えた覚えはないよ)

(ですが…)

(僕も前と変わらないと思うよ。ルイスの気のせいじゃないかな)

(…そうでしょうか)

(あぁ、気にするほどのことでもない)

(兄さんの言う通りだよ、ルイス)

(…はい)