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のらくらり。

【R18】次男vs末弟

2019.12.04 02:52

現パロ設定のウィルイスとアルバート兄様。

兄様18歳、ウィリアム15歳、ルイス14歳の思春期。


両親と兄弟を火事で亡くしたモリアーティ家の三兄弟は互いに手を取り合って生きている。

と言っても亡くなった両親と兄弟との折り合いは悪かったためさほど悲しむこともなく、アルバートとウィリアム、そしてルイスは実に伸び伸びと快適な生活を送っていた。

それでも長兄であるアルバートが一家の大黒柱となるには18という年齢ではまだまだ若く、後見人となってくれた親類に頼ることも多い。

そんな中でも極力他人を頼らず、三人きりでの生活を兄弟は満喫していた。


「それで、私が留守にしている間に一体何があったんだい?」

「…」

「…」

「二人とも、無言では分からないだろう」


アルバートが研修のため一週間ほど家を空けていたのも先ほどまでのことで、ようやく可愛い弟達が待つ屋敷に帰ってくることができた。

久々に会うウィリアムとルイスはやはり可愛い弟達で、アルバートの心を程よく癒してくれる。

出迎えるときに花が咲き誇るような笑みを見せてくれたルイスと、嬉しそうに笑みを深めて美しく微笑んだウィリアムは想定していた通りだ。

けれども、二人の間に漂う空気が普段とは全く違っていた。

まるで双子のようにそっくりで、互いを想いあって尊重しているウィリアムとルイス。

二人が兄弟以上の関係であることをアルバートは知っているし、だからといって嫌悪感を抱くこともなかった。

むしろ美しい弟と可愛い弟が懸命に愛を育んでいるというのはたまらなくアルバートの心を刺激している。

子どものような淡いキスを交わす二人は見ていてこの上ない癒しにもなるのだから、存分に愛を交わして仲睦まじくいればいいと思う。

アルバートはウィリアムとルイスの恋仲については一番の理解者なのだ。

それこそ、二人が初めてキスをした日も想いを通じ合わせた日もいつなのかを知っている。

いつだって可愛らしく想いを確かめ合っている弟達なのに、今は見るからに険悪な雰囲気だ。

いや、険悪というほど雰囲気は悪くないけれど、ルイスは分かりやすく拗ねているしウィリアムの微笑みも薄っぺらい。

アルバートはさも珍しいとばかりに瞳を開けて二人を見た。


「…兄様、兄様は僕の味方ですよね?」

「そうだね。いつでもおまえの味方でありたいと思っているよ」

「ウィリアム兄さんが酷いんです」

「ウィリアムが?そうなのかい、ウィル」


ソファに腰掛けるアルバートの左右にルイスとウィリアムが腰を下ろした。

まるで縋るようにアルバートに助けを求めるルイスは14という年齢を考えてもやはり幼く見えて、何でもしてあげたいという庇護欲にかられてくる。

けれどその口から出る言葉は俄かには信じられなくて、拗ねた表情を浮かべているルイスを見てから隣に座るウィリアムへと問いかけた。

大きな瞳に不満を乗せているルイスとは対照的に、ウィリアムは至極堂々とした表情を浮かべている。

紅い瞳には納得いかないような色を乗せていた。


「まさか。そんなこと、あるはずないじゃありませんか」

「そうだろうな。信憑性に欠ける」


ルイスに酷い対応をするウィリアムというのはアルバートの頭脳を持ってしても想像するだに難しいし、事実ありえないことである。

大事に囲いすぎてルイスの不満を買うことはあっても、意図的に酷いことをするなど天地がひっくり返ってもないだろう。

二人の兄として、ウィリアムがルイスをどれだけ大事に慈しんでいるのかをアルバートは誰より知っているのだから、いくらルイスの言葉といえど信じられなかった。

長兄と次兄が揃って同意するように頷く様子を見た末弟はムッと瞳を釣り上げる。


「本当に酷いんですよ!ウィリアム兄さん、僕の話を聞いてくれないんです!」

「なるほど」

「アルバート兄様、兄様は僕の話を聞いてくれますよね?」

「聞くだけなら可能だよ」

「実は…」


ルイスの意見を聞かないウィリアムというのならばあり得る話かもしれない。

普段であれば持ち前の頭脳と巧みな話術を持ってして、そのことをルイスに気付かせないウィリアムだというのに珍しいことだ。

ある意味鈍いルイスに勘づかれるなんて、何か下手でも打ったのだろうか。

アルバートはルイスのむくれた頬をつついて空気を抜き、続きを促すように声をかけた。

すぐ隣ではウィリアムも呆れたように息をついてアルバートに凭れかかっている。

左右から感じられる温もりに癒されながら、さて一体何があったんだろうかと、軽く身構えたのも一瞬のことだった。


「セックスのときに、コンドームを使うか使わないかで揉めていた?」

「えぇ」

「アルバート兄様はコンドームを使いますか?」

「いや、少し待ってくれないか。何がどうしてそんな話になったんだい?」


アルバートが戸惑いを浮かべた表情で弟達を見れば、長兄に対して羞恥など今更のことらしく、一切の照れも見せない二人がいた。

けれど聡明な彼らに相応しくない、一周回って馬鹿馬鹿しい喧嘩の種はアルバートに混乱をもたらしている。

そんな長兄の反応に予想が付いていたのか、ウィリアムは焦る事なく淡々と事と次第について話していった。

ウィリアムとルイスが想いだけでなく体をも繋げたのは数ヶ月前のことである。

元々アルバート含めスキンシップが多い兄弟であり、二人の間でのキスやハグは日常といっていいほどの習慣になっていた。

ウィリアムとルイスはその延長として互いの体に触れ合っており、挿入までせずとも触れ合うだけで気持ちを満たして行為を終えることも多かったのだ。

ルイスが心臓を患っていた期間もあり、二人がしっかりとしたセックスをするまでには割合時間がかかっていたとアルバートは記憶している。

病が完治した今でもウィリアムはルイスの体に関して本人以上に過敏に反応しているし、なるべくルイスの負担にならないよう丁寧に慣らしてようやく体を繋げたのが数ヶ月前のことだった。

どちらかといえばウィリアムの方が積極的ではあるが、ウィリアムに求められることを嬉しく思うルイスも彼に負けず劣らずで、ゆえに体の相性も抜群に良い。

受け入れる側であるルイスの負担が極力少なくなるよう配慮したウィリアムにより、二人は学業に差し支えない範囲で体を重ねては愛を紡いで育んでいた。

その場面に立ち会ったわけでもないが、垣根なく可愛がってきたおかげなのか、基本的に弟達のセックス事情はアルバートへ筒抜けである。

トラブルなく初めてのセックスを終えてからは一層満たされた顔をして過ごしていたというのに、何がどうして避妊具について揉めることになったのだろうか。


「先日、いつものように避妊具を付けようとしたらルイスが怒ってしまい、以来ずっとこの調子なんです」

「僕はちゃんと理由を言ったのに、兄さんが無視したんです」

「…つまり、ルイスはコンドームを付けずにセックスしたいのに、ウィリアムがそれを許してくれないというわけか」

「…はい」


さすがに気恥ずかしくなったのか、ルイスの目元が薄く染まっていた。

ウィリアムはルイスのことを誰より大事に想っており、当然のように避妊具を付けて行為に及ぶ。

妊娠の心配はないにしろ、衛生面や後処理を考えれば使わないという選択肢すら存在しなかった。

誰より大事な弟の体を守るため、そして彼を心置きなく可愛がるためにも、モリアーティ家の自宅には常に愛用の避妊具を常備している。

ルイスもそれに不満を言うでもなく、きちんと理解があったのだ。

僕が付けます、とルイスがウィリアムへ直接避妊具を付けることもあった。

そうだというのについ先日、ルイスが突然「コンドームを付けないでほしい」と懇願してきた。

思わず目を見開いたウィリアムへ甘えるように縋り付いて、ルイスはもう一度「そのままがいいです、兄さん」と誘惑するように囁きかける。

普段とは違うその様子に戸惑ったのも一瞬のことで、ウィリアムはその誘惑を無視していつものように避妊具の封を開けてその身に付けた。

そんなウィリアムにムッとしたルイスだったが、その場で文句を言うことはなかった。

けれど、以降も体を重ねるときに付けないでほしいと幾度となく懇願したというのに、その全てを優美な微笑みとともに無視されてしまったのだ。

いくら兄に対し盲目的なルイスといえど不満は募るし、そのままの兄さんを感じたいと理由を言っても「君の体のためだから」と一向に聞き入れてはくれなかった。

そのことで遂にルイスが拗ねてしまい、今日アルバートが帰宅する日に二人の仲違いが被ってしまった、という訳である。


「…なるほど」


思っていた以上に馬鹿馬鹿しい、けれど当事者である二人にとっては真剣そのものといったそれは、アルバートに不思議な感情をもたらしてくれた。

いつだって聡明で手のかからない弟達だったのに、この歳になってようやく手のかかることをしているのだ。

アルバートは己が持つ兄心がくすぐられる心地がした。

そうして一度瞳を閉じて、ゆっくりと綺麗な翡翠色を見開いて口を開ける。


「結論から言ってしまえば、私はルイスの味方にはなれないな」

「そんな!」

「アルバート兄さん」


アルバートを味方に付けようと考えていたルイスは、あまりにもはっきりとしたアルバートの物言いに赤い瞳を瞬かせた。

自分に優しい彼ならば問答無用で味方してくれると考えていたルイスの思考は相当に甘い。

そんなルイスとは対照的にウィリアムはアルバートという強い味方を得た余裕からか、表情に普段通りの穏やかさが戻ってきた。


「セックスのときにコンドームを使うのは男としての嗜みでもある。相手を慮っての行動なのだから、ウィリアムの肩を持つ他ないな」

「ですが…!」

「ウィリアムがどうしてコンドームを使っているのか、理由は知っているんだろう?」

「…僕の体を思ってのことだと、言われました」

「そもそも、どうしてルイスは使って欲しくないんだい?あるとき突然使って欲しくないと言われても、納得できるはずないだろう」

「…そ、れは…」


端的にアルバートが自分の意見を述べて諭すように話しかければ、ルイスは気まずそうに瞳を伏せた。

それに構わず、ウィリアムが改めてルイスの意思を確認しようとその顔をじっと見つめている。

意思を聞いたからといってその通りにするつもりはないけれど、最大限の尊重はしてあげたいと思うのだ。

ただでさえアルバートが帰ってくる今日この日まで引きずることになるとは想定外で、それだけルイスが思いつめていたことの証明でもある。

ウィリアムが見せる全てを見透かすような紅い瞳に、ルイスは抗うことができなかった。

理由など、ルイスの我がままとしか言いようがないのだから。


「…兄さんが僕のためにコンドームを使ってくれていることは分かってます。でも…」

「…うん?」

「は、初めてシたときは、コンドームなかったのに」

「…そうだったのかい?ウィル」

「…えぇ。確かに、初めてルイスを抱いたときには使っていませんでしたね」


むぅ、と年相応に幼い表情を浮かべて、ルイスはウィリアムでもアルバートでもない場所に視線をやって分かりやすく不満を表している。

普段見せないその表情を好ましく思いながら、アルバートはウィリアムに目をやった。

美しい緋色の瞳に何かを映したかと思えば思案するように彷徨わせ、ある程度の当たりを付けたのか、薄く開けた唇から小さく声を漏らす。

アルバートはなるべく負担のないようゆっくりとルイスの体を慣らしていったと聞いていたから、てっきり初めてのセックスからきちんと避妊具を使っていたのだと思い込んでいたのだが、実際はそうではなかったということに驚きを隠せない。


「抱く予定のないタイミングで抱くことになってしまったので、使いたくても使えなかったんです」

「なるほど…」


後悔を滲ませて話すウィリアムに、さぞ切羽詰まった状況だったのだと察しがついた。

大方、ルイスがねだるなりウィリアムの我慢が効かないなり持ち合わせがなかったなりの事情があったのだろう。

だとしてもその一度以外は徹底して避妊具を使っているというのだから、ウィリアムの忍耐力もさすがといったところである。

それよりも問題は、過去のことを持ち出して今現在も不満げに表情を変えている末弟だった。


「初めてセックスしたときは何も付けてなくて、直接兄さんを感じられて、…嬉しかったのに」


ソファに置かれていたクッションを腕に抱き、ルイスはウィリアムを見ずに色づいた唇を小さく動かしてゆっくりと声を出す。


「それに、セックスのときはコンドームをしない方が気持ち良いって本に書いてありました。…ウィリアム兄さんに、もっと気持ち良くなってほしかったのに」


なのに兄さんは僕の話なんてろくに聞いてくれませんでした、酷いです。

そんな言葉を吐き出した唇は淡い桃色をしていて、頬はそれよりももっと濃い色をしている。

健気すぎるその一言は、ウィリアムだけでなくアルバートの心をも的確に射抜いてみせた。

以前言っていた「そのままの兄さんを感じたい」というのはやはり建前で、実際はウィリアムを思ってのことだったらしい。

アルバートを挟んで向こう側に座っている健気でいじらしい弟に、ウィリアムはゆっくりと手を伸ばしてその唇に己の指をそっと這わせる。

ふわりとした柔らかい感触としっとりした質感は何度触れても気持ちが良いと思う。


「ねぇルイス。僕が避妊具を使うのは君の体を思ってのことだ。それは理解してくれているね?」

「…はい」

「初めて君を抱いたとき、その後しばらく体調を崩しただろう?つらそうにするルイスはもう見たくないんだ」

「でも、今はもう随分と体も慣れてきました。体調を悪くすることはないと思います」

「それでも、だ。少しでも君に不都合があるなら、僕はセックスなんてしたくない」


きっぱりと、よく通る声で言い切ったウィリアムの迫力にルイスは思わず口を噤んだ。

確かにその言葉の通り、初めてウィリアムとルイスがセックスをした翌日から数日の間、ルイスは体調を悪くして寝込んでいた。

十分に体を慣らしてはいたけれど、直接感じられるウィリアムの熱を体内に残したままにしてしまったことが原因だとウィリアムは考えている。

しっかりと掻き出して後始末をしたつもりだが、それが不十分だったのは明白だ。

ようやく体を繋げられたというのに、可愛い弟はそのままベッドで一人唸る羽目になってしまった。

後悔しても仕切れないし、ウィリアムはあんなルイスを見るくらいなら己の欲くらい我慢してみせると考えていたのだ。

しかしルイスはそんなウィリアムの考えなど知らず、幸せそうに微笑っては「兄さん」とはにかむように呼んでくれるのだから愛しさは募るばかりである。

もどかしいばかりの愛情だけが心に溢れて、簡単には抑えられそうもない。

だからこそ初めてのセックス以降は必ず避妊具を使って行為に及ぶようになり、その甲斐あってかルイスが体調を崩すこともなくなり、ウィリアムが一安心したのはつい最近のことだったのだ。


「僕には君の体以上に大切にするものなんてない」

「…兄さん」

「僕は十分に気持ちが良いし満足している。それとも、ルイスは気持ち良くなかったのかな?」

「そ、そんなこと、ないです」

「そう、良かった」


ほっとしたように息をつくウィリアムを見て、ルイスは胸が疼くようにときめいた。

自分ばかりウィリアムを追いかけているように感じることもあるけれど、それは単なる勘違いなのだと実感せざるを得ない。

こんなにも大事にされて、想われているのだから。

そして自分も同じように大事に想っているからこそ、ルイスはウィリアムと何にも阻まれることなく一つになりたいと思う。


「…でも、僕はそのままの兄さんに抱いてもらいたいです」

「…困ったね」

「そのままの兄さんと一緒になりたいです」

「…」


ウィリアムの想いを知って尚、頑なに主張するルイスも中々に頑固だ。

それだけ自分に執着してくれているのは好ましいけれど、だからといって安易に許して後で何かあっても困る。

けれど思いつめたようにじっと見つめてくるルイスを無碍には出来なくて、ウィリアムは最大限の譲歩だと条件をつけることにした。


「…条件は二つ。一つは、後始末を僕にしっかりさせること。ルイスはいつも嫌がって僕にさせてくれないけど、避妊具なしでセックスするなら僕の手できちんと中を掻き出すことが条件だ」

「…わ、かりました」

「もう一つは、もしセックスの後で体調が悪くなってもそれを隠さないこと。万一にでも誤魔化すようなことがあれば、今後一切、僕はルイスに触れることはしない」

「…はい」


提案された条件はアルバートからすれば至極真っ当で、ルイスからすればどこか心苦しいものだった。

真剣な顔で言っているのだから冗談ではないし、もし体調不良をルイスが隠せば今後は何があろうと触れてくれることはないのだろう。

けれどそれを守れば初めてのときと同じように、何にも遮られることなくウィリアムと一つになれるのだ。

今までは少しも聞き入れてくれなかったのだから大した進歩である。

気を取り直したルイスは表情を明るくして、ウィリアムの顔を見つめて甘えたように声を出した。


「約束は守ります。だから、今日はコンドームなしで、セックスしましょう?」

「…いいよ」


唇に置かれていた指先を吸うようなキスをして、ルイスは大きな瞳でウィリアムを見上げる。

可愛らしい誘惑に逆らうことなく、ウィリアムは指先に触れる唇をなぞってはその弾力を堪能した。


「…これで二人の揉め事も解決かな?」

「えぇ。ありがとうございます、アルバート兄さん」

「特に何もしていないよ」

「いえ、兄さんがいたからこそ、僕もルイスも感情的にならず話し合うことができました」

「兄様、ありがとうございます」


目の前で繰り広げられる弟二人の甘美な会話を、アルバートは特等席で存分に堪能していた。

愛おしげにルイスを見つめるウィリアムも、頬を染めて嬉しそうにウィリアムを見上げるルイスも、この上なくアルバートの心を癒してくれる。

今晩の二人は蜜のようにさぞ甘い夜を過ごすのだろう。

可愛い弟達の充実した時間を想像し、二人にとって満足いく時間になれば良いと、アルバートはウィリアムとルイスの頭をゆったりと撫でていった。


「ルイス、あまりウィリアムを困らせないようにな」

「困らせていません。兄さんが僕の話を聞いてくれなかったせいです」

「ふ、それもそうか。ウィリアム、ルイスを大事にするのは良いが、本人の意見も大事にしてあげなさい」

「そうですね…気をつけます」


尊敬しているアルバートへは二人とも素直に返事をする。

珍しい弟達の些細な喧嘩は、末っ子であるルイスの粘り勝ちといったところだろうか。

言い知れない迫力と抜群の頭脳を持つウィリアムでさえルイスに関してはその頭脳が役に立たないのだから、さすが魅惑の末弟である。

自覚なくウィリアムを翻弄するルイスと、そんなルイスを支配して閉じ込めようとするウィリアム。

それぞれの思惑を感じ取りながら、やはり我が家は良いなと、アルバートはしみじみ思うのだった。




(ところでルイス、コンドームを使わない方が気持ちが良いと書いてあった本はどこで読んだのかな?)

(クラスメイトが持っていたアダルト雑誌に書いてありました。生の方が気持ちが良いって)

(へぇ…そう…)

(ほぅ…)

(ゴム越しの快感は偽物だから男なら生でするべきと書いてあったので、そういうものなのかと)

(…随分と偏った思想の持ち主が書いた雑誌だな)

(でも、そのときいた生徒もみんな同意していましたよ)

(…ルイス、その雑誌を読んでいたクラスメイトの名前、全員教えてくれるかな)

(え、はい…兄さんも兄様も、どうかしましたか?)

(どうもしないよ、ルイス)

(せっかく余計な虫がつかないよう純粋培養していた花に余計な不純物を植え込まれては困るからね)

(少し駆除しようと思っただけだよ)

(はぁ…?)