最後の雨 26
痛いな・・・ズキズキする・・・・薬を塗ってこようかな・・・・・
ハニはドレッサーの上に置いてある火傷の薬に目が行った。
隣ではスンジョが静かな寝息を立てて眠っている。
動くだけでやけどをした事が痛かったが、何日も遅い時間まで研究室に残っていて疲れているから、寝かせてあげようと思い、起こさないように静かにベッドから出ることにした。
そっと床に足を降ろして、ゆっくりと立ち上がった。
__ギシッと少し体を動かしたら、ベッドが軋む音がしてハニはドキドキしながら振り向いた。
スンジョは聞こえていなかったのか、いつもと変わらない姿勢で、寝返りも打たずに眠っていた。
ただちょっと違うのは、いつもはハニの方に伸ばしている腕が伸びていなかった。
その姿を見た時ハニは胸がズキッとし、微妙に気持ちが伝わらない寂しさを感じた。
それの寂しさが何なのかは、まだハニにも判らなかった。
ドレッサーの上にある薬をそっと指に出して、火傷をしたヵ所にそっと乗せた。
「痛っ!」
思わず出てしまった声に、ハニは手で口元を押さえた。
「痛くて眠れないのか?」
眠っていると思っていたスンジョの声に、あまりにも驚いて持っていた薬を床に落としてしまった。
「びっくりした・・・・・起こしちゃったの?」
「ずっと起きていた。ハニが眠っていなかったから。」
本当は違う。
苛立っていたから掃った手で、落としてしまった熱い食べ物が、ハニの足に落ちて火傷をさせてしまったことを悔やんでいた。
「もう大丈夫。起こしてゴメンね。」
平気な声でそう言っても、ズキズキと痛くて薄暗がりで良かったと思った。
涙が流れていることを、スンジョ君に知られたくはない。
落ちた薬を拾おうとした時、いつの間にか傍に来ていたスンジョが無言でそれを拾い、ハニのドレッサーの引き出しに入っているガーゼとテープを取り出した。
「空気に触れたり、布団に擦れるから痛い。ガーゼにこうして大目に薬を乗せるようにして患部に貼って眠れば、朝起きた時には赤味も取れているはずだ。」
手際よく処置をして、スンジョはベッドの中に入って行った。
ハニもスンジョの横に遠慮しながら入ると、いつもなら自分に廻してくれる腕がないことに寂しく感じた。
「スンジョ君・・・腕枕してくれないの?ベッドから落ちちゃうよ。」
「あぁ・・・・ゴメン。」
いつも通りに腕枕をしてくれても、今日は火傷の痛みだけじゃなく、何かが違う胸の痛みにハニは不安になった。
気のせいだよね。
そう心で呟いて、スンジョの胸に頬を寄せて目を閉じた。
眠れない時に腕枕をして貰うと、安心して眠れるのだけど今日はなかなか寝付けない
微妙に違うスンジョの態度に、自分が何か失敗をして怒らせてしまったのとだ思った。