島のサイズ感/小坂逸雄
ボクが働いているNPOの事務所が坂手港の目の前の観光案内所内にあることもあって、観光客には毎日出くわしている。港に着いたばかりの人、フェリー到着待ちの人、バス乗車の時間を持て余している人、雨宿りしている人など、その状況は様々だ。いずれにせよ観光を目的に小豆島に来たということには変わりない。
たまに驚くのは、ノープランで島に来る方がいるということだ。訪れる場所どころか交通手段すら調べていない方が、いる。いらっしゃる。そして、そういう方に限ってその時に直面するバスの本数の少なさを少し小馬鹿にしたような態度を取ったりもする。取られたりもする。
文句が言いたいのではない。ただノープランで来るのならばノープランなりの心の余裕や、自他関係無くその不便な状況に対しての、状況になってしまったことに対しての包容力や楽観性は持ち合わせていて欲しい、と言いたいのだ。そんなアナタの応対をしているボクからしたら、アナタにとってのいろいろな不便さについて、島の代表としてあなたに直面している状況だったりするのだ。ボクが「申し訳ないです」と言ったところで何の解決にもフォローにもならないし、アナタの得にすらならない。島の印象がボクの顔色次第で悪くなってしまっても責任も取れない。ボクはどうしたらいいのだ。そんな状況にありながらも、なんとか役に立とうとしているボクのこの徒手空拳具合ときたら、もう泣きたいです。
とは言え、小豆島を巡るにあたっては下調べをしようにもなかなか難しいであろうことは、なんとなくわかっている。自身で島を事前にリサーチすることが難しいのならば、あえて観光ガイド付きのツアー参加に挑戦してみることをお勧めしたい。それもなるべく少人数対応のものを。それなりに費用はかかってしまうかもしれないけど、限られた島での滞在だし、時は金なりだし。時間は無駄には出来ない。チェックイン/アウトやバス、フェリーの時間など、島ののんびりしたムードとは裏腹に実はそういう時間に追われる旅になってしまう。であれば、進行がはっきりしているツアーの方が実は効率はいい。しかもガイドさんとの会話から聞きたい情報や思わぬ情報もゲット出来たりするし、そんな島事情を知ることで小豆島の奥行きを知ることは十分にできる。
いわゆる観光地ももちろんおすすめだけど、この時期にとくにおすすめの素敵なツアーがある。カヤックだ。このマガジンにも寄稿をしてくれている山ちゃん(山本貴道氏)も本業でやっているカヤックのツアー企画だけど、ボク的なその魅力をお伝えするとしたら「島のサイズ感」が体感できるというところだろう。
自力でパドルを使い、海を目の前で感じ、その海の深さを想像して身震いし、海のにおいにドキドキし、いつもより高く見える空を眺め、陸地からでは見えない島の輪郭を目線と同じ高さに見る。水平線の向こう側に見える四国や淡路島、本州、他瀬戸内の島々からは、そこまでの距離感を感覚的に知ることができ、想像できる。そういう体験を脳ミソに擦り込んでから見る夕焼けや星空は、なんだか島のサイズだけでなく、四国のサイズ、本州のサイズ、月までの距離感をも感じられてしまうスケールの大きなものになる。妄想に過ぎないけど。そういった脳内トリップとも言える妄想旅行まで出来たら楽しいと思うし、そういう妄想が出来たら、隅々まで知りたくなるには十分過ぎるほどのサイズ感とボリュームなのだ、小豆島というところは。
夏ですし、身も心も開放感満載ですし、ぜひこの季節に小豆島にお越しになってはいかがでしょうか。
小坂逸雄
ということを、実は来週18日(月)に出演するラジオ局、Kiss FM KOBE(KOBE 89.9 / HIMEJI 77.6)の「KOKO→DOKO!?」のコーナー、「ココチョイス」にてお話しようかと思います。時間はお昼の12時頃からだそうです。(あー、、なんだか宣伝みたいになってしまってごめんなさい…)。
カヤック / ある日の出発の風景
小坂逸雄
東京出身、小豆島在住。
2020年4月現在、高松にて養蜂の修行中。