佐和山隧道
今回は檔鳥坂隧道以来、久しぶりの村田鶴の作品を紹介します。
この隧道は他の隧道と一線を画すポイントがあります。
いや隧道がと言いますか、その置かれている状況がと言った方が正しいかもしれません。
掘られている場所は、
国道8号
言わずと知れた天下の大幹線。
賤ヶ嶽隧道もそうでしたが、あちらは旧道となり県道指定されています。
こちらは市街地のど真ん中、琵琶湖に張り出した佐和山を貫く隧道です。
こんな立地では県道化や拡幅は望めません。
となれば残る末路は一つ。
村田鶴作品で唯一の完全廃隧道なのです。
まずは地図をどうぞ!
真ん中のトンネルは現役の国道8号トンネルである「佐和山トンネル」。
その脇から不自然に伸びる細い道。
これを疑うなって方が無理でしょ??
それではレポスタート!
これが現役の佐和山トンネル。
個人的な感想としては、このトンネルも思ったよりも来てるなということです。
これも村田作品じゃないの??
昭和28年竣工なら時期は違うか・・・。
まぁ古いには違いないですが。
そしてその隣の明らかに新しい歩行者用トンネル。
平成6年生まれで、これら「佐和山隧道群(命名)」の中で最も若いトンネルです。
唯一の平成生まれとして、国道8号という幹線の歩道という役割をしっかり担っています。
そして最も西側に位置する旧佐和山隧道は山の奥へ伸びる道の先にあります。
これだけ見ると奥の民家への私道にも見えますね。
民家は廃屋でした。
その廃屋の横を抜ける怪しすぎる道。
・・・これ事前情報なかったらたぶん突っ込めないな。
怖すぎるもん、この奥。
なんか瘴気を感じるぞ。
瘴気の影響か、この辺で撮った写真は漏れなくぶれてました。
なんか広場的なところに出ましたが、隧道はあの先・・・。
正直、嫌な予感しかしない。
抜け道はある・・・。
その先は・・・、鬼が出るか蛇が出るか!?
おぇえ・・・
すいません。
なんか吐き気を催すほど濃密な廃の空気。
そしてそれを演出するものは道以外にもあるのです。
そして藪の中になんかある・・・。
ここから見えるシルエットが・・・、なんだその・・・グロい・・・。
廃車ですね。わかります。
廃止後、ここに放置されたのでしょう。
風化し方がおどろおどろしい。
ここは廃車の展示場か!!
なんだこの有り様!
別に何もないだろうけど、出来れば近寄りたくないんだよ!!
不気味すぎるこの景色に、さっきの霧雨の湿度が相まって不快指数MAX!
なんて旧道だ!!
ここにきて足もとまで沼化し始めます。
なんかオイル的なもの混じってないだろうな。
まぁこの植生を見る限り、影響は出てないでしょうが。
旧山中隧道を思い出したよ・・・。
そしてここまでくれば、最終目的地はもうすぐそこ。
旧佐和山隧道(さわやまずいどう)
大正13年竣工。
かの村田鶴の作った隧道の中で最も古い隧道です。
しかし相変わらずの呪い(自業自得)のせいで、ぼやけた写真で申し訳ありません。
容玄妙門
扁額に掲げられた意味は「趣深い姿をした洞門」とでもすべきでしょうか。
現在では趣深いという意味の「玄妙」より、「奇怪」といった方がしっくりきますが。
当時はきっと玄妙だったのでしょう。
写真を見るとその雰囲気が判ります。
石材を用いたピラスターと笠石、帯石、それに見事にマッチしたイギリス積みの煉瓦。
雰囲気はあれですが、大正隧道の真髄を見る事が出来ます。
完全水没!!
これは行けません。
これは無理。
長靴は必須ですし、長靴があったところでどうにかなる水位には見えませんでした。
そして洞内も見事な煉瓦巻き。
さすが村田製隧道の長男!
このおどろおどろしさもオブローディングのスパイスだ!!
緑の海に眠る廃隧道。
やっとここで、この隧道を素直に美しいと思えました。
しかし此処は廃道を辿り、廃屋をすり抜け、廃車の群れをかわしながらでなければ辿りつけない、廃隧道。
廃もの尽くしの廃隧道。
堪能させていただきました。
ちなみにこちらは南口ですが、
北口は完全に埋め立てられており現存しないことが分かっています。
残念!
ここから再び、村田鶴の足跡をたどる旅が始まります!
こうご期待!
以上、佐和山隧道編