Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

のらくらり。

【R18】伯爵様のお戯れ

2019.12.04 02:28

ウィルイスとアルルイ前提、アルバート兄様によりセックスしないと出られない部屋に閉じ込められたウィルイス。


手の空いたときに連れられた屋敷は見覚えのない場所で、けれど先立って歩くアルバートの足に一切の迷いはない。

優雅に歩くアルバートに続いてウィリアムとルイスは同じく足を進めて、他愛もない雑談を交わしながら一つの扉の前にたどり着いた。

随分と厳かな雰囲気漂う立派な扉である。

よほど重要な部屋なのだろうかとルイスは考えるが、早々に答えを求めて長兄を見た。

 

「兄様、ここは?」

「中に入れば分かるさ」

「楽しそうですね、アルバート兄さん」

「そう見えるかい?まぁ間違ってはいないな」

 

前に立っていたアルバートはルイスとウィリアムに向けて美しい笑みを浮かべ、自らの手で重たい扉を開けて弟二人を中に招いた。

それに反応したのはルイスだけで、兄様に扉を開けさせてしまうなんて、と肩が僅かに上がったけれど、構うことはないと目だけで語るアルバートを見てひとまずは気を収める。

見知らぬ屋敷での出過ぎた真似は無礼にあたるし、そうであるならば詳しい様子のアルバートに任せるのが正しいのだろう。

対するウィリアムはアルバートの行動を見て静かに思考を巡らせていた。

基本的にルイスは兄に尽くすことを好んでいるし、アルバートもウィリアムもそれを知っているからこそ敢えて尽くさせてあげている。

初めて来た場所だとしても、わざわざアルバート自身が扉を開けるということは何かしらの意図があるはずだ。

紅い瞳を緩く濁らせて、ウィリアムは疑念を隠すように笑みを深める。

 

「中へ」

「…失礼します」

 

愉しげに扉を開いて傍らに立つアルバートの横を通り過ぎ、弟二人は部屋の中に入っていった。

そこにあるのは真っ白いシーツと毛布がかかった大きなベッドと、アンティーク調の小さな机だけだ。

机の上には陶器製の水差しとグラスが置かれており、ベッドに備え付けられたランプが淡い光を演出していた。

だがそれ以外には本当に何もないこの部屋は随分と狭く、スペースのほとんどが中央に据えられたベッドで埋め尽くされている。

 

「…休むにはまだ早い時間だと思うのですが」

「そうだな、眠るには大分早い時間だ」

「では、何故この部屋に僕達を案内したのですか?」

 

窓一つない小さなこの部屋に一体何があるというのだろうか。

まだ陽も高いのだから眠るどころではないだろうと、ルイスは思い浮かんだ疑問をそのまま口にすれば当然のように同意を返される。

ウィリアムは今までのアルバートの様子を思い返し、この部屋の持つ意味を考えつつ質問をする。

しかしそれには何も答えず、アルバートは垂れた目元に色を乗せて口角を上げた。

 

「私は別室にいる。終わったら訪ねておいで」

「え?」

 

そう言ったアルバートは弟二人を部屋に押し込め、極々自然な動作で出て行ってしまった。

扉は重厚な音を立てて閉まり、同時に何度か金属音が鳴り響いて施錠を知らせている。

ルイスが彼を追いかけるため扉を開けようとしても一切開く様子はない。

それでも何とか力ずくで開けようとするが、厳かな扉はルイスの力ではびくともしなかった。

 

「…随分と頑丈な鍵のようです、兄さん」

「そうだね…あの音を聞く限り、何か特殊なロックをかけているんだろう。兄さんは事情を知っているようだし、兵器課が絡んでいるのかもしれない」

「兄様が何故そんなことを?」

「ひとまずこの部屋に何があるのか探ろう」

「分かりました」

 

戸惑うばかりのルイスにそれらしく言葉を返すウィリアムだが、粗方の見当はついてしまっている。

ウィリアムの推察が正しければ今この瞬間もアルバートはこの部屋の様子を窺っているはずだ。

二人はまずベッドの隣に配置されている机に足を向ける。

入り口からでは水差しとグラスしか確認出来なかったが、他に何かあるのかもしれないと考えて真っ先に見てみれば、そこには一通の手紙が置かれていた。

宛名はなく、けれど裏面には見慣れた筆跡で書かれた長兄の名前が記されている。

アルバートから弟二人に当てられた手紙なのは間違いないだろう。

 

「兄さん、アルバート兄様からの手紙です」

「あぁ。開けてみよう」

「はい」

 

そうして中の便箋に書かれていたのは、綺麗な文字に相応しくない文章だった。

 

「…兄さん、これは一体どういう意味でしょうか」

「…大方の予想は付くけれど、本心は直接聞かないと分からないだろうね」

「予想が付くんですか?一体どういう意図があるんですか?」

「んー…」

 

便箋にはただ一文だけが記されている。

『ウィリアムがルイスを抱いたら開錠しよう』とだけが記されているのだ。

乱れた様子のない普段通りの筆跡はアルバートが自分の意思で書いたことを表している。

終わったら訪ねて来いという言葉と合わせて考えても、これはアルバート自ら計画した事案に間違いはないのだろう。

ウィリアムは自分の予想が外れていないことを確信して、この部屋に入ったときから戸惑ってばかりの弟を見てどう説明すればいいのかを考えた。

大きな赤い瞳には困惑が乗っていて、普段あまり表情を変えない弟にしては珍しく感情を露わにさせている。

アルバートが抱きたいと考えているのはルイスだけだ。

けれど彼はウィリアムのことも勿論好ましく思っているし、容姿が整っている弟二人が仲睦まじくしている様子を何より愛しく感じている。

欲を抱く相手も解消する相手もルイスだけではあるが、アルバート個人の趣向として、可愛い弟達が懸命に肌を重ねている様子を見ることは特別気に入っているらしい。

三人で肌を重ねる際、ウィリアムがルイスを抱いている様子をアルバートが恍惚とした表情で見ていることに、ルイスはともかくウィリアムは気付いている。

何故なら、ウィリアムも同じ意見を持っているから。

尊敬する兄が愛しい弟を抱く様子は胸に言い知れない快感を生む。

ルイスには理解出来ないかもしれないが、根本的な考え方が似ているウィリアムとアルバートは互いに互いをよく理解しているのだ。

つまりこの部屋は、アルバートがウィリアムとルイスの情事を観察するためだけに作られた遊び小屋だ。

街から離れたこの屋敷を買い取り、兵器課に私財を投じて、一筋縄ではいかない強固な鍵を作らせたのだろう。

随分とまぁやることが大胆で、血を嫌ってはいてもやはり彼は貴族の血筋なのだと実感せざるを得ない。

 

「単純に、僕とルイスのセックスを見たいんだろうね」

「…何故?」

 

いつも見ているじゃないですか、と薄く頬を染めて自分を見る弟の髪に手を当てて梳いていく。

ルイスの言葉の通り、いつも見ている。

けれど、おそらくアルバートが望んでいるのはウィリアムのことだけを考えて抱かれているルイスを見ることだ。

そこにもしかすると自分も入るのかもしれないが、いずれにせよアルバートは自分自身が介入しない形で弟達の情事を見たいのだろう。

いつも見ているという状況ではまず間違いなくルイスがアルバートを意識して彼に手を伸ばす。

アルバート兄様、と甘えた様子で名前を呼ばれれば手を取らないわけにはいかないし、それはそれで嬉しいのだから気分が悪いことはない。

ウィリアムとアルバートの二人に愛されて幸せそうに笑うルイスを見るのは至福と言って良い。

だからこそ、アルバートは自分を求めずにウィリアムだけを求めるルイスの姿を見てみたいのだろう。

ウィリアムも同じような感情を抱いているのだからよく分かる。

愛しい弟が持つ表情は余すことなく全て見て記憶しておきたいと思うし、それがアルバートに愛された姿ならばさぞ気分が良いに違いない。

 

「全く、アルバート兄さんも強引な手段に出てきたものだ」

「どういう意味ですか?」

「何でもないよ、ルイス」

 

アルバートの本心を知ればこの奥手な弟はきっと萎縮してしまう。

そんなことはウィリアムもアルバートも望んでいないし、ルイスがセックスに対して否定的な感情を持つことすら許していない。

ひたすらに甘やかして快感だけを与えたセックスしか経験させたくないのだ。

けれど本来持つ欲望は誤魔化せないし、他に迷惑を被る人間もいないから構わないだろう。

ウィリアムはアルバートの考えに乗ることにして、存分に可愛いルイスを見せてあげようと弟の腕を引いて細い体を抱きしめた。

 

「兄さん?」

「僕がルイスを抱くことがこの部屋を出る唯一の方法だ。ならやることは一つだろう?」

「え?で、ですが、他に隠し扉があるかもしれません、よ?」

「例えそれを見つけたとして、ルイスはアルバート兄さんの指示を違えるの?」

「…」

 

窓のない部屋ではランプに灯った薄明かりしか光源がないけれど、それでも今はまだ陽が高い。

せいぜいが‪正午‬を過ぎた程度の時間でしかないし、こんなにも明るい時間に抱かれることなど滅多にない。

背中を這うウィリアムの手に思わず肩を震わせて、まだ抵抗があるのか、ルイスは兄の体から距離を取るように腕でその体を押し返す。

整った顔は羞恥で赤く染まっていた。

 

「…僕と兄さんのセックスが見たいということは、アルバート兄様は今もどこかで僕達の様子を観察しているということですか?」

「多分ね。この部屋にはヘルダーに作らせたカメラでも仕込んであるんじゃないかな」

「…兄様もこちらに来てくださればいいのに、何故…」

 

ルイスはセックスに羞恥を感じないわけではないけれど、ウィリアムとアルバートにならば己の全てを見せることに抵抗はない。

恥ずかしいけれどその分幸福を感じているから、三人でベッドを共にすることはむしろ好いていると言って良い。

いつものように三人で肌を重ねれば良いだろうに、どうしてこんなにも面倒な手間をかけてまで自分とウィリアムのセックスを見たいのか分からなかった。

そんなルイスを知っているからこそ、アルバートは強引にこの部屋に弟二人を閉じ込めたのだ。

アルバートの真意が分からないというルイスに真実を話しても、おそらくは理解出来ないだろう。

よってアルバートは説明する手間を嫌い、共に閉じ込めるウィリアムが良いようにするだろうと期待を込めて、今頃は別室でワイン片手に今のこの状況を楽しんでいるに違いない。

過度な期待も困りものだと、ウィリアムは苦笑しながらルイスが身に付けているネクタイの結び目を緩めていった。

そうして浮いた結び目を持ち上げて恭しく唇を落とし、上目で赤い顔をしたルイスを見上げていく。

 

「ねぇルイス。僕に抱かれるのは嫌かな?」

「い、いやなわけ…」

「ふふ、ありがとう」

 

びくりと震える体に笑みを深めて、ウィリアムは淡く染まっているその唇にキスをした。

普段は見上げられることがないからか、ルイスはウィリアムやアルバートから上目で見られることに弱い。

それを理解した上でのウィリアムの誘惑だと知ってはいても、逆らうことは出来なかった。

ネクタイを外され、ジャケットとベストのボタンを外され、シャツのボタンまでもが外される。

至極丁寧な動作でジャケットとベストを脱がされれば、肌蹴たシャツを纏ったルイスは優しくベッドに押し倒された。

 

「ほ、本当にするんですか?こ、ここで?」

「そのための部屋だろう?」

「で、でも」

「ルイス」

 

もう体は抵抗らしい抵抗をしていないけれど、まだ気持ちは追いついていないらしい。

可愛いなぁと微笑ましく思いながら、ウィリアムは有無を言わせまいと凛とした声にルイスの名前を乗せて呼んだ。

 

「僕と兄さんの言うこと、聞けるだろう?」

「…は、はぃ…」

 

よく似た瞳を合わせて微笑んでみせれば簡単に落ちた。

目元をとろんと甘くさせているルイスの鼻先にキスをして、いい子だね、と囁けば細い腕がウィリアムの首に回って抱きついてくる。

その仕草がいつまで経っても幼子のようで可愛らしい。

しがみ付くように抱きしめられたウィリアムはそのまま唇を移動させ、頬と唇を通ってから筋の浮いた首筋に吸い付いた。

ちゅ、と軽い音を立てて付いたそれはあまり濃く色付いてはおらず、だからこそ白いルイスの肌にはよく馴染んでいる。

中心にあるアダムの林檎と呼ばれる出っ張りに歯を立ててみれば、喘ぐ声に合わせて揺れる感触が何とも面白かった。

 

「んぁ、ふ…」

「ルイス、腰を上げて」

「んん…はぁ、い」

 

まだきつくはないだろうスラックスのベルトを緩め、腰を上げた瞬間に下着ごと全て脱がせてしまう。

ついでに履いていた靴下も取り除いて、今のルイスは肌蹴たシャツ一枚の姿だ。

普段ならばこのまま絶妙な肌見せを堪能しながら抱くのだが、この部屋に仕込まれたカメラでアルバートが見ていることを考えると全て脱がせた方が良いだろう。

ウィリアムは己にしがみ付いているルイスの腕を軽く押さえ、シャツを全て脱がせてベッドの下へと押しやった。

真っ白いシーツに横たわるのは同じく真っ白い肌をした艶めかしい体である。

胸の中央に存在する痛々しい手術痕が、彼の無垢で危うげな様子をより一層魅力的に表現している。

頬の火傷と胸の手術痕以外は生々しい傷のない体であるよう、ウィリアムが彼をコントロールして生きてきた。

今後の計画によってはこの美しい肌が傷ついてしまうかもしれないのは何とも惜しい。

けれどルイスがそれを望むなら、その傷ごと彼を愛してみせよう。

ウィリアムはそう誓っているし、アルバートもおそらくは同じ意見だろう。

 

「…」

「ん、兄さん…」

「あぁ、おいでルイス」

 

寒いのか恥ずかしいのか、ルイスはもう一度ウィリアムにしがみ付くように腕を伸ばしてその体を引き寄せた。

すり寄る様子が可愛くて同じように抱きしめていると、ごそごそとルイスの手がウィリアムの服を脱がそうと動き始める。

自分だけ何も着ていないのは不公平だと、拗ねたようにボタンを外しているルイスを見る。

そうしてルイスの手の元でジャケットを脱ぎ、なるべく皺にならないよう適当に重ねてからベッドの端に置かれていたルイスのものと一緒にする。

上半身だけ裸になったウィリアムを見てルイスは満足そうに口角を上げ、もう一度その体を引き寄せて抱きついた。

 

「兄さん温かいです」

「寒いかい?」

「兄さんがいるから大丈夫です」

 

もっと熱くしてほしいと、視線だけでねだられれば俄然その気になってくる。

先程までの抵抗はどこに行ったのか、もはや容姿に見合っただけの色香ばかりが目立っている。

ウィリアムは得物を見つけた捕食者のような瞳をさせて、薄く開いた唇に深くキスをした。

薄いけれどふっくらと柔らかい唇をなぞり、歯列を割るように舌で嬲ってあげればすぐに中へと招かれる。

ねっとりと舌を絡ませ合いながらその表情を窺うと、とても気持ち良さそうに目を閉じているルイスがいた。

目元に長い睫毛の影が浮かんでいて、これだけ至近距離で見ても歪むことのない整った顔に満足感を覚える。

可愛い可愛い、ウィリアムの半身である大事な弟。

彼の快感を引き出すのは何よりも愉しい行為だ。

ウィリアムは合わせた唇の位置を時折ずらし、口腔内をまんべんなく舌で堪能しながら手はルイスの体をまさぐった。

滑らかな肌に触れては擽るように揉んでいき、段々と熱を帯びるその体にもキスを落としていく。

 

「ん、ふふ…兄さん」

「何だい?ルイス」

「そこ、くすぐったいです…ふ、ふふ」

 

骨の浮く脇腹に淡く触れているとくすくす笑う声が聞こえてきた。

もっと意識して触れれば艶っぽく喘ぐのだろうが、ウィリアムは子ども時代を長く過ごせず大人になってしまったルイスが持つ子どものような一面を気に入っている。

無垢でとても美しい。

この場面に相応しくないだろう子ども染みた笑い声だが、むしろ言い知れない興奮を覚える要素にもなっていた。

 

「じゃあこちらを触ろうかな」

「んっ、あ…ぁ、ふぁ」

「気持ち良いかい?」

「は、ぃ…ぁ、んん、あまり強く、すわないで…ふ、ぅん」

「でもとても気持ちよさそうだよ…ほら」

 

指をずらして胸元でぴんと主張している場所を摘まんでは吸い付いて、ゆっくりと起ち上がるそれを見せるようにウィリアムはルイスの視線を誘導する。

潤んだ瞳を下に向けさせて己の痴態を見せると、途端に気まずそうに目を逸らす様子は何度見ても良いものだ。

もう数えきれないほど抱いているのに未だに初々しい様子は消えなくて、実にウィリアム好みである。

きっとアルバートもそう思うことだろう。

己の支配欲を心地よく満たしてくれるルイスの反応は兄達の欲を的確に刺激している。

ウィリアムは瞳の奥を光らせて、ルイスの顔を自分の方に向けた。

 

「ねぇルイス。今この瞬間もアルバート兄さんは君を見ているよ。僕に抱かれて気持ちよさそうにする君を見ている」

「…」

「この姿勢じゃ、きっと兄さんは満足してくれないんじゃないかな」

「…どうすれば、兄様は満足してくださるのですか?」

 

ルイスが一瞬だけ羞恥と不満が入り混じった表情を浮かべたと思えば、すぐに瞳をあけてしっかりとウィリアムを見上げる。

アルバートの意図は分からないが、ウィリアムの言葉が間違っていたことはないのだからこのままではいけないのだろう。

盲目的に実兄を信用している末の弟にとって、自分の意見より彼の意見の方がよほど大切だった。

ルイスの言葉を聞いたウィリアムは押し倒していた体を抱き上げて、ベッドヘッドに自らの背中を預ける。

そして自分を見ているルイスに向けて腕を開き、そのまま膝の上に乗せて向かい合う状態で抱き合った。

膝に座ることはよくあることなので大した抵抗もないが、何も身に付けていない状態には羞恥が残る。

ルイスは自分の背中を抱いているウィリアムの首に両手を回し、なるべく体重をかけないように膝で体を支えることにした。

 

「これならきっと兄さんからもよく見える」

「どこにカメラがあるのかもう把握しているんですか?」

「まぁね」

 

ベッド近くの壁に備え付けられている小さなレンズはそのためのものだろう。

ちらりと寄越した視線の先を追おうとルイスが顔を向けようとすれば、見なくていいよ、と言うように顔を固定されて眼鏡も外されてしまった。

視力がさほど悪いわけではないが、ウィリアムがそうしたということは見ない方が良いのだろう。

ルイスは気にしないよう目の前のウィリアムの顔を見ることにした。

 

「んっ、ふぁ…ん、んん」

「っは、ルイス…足、力を抜いて。気にせず僕に乗っていいよ」

「ぁ、ん…ふぁ、い、あ、あぁ」

 

もう一度深く唇を重ね合わせ、ウィリアムはルイスの首元を舌で愛撫しながら両手を腰に回す。

相変わらずの細さを実感するようにじっくりと撫で回し、体の中央にある臍の窪みに触れてはその下に指を伸ばした。

僅かに首をもたげた濃い桃色をしている性器に指を絡め、優しくきゅっと握りこむ。

敏感な部分に触れられて大きくあがるルイスの声に、ゾクリとした快感を覚えた。

 

「ふ、ゃ…に、にいさんも…」

「ん?」

「兄さんのも、さわりたいです…」

「…いいよ、ほら」

 

ルイスと違って上半身だけ素肌を晒しているウィリアムのベルトを外し、スラックスと下着を軽く下ろして彼の性器を取りだした。

重ね合わせて一緒に扱くととても気持ち良かった覚えがある。

ウィリアムの意向としてあまり彼の体に触れることのないルイスにとって今は貴重な機会だ。

自分の性器よりもまだ柔らかい兄の性器に触れて、腰を捩るように彼に近づいた。

そうして重ね合わせた互いの性器は何故だか形が良く似ていて、遺伝子の強さを感じさせるものだ。

自分のそれとは違う体温を感じて、ルイスからは吐息めいた喘ぎが零れる。

 

「ふっ、ん、んん…ぁ、あぁ」

「はぁ…ルイス、上手だね…気持ち良いよ」

「にいさん…」

 

ルイスのしたいようにしていいとばかりにウィリアムは彼の腰を支えるのみで、互いの間にある欲望の象徴はルイスの手により愛撫されている。

二人分のそれを握り、細い指で輪を作るようにして上下に扱くと脈打つような感触がした。

雁の部分に指の平を添わせてゆるりと撫でれば、自分の指だというのにその快感に思わず震えてしまう。

彼の本質を表すように控えめな刺激はウィリアムにとってはもどかしくて、けれど懸命な様子にとてもそそられる。

慈しむように褒めてあげれば嬉しそうに表情を変えて、甘えるように頬にキスをされた。

言葉一つで俄然やる気になったようで、ルイスは兄の首に懐きながら両手を使って互いの性器を扱いていく。

まるで遊んでいるような表情と生々しい行為は見事なギャップを生んでいて、ウィリアムの心を揺さぶっていた。

 

「ふっ、あ…?ん、に、にいさん」

「そろそろここも慣らしておかないとね」

「あ、あぁん、…ひ、ぅ」

 

ルイスが手淫に夢中になっていると、腰を支えていたウィリアムの手が下に降りていき、形の良い臀部を割ってからその先に指を伸ばしてきた。

まだ硬く閉じているそこを指でノックするようにとんとんと突いてみれば、ルイスの頬は一層薔薇色に染まってウィリアムを見る。

それに笑顔を返して、手淫を続けるよう命令した。

潤いが足りないな、と考えていると都合よくベッドヘッドには見慣れた小瓶が置いてあり、器用に片手で瓶の蓋を開けて中身を確認すると普段使っている潤滑油が入っている。

さすがアルバートが考えた案件であり、用意周到なことだとウィリアムは苦笑する。

ルイスの肌に馴染ませるように腰の部分からそれを垂らしていき、手のひらで揉みこむように撫でていく。

そうして十分に温まったオイルを指にたっぷりと纏わせて、ウィリアムはもう一度先ほどの部分をノックするように触れていった。

耳元では可愛らしく喘ぐ声が聞こえてくるし、抱いている体はしっとりしていて温かい。

己の欲を如実に示す性器はルイスが懸命に愛撫を施しており、すっかりウィリアムのそれは勃ちあがっていた。

勿論、ルイスのものも同じく勃ちあがっている。

本当に、食べてしまいたいほどに魅力的な弟だ。

 

「ぁ、んっ、ふ…ぅ、ぅあん」

「痛くない?」

「んー…だいじょうぶ、です…きもちいぃ…ん、んぁ」

「ねぇルイス、今君の中に僕の指は何本入っているだろう?」

「…ふ、ん…ぃ、一本…?」

「正解」

 

痛みを感じさせないよう丁寧にルイスの内側を解していき、今はウィリアムの長い中指がしっかりと根元まで収まっている。

指先で擽るように中を掻き混ぜてみると、ルイスの腰が浮いて逃げるように離れていった。

それを許さず追いかけるように指を中に押し込めば、観念したようにゆっくりと腰を下ろして力を抜く。

そうすると己の体重分の圧がかかるようで、高い声が耳に届いた。

快感を拾っていることが甘い声により十分伝わってきて、ウィリアムは順繰り指を増やして中の襞を掻き分けるように慣らしていく。

その度に聞こえてくる声を心地よく思いながら一度指を引き抜き、両手の人差し指を入れてそこを広げるように左右に開いていった。

 

「あ、ぁ…」

「もう大分柔らかくなった。どうする?もう挿れようか?それとも、もう少しこのまま自分で遊んでる?」

「ん、ん…も、兄さんの、欲しい…」

「じゃあルイスが挿れてみようか」

「ぼ、僕がですか…?」

「大丈夫、僕が手伝ってあげるから」

 

顔を上げたルイスの唇を吸って、穴を広げていた指を離して腰を支えていく。

足を開いて、と言えば大胆にもしっかりと外に向けて足を開き、腰を上げて、と言えば何とか膝を支点にして腰を上げてくれた。

僕のを持ってそのまま座ってごらん。

そう囁けばまるで操り人形のようにルイスはウィリアムの性器を手に取って、その上に座るようにして自分の内側へと兄を招いた。

けれど先端の太い部分を挿れるのは少し怖いようで、中々腰が下りていかない。

それでもウィリアムは辛抱強く待って、ルイス自らが挿入できるよう体の力を抜かせるために何度も何度もキスをする。

ふわりと落とされる唇にほっとしたルイスは本当に体の力が抜けたようで、気を抜いた瞬間に太い部分どころか半分程が中に挿入っていった。

 

「あっ…!?ん、んぁ、あぁっ」

「ん、あと少しだ」

「ぅ、んぁ、ふっ…」

「…全部、挿入ったね」


とろんとした瞳でどこかを見ているルイスと視線を合わせるため、ウィリアムは優しく彼の顔を見た。

段々と焦点が合ったルイスの瞳にはウィリアムの顔が映る。

兄の顔を認識した途端、ルイスは安心したように口元を緩めて白い足で彼の腰を挟み込んだ。

腕も足もウィリアムにしがみつくように抱きしめて、しばらくの間はただ静かに息を整える。


「ん…にぃさん、奥…」

「奥がどうかした?」

「奥、とんとんしてほしい、です…ぁ、んん」

「ふふ…そのためにはルイスも頑張らないとね」

「あっ、あぁ…んんぅ、ふっ…うぁ、はっ…」


ルイスの体を抱き、下から突き上げるようにしてウィリアムは腰を動かした。

すっかりと体重をかけている分だけかなり奥まで届いているようで、ルイスの内側はきつくウィリアム自身を締め付けている。

きゅうきゅうと絡みつくような刺激は全身に広がるほどの快感で、ウィリアムは息を荒くさせてルイスの肩に頭を寄せた。

その頭を掻き抱くように抱きしめて、ルイスは熱くて硬くて大きいウィリアムの性器を自らの体内で感じている。

思わず揺れてしまう腰が更に快楽を誘発していることには気付いていないだろう。


「んっ、あぁ…にぃさん、ウィリアム、兄さぁん…」

「はっ…ルイス…っ」

「ふぁっ、んっんぁ…やぁ、そこ…にぃさんっ」

「とんとん、して欲しかったんだろう?ルイス…」

「あっ、ぅあ、あぁっ」


自然と腰が揺れているルイスの動きに合わせて、ウィリアムは的確にルイスの最奥目掛けて突いていく。

迎えるように開く部分と逃さないように締め付ける部分を堪能しながら、甘く喘ぐ声を食べてしまうように唇同士を合わせた。

柔らかく熟れた唇は気持ちがいい。

ぬるついた舌も絡め合わせて、唾液を飲み込むように喉を鳴らしていく。

そうして漏れ出るくぐもった声を心地よく思いながら、ウィリアムは互いの体の間で健気に震えているルイスの性器に手を伸ばした。

先端から滲む液体を広げるように馴染ませていけば、ピクンと脈打っては膨張するように熱が増していく。


「あっ、んぁ!やっ、触っては…あぁんっ」

「そろそろ、イきたいだろう?ルイス…」

「んっん…イ、イきた…イきたい、です…っ、兄さんっ…」

「…なら、どうすればいいか…分かるよね?」

「ぁ…」


命令するようなウィリアムの声に、ルイスは蕩けた思考のまま彼を見た。

膝に乗っているため見下ろしながら見たウィリアムの顔は欲に塗れていて、この顔を引き出しているのは自分なのだと考えるとたまらない優越感を覚える。

普段は凛とした兄がこんなにも強く自分に執着してくれていることが嬉しくて、ルイスはそれだけで達することが出来そうだ。

けれどそれではウィリアムは納得しないだろうし、ルイスとしてももっとしっかり気持ち良くしてもらいたい。

ルイスは両手をウィリアムの頬に寄せて、薄いけれど形の良い唇にもう一度吸い付くようなキスをした。

ちゅ、と可愛らしい音を立てたそれはルイスにとってのおねだりと同義である。


「ウィリアム兄さん…僕のこと、イかせてください…」

「…それで?」

「ウィリアム兄さんも…僕の中で、イきましょう…?」


一緒がいいと大きな瞳が甘えるように潤んでいて、それでいて子どもらしくない情欲ばかりに支配されている。

色香漂うその容姿と雰囲気にそぐわない可愛らしい誘いはウィリアムが満足するものだったらしく、ギラリと目の色を変えたウィリアムはそのままルイスの体をベッドに押し倒した。


「ふっ、あっ…!?んゃ、あぁっ…んん〜!」

「はっ…はぁ、はぁ」

「ん、ぁ…に、ぃさん…兄さんっ…」

「ルイス…」


そうしてそのまま思い切りルイスの中を貫き、勃ちあがった性器を扱いては射精を促す。

達する直前だったルイスは我慢することなく、奥を刺激された快感と性器を弄られた快感で勢いよく白い欲望をウィリアムの手に吐き出した。

達した衝撃で頭が惚けるのもつかの間、段々と内側に広がる暖かい感覚に、ウィリアムも達したのだとルイスはようやく理解した。

じんわりと広がるそれは早く掻き出さなければならないのだろうが、愛する兄のものだと思うとこのまま取り込んでしまいたくなる。

勿論それを許してはもらえないけれど、せめて今だけこれは全て自分のものだと、ルイスは足をウィリアムの腰に絡めたまま腹に力を入れた。

内側に存在するウィリアムの性器を締め付けて、同時に兄の体を抱き寄せる。

抵抗なく近付いてくれるウィリアムに、ルイスは柔らかく表情を変えて微笑んだ。


「ウィリアム兄さん」


名前の後に言った言葉は何だろうか。

聞き取れないほど小さなそれは確かに唇を震わせていて、至極幸せそうな顔をしているルイスはウィリアムの体を抱きしめてから互いの頬をすり寄せた。

可愛い弟の可愛い愛情表現に、ウィリアムも同じように言葉と態度で返していく。

二人はしばらく戯れるように体を重ねては、溢れんばかりの感情を互いに与えていった。


果たしてこの情事はアルバートのお気に召すものだったのだろうか。

途中からは兄のことなど記憶の外に追いやっていたウィリアムはルイスを抱きしめつつ、今頃ワインを飲みながら優雅に足を組んでいるであろう長兄を思い浮かべた。

彼の欲望を満たしたのだから、相応の見返りはあってもいいだろう。

ウィリアムは腕の中で己に甘える弟を見て、歪な皮膚をした右頬にキスをした。




(失礼します、アルバート兄さん)

(やぁウィリアム。よくこの部屋だと分かったね)

(簡単なことですよ、説明するまでもない。ところで、僕とルイスのセックスは兄さんのお気に召すものでしたか?)

(あぁ、想像以上だ。ウィルだけに甘えるルイスは思っていた通り随分と可愛らしかった)

(それは何より。それで、この屋敷はそのためだけに用意したんですか?)

(取り壊されるところだったのを安く買い付けたんだ。鍵およびカメラは兵器課に依頼した)

(やはり…また大掛かりなことをしましたね、兄さん)

(仕方あるまい。私が近くにいては、どうしたってルイスは私にも手を伸ばしてしまうのだから。まぁ、そこが愛しいところでもあるのだがね)

(全く…ところで、あの部屋の鍵は今どちらに?)

(ここにある)

(兄さんの希望に沿ったのですから、僕の希望もきいてもらえますよね?アルバート兄さん)

(…そういうと思っていたよ、ウィリアム)

(さすが兄さん、話が早いですね。今は寝ていますが、起きて兄さんの顔を見たらルイスは拗ねるでしょう。しっかり説明してあげてくださいね)

(あぁ。存分に甘やかしてくるとしよう)

(行ってらっしゃい、兄さん)