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美しさのまとい方 ストレス

2020.03.09 08:20

【ストレスとは】

ストレスとは心身に負荷を及ぼす外的、内的な刺激であり、現代社会では、ストレスを受けている人は増加傾向にある。我々はストレスに対して、それに適応するために身体、精神あるいは行動で反応する。これをストレス反応と呼ぶ。このことで、外界の変化に順応して自身を守ることになる。つまり、生きていくということは常にさまざまなストレスに直面し、それをうまく乗り切っていくことともいえる。短期的で適度なストレスは、それによってむしろ意欲がかき立てられたり、人生における学習ともなってプラスに働くことが多い。


【ストレスに対するからだの反応】

生体に社会的・心理的ストレッサーが加わるとさまざまな身体的変化が生じる。西洋医学では、末梢臓器に向けて脳からの指令を伝達する系には以下の四つがあることが最近わかってきた。

①視床下部-下垂体-性腺系(HPG)

②視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA)

③交感神経-副腎髄質系(SAM)

④疼痛-下行性調節系



視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA)軸

ストレスが加わると、視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA)軸は副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の産生と放出を引き起こし、ストレスに対して防御しようとする。血中に増加したコルチゾールは、視床下部と下垂体に働いてそれぞれ副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)と副腎脂質刺激ホルモン(ACTH)の放出を抑制し、ネガティブフィードバック(分泌抑制)ループを形成する。


視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA)軸の活性化とコルチゾールの分泌増加は、ストレスに対処するためのエネルギーを供給する重要な反応である。

ストレスにより増加したコルチゾールは、視床下部の性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の合成と放出を抑え、下垂体前葉の卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の産生を抑制し、視床下部-下垂体-性腺(HPG)軸の活性を低下させる。


通常のコルチゾールの分泌は、乳房、卵巣、子宮の発達とこれらの生殖器の正常な機能発現に必須であり、妊娠の維持や胎児の発達にも欠かせない。ところが、ストレスにより過剰なコルチゾールが分泌されると、女性ホルモンの分泌を妨げその機能を傷害する。また、妊娠中の母親のストレスは、胎児に影響を与え、生まれてから視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA)軸の異常な活性化(胎児プログラミングと呼ぶ)をきたす。



交感神経-副腎髄質系(SAM)


ストレス反応のもう一つの重要な経路は、視床下部の室傍核(PVN)からの刺激は脳幹、延髄、脊髄に伝わり、交感神経・副腎髄質が活性化される経路である。

卵巣は卵巣神経叢と上卵巣神経から分布する二つの交感神経による支配を受ける。これらの交感神経経路は卵巣の発達に重要であるが、交感神経の慢性的な刺激は卵巣にさまざまな機能障害を招く。交感神経刺激は卵巣からの男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌を促進し性腺ホルモンの乱れを生じる。アンドロゲンの分泌増加は、卵巣のβアドレナリン受容体の感受性も高める。


社会的・心理的ストレス状況では、交感神経-副腎髄質系(SAM)の機能は亢進し、視床下部-下垂体-性腺(HPG)軸の機能は低下する。

交感神経-副腎髄質系(SAM)の亢進により、呼吸数・心拍数・血圧が上昇、血小板凝集能の亢進、血糖値の上昇、炎症の増悪、痛覚過敏、表皮・粘膜バリア機能の低下など、免疫能低下につながる。


【ストレスによる諸症状】

ストレスは、身体機能に悪影響を及ぼすことになる。その理由として、ストレスがあると生活のリズムが乱れてくる。また、食生活にも注意を払わなくなったり、運動をしなくなる。さらに自律神経が乱れ、交感神経が優位な状態となることや、副腎皮質ホルモンの分泌が高まることで、身体にさまざまな悪影響を及ぼすことになる。


<自覚症状>

食欲の変化、頭痛、腰背部の痛み、月経痛の増悪、眼精疲労、動悸、冷え、吐き気、胃痛など

<他覚所見>

高血圧、糖尿病、高脂血症、メタボリックシンドローム、不整脈、胃潰瘍、過敏性腸症候群、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、バセドー病、橋本病

<その他の症状>

風邪などの感染症への易罹患、卵巣機能の低下(月経不順・無月経)



【東洋医学からみたストレス】

病気とは単純な病態ではなく、さまざまな生体機能維持機構を巻き込んだ複雑系の病態である。西洋医学がその主な原因となる病因を探求し、一定の効果を上げてきたのに対し、東洋医学は病気が複雑系であることを前提として理論構築がなされている。

ストレスに対する治療の選択肢として、東洋医学が注目を浴びてきている。いわゆる不定愁訴に対しては、理気剤(滞った気の巡りを改善する働きのある生薬)や補気剤(消耗した気を補い、元気にする働きのある生薬)が用いられる。


♦理気作用(滞った気の巡りを改善する働き)のある食材・食薬

セロリ、ネギ、ニラ、大根、ピーマン、ラッキョウ、ミカン、グレープフルーツ、キウイ、生姜、薄荷、シソ、酒など


♦補気作用(消耗した気を補い、元気にする働き)のある食材・食薬

玄米、大豆、トウモロコシ、牛肉、鶏肉、豚肉、鮭、人参、山芋、ジャガイモ、カボチャ、ナツメ、リコリス、蜂蜜など


※食薬・・・食材でありながら生薬として効能をもっているもの




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