RE ビギナ・ゼラ レビュー
2019.12.11 02:12
今回のレビューは、1/100スケール リボーンワンハンドレッド より、
“RE/100 ビギナ・ゼラ” です。
“機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91” より、
クロスボーン・バンガードの特殊部隊、ダークタイガー隊の指揮官、シェルフ・シェフィールドの乗機、
“XM-07G ビギナ・ゼラ” が、
プレバン受注限定品としてREで発売されました。
シルエットフォーミュラ91(以下、SF)は、劇場用アニメ “機動戦士ガンダム F91” の外伝的作品で、プラモデルを中心にコミック、小説などで展開されました。
F91の作品世界では、地球連邦軍においては直轄組織であるサナリィが、クロスボーン・バンガード(以下、CV)は独自に小型MS(第5世代MS)の開発に成功しており、それまでほぼ一強だったアナハイム・エレクトロニクス(以下、AE)が失墜しているなど、ガンダムが単なるロボットアニメではないことをあらためて感じるわけですが、SFではそんなAEが失地回復のために行った “シルエットフォーミュラプロジェクト” を軸に物語が描かれていきます。
しかしこのプロジェクト、かつての大企業が再起を図る計画であるのに、その実態はライバルであるサナリィに放った企業スパイを通じた技術の盗用という、なんとも情けないものです。
しかも、さらに裏でCVとも繋がっており、今回紹介するビギナ・ゼラもその過程で誕生したものだったりします。
なんというか、そういうどろどろした話もガンダムらしいといえばそうなのかもしれませんが・・
オリジナルの旧キットシリーズは、本編であるF91公開の翌年からスタート。僕も当時、F91シリーズ含めて7、8個のキットを作った記憶があります。
その頃は全塗装(といってもオール筆塗りですが)に嵌まっていて、デナン・ゾンやダギ・イルスをブラックバンガードを参考に黒と金で、ハーディガンをダークグリーンでミリタリー風(と当時は思っていた)にしたりしてました。
ビギナ・ギナとゼラも作りましたが、その2つはそのまま組んだけだったかなぁ。
あと印象に残っているのは、たしかネオガンダムのキットに封入されていたブックレット。そこにはシリーズキットを使った作例がいろいろ載っていたんですが、ビギナ・ぜラをベースにF90Pタイプのパーツなどを使って作った大型シールドとショットランサーを持たせ、ベルガシリーズと同じ紫色に塗り替えたビギナ・ゼラ アインツェルカンプが格好良かったのを覚えています。
F90のA to Z プロジェクトもあります(先日ミッションパックセット F & Mタイプのレビューを上げてしばらく経ってから、第3弾B & Kタイプが受注が始まりました。とりあえず継続のようで一安心。ほかとの兼ね合いで一次は見送らざるをえませんでしたが・・)し、もしかしたら正規キット化もある・・かな?
それでは、レビューに移ります。
キットは素組みに最低限の墨入れ、一部塗装と付属のシール、水転写式デカールでの仕上げです。
ビギナ・ギナと平行して開発されていた指揮官用高級機の火力強化型という設定だったと思ってましたが、カラーリング含めた外見はビギナ・ギナⅡに近く、そちらをベースに発展させたものがこのビギナ・ゼラというのが納得しやすいのかなぁ。
僕個人がビギナ・ギナⅡの存在を知ったのがごく最近だったので、そんなⅡの一般販売はまさに青天の霹靂でした。たぶん、木製決戦仕様がプレバンで出るな・・
そんなわけで、RE ビギナ・ギナおよびⅡから多くのパーツが流用されています。ただ、ギナの時点ではあまり流用を想定していなかったのか、余剰パーツもけっこうな数が出ます。同じ形状のパーツでも色分けの都合で新規造形されていたりもします。
肩アーマーや脚部、さらに背部の武装と全体的にボリュームアップし、シンプルで女性的だったギナからがらりと変わった男性的なシルエットに。メリハリの利いた細マッチョなプロポーションはカラーリングも相まって敵機体にしておくには惜しい格好良さです。
色分けは、Ⅱが微妙という話だったので、こちらもそれなりに覚悟してはいたんですが、意外と頑張っていました。脛外側の小さなバーニアまでパーツ分割されてたのにはびっくり。
後頭部や腰部サイドアーマーのダクトの縁、そしてフロントアーマーのスラスターやヴェスバーの後部ダクトのフィンなどはシールですが、あと足りないのはバーニアの内側くらいです。
今回、僕は後頭部のサイドアーマーのダークグレーは塗装(後頭部のセンサー部分のみ、シールをカットして貼り込んでいます)、フロントアーマーやヴェスバーのフィンはシールで済ませました。それで十分だと思います。バーニア内部は塗ってません!
その他、各部のマーキングはおそらくオリジナルの旧キットと同じデザインのものが水転写式デカールで付属するので、文字のみのコーションマークなどを除き、うるさくならない程度に貼りました。
頭部は、通常のバイザータイプとアンテナを備えたツインアイタイプとの選択式。
マスクパーツをヘルメットで挟み込むかたちになるので、気軽に換装できないのは残念です。あくまで選択式ということですね。
頭部丸々2個付けるくらいのサービスがあってもいいのに・・とはいえ、今のバンダイならその増えたパーツ分のコストをそのまま価格に反映させてくるだろうからサービスでもなんでもないのかもしれません。
昔のプレバンアイテム・・色再現のために同じランナー2枚入れたせいで箱の厚みがおかしなことになってるのに、価格は通常版から据え置き・・が懐かしい。定価販売だからそのくらいはできるだろ、と思うんですが。
・・話が逸れました。
バイザータイプはクリアパーツの奥にシルバーのシールを貼る仕様。ツインアイはクリアパーツの上から貼るいつもの仕様ですが、もちろんクリアパーツを活かした塗装仕上げをするのもいいでしょう。僕はしませんが(笑)。
マスクと額のパーツを組み合わせることで、画像のようにバイザーにアンテナ付きの頭部にすることも可能です。もちろん逆も然り。これ、けっこう格好いいですね。
なお、以降は通常のバイザータイプの頭部で統一します。
やっぱりデカール貼ったあとはトップコートすべきだな・・
武装・ギミック
ビームライフル
同じビギナシリーズおよびその前身であるダギ・イルスが使用するものと同系統のライフル。
新規造形で、ギナのものより銃身が伸びており、より洗練された形状になりました。
サブグリップは可動し、少々窮屈ですが両手持ちも可能です。
保持にはギナには付属しなかった銃持ち手を使用(Ⅱの段階で付属していたようです)。ただ、例によって右手のぶんしか付属しません。
汎用持ち手での保持は可能なので、そちらを使えば左手でも持つことはできますが、その場合はギナ同様、どう考えても撃てない位置でグリップを握ることになります。
詳しくは過去のRE ビギナ・ギナのレビューをご参考に。もうちょっと下にリンク貼ってます。
ビームサーベル
こちらはビギナ系で形状は共通。腰部リアアーマーに横向けにマウントするスタイルも一緒です。
しかし、取り外す際はいちいちカバーごと外す必要があるのはちょっと面倒。
保持には汎用の持ち手を使用。固定用のダボがあるのでしっかり持てます。
サーベル刃はビームシールドと同じランナーで、MG F91Ver.2.0からの流用ですが、機体カラー的にピンクよりブルーとかのほうが映えた気がするなぁ・・
ビームシールド
左前腕に装備される防御装置。
Ⅱではデバイスの形状が5角形に近いものになっていましたが、こちらは形状的にはギナとほぼ変わらず、表面に横縞のモールドが追加されたくらいです。
三脚タイプのアタッチメントは固定ですが、デバイスは回転させること可能です。
出力状態のシールドエフェクトは、先に言った通りMG F91Ver.2.0からの流用。
ヴェスバー
AEがサナリィから盗んだ技術をさらに裏取引で手に入れたCVが完成させたCV版ヴェスバー。
AEおよびCV側の技術者が内蔵コンデンサーの存在までは解析できなかったため、F91では可能な本体から取り外しての使用はできないものの、照準機能や機動装置としての性能は本家に勝るものがあるようです。
また、F91では背中から脇腹に沿って本体に設置されたレーン上をスライドして前方に回す方式だったのに対し、こちらはバックパックにジョイントアームで接続されるなど、機能性やメンテナンス性も考慮されているのかもしれません。
しかし、可動範囲に関してはジョイントアームが横向きに開かないため、正直柔軟とはいいがたい感じです。
キットでは、側面の円形モールドや各部のダクトなど、けっこう細かい部分までパーツ分割で色分けされています。さすがに内部のフィンやセンサーはシールですが、十分なレベルでしょう。
グリップの保持には汎用持ち手を使用。分解せずにそのまま通すことが可能です。その代わり固定はされませんが。
比較画像
まずはお姉ちゃんのビギナ・ギナ(RE)と。
外装はほぼ変更されており、背負いものの特性も大きく変わっています。
なによりカラーリングが一新されているので随分とイメージが変わりました。
先にも言いましたが、劇中でのイメージもあって女性的な雰囲気のあるギナに対して、ゼラはかなり男性的。実際、乗ってるのはゴリゴリのおっさんでしたしね(笑)。
しかし、ビギナ系列のほかの機体・・ベラ・ロナスペシャルやⅡもメインカラーは赤ですし、本来この系列機のイメージカラーは赤で、ギナのみ塗装前の試作段階で実戦投入されたということなんでしょうか?
シルエットガンダムがいないので、代わりにMG F91Ver.2.0と。
こうして並べてみると、なんとなくゼラにラフレシアのイメージが重なるのは僕だけだろうか・・?
しかし、こうなるとやはり本来の相手役が欲しくなりますが、シルエットガンダムはF91のデータを盗用して作られた、いわば偽物ですし、このVer.2.0のフレームを流用して・・というのはちょっと難しいのかもしれませんね。
まぁ、そのへん強引にやっちゃいそうな感じもしないではないですが。
展開状態のヴェスバーをアップで。
脇に抱えて撃つ大型のビームライフル・・というざっくりしたカテゴリでは同じものですが、やはりいざ見較べてみるとかなり方向性の違う装備だと思えます。
メイングリップの位置も本家は下、ゼラのものは上にありますし、本家は射撃時に砲身がスライド展開しますが、ゼラのものはそのまま。
また、本家は本体から取り外した状態での使用も可能なので、その際の補助用にサブグリップも備えられています。
以下、画像
肘は二重関節でよく動きますが、なぜか上腕に近いほうの軸は反対側にも曲げることができます。
肩の引き出しは前方のみで上方向に跳ね上げることはできず、なんとなく気の抜けたポージングしかできません。
股関節はスライド可能ですが、膝の関節は一軸。立て膝はなんとかできますが、足首の可能が微妙なので接地性はイマイチ。
脛裏の3連のスラスターはそれぞれ可動。1番上のものは膝関節の動きに連動して内側に入り込むようになっていますが、元通り膝を伸ばすと上を向いたままという、ギナからの不具合(笑)はそのまま。
腹部の可動も申し訳程度になっています。
総じてほどほど、といった感じですね。
ヴェスバーを構えるポーズは少々窮屈。
ジョイントアームが伸縮するとか、もう1個可動軸を増やすとかすれば随分違ったんだろうけど。
なんか、最近別のカテゴリで同じような不満を感じたヒトもいましたが・・
でも、右手だけとはいえ銃持ち手が付属したのは大きいですよね。
ギナの持ち方は不自然とかいうレベルを超えてましたからね。マジで、誰もなにも思わなかったのか?
ヴェスバーをウイングに見立てて。
ちょっとエピオンっぽい雰囲気になりました。
機動装置としての機能も高いということなので、決してハッタリだけのポージングではないはず(笑)。
なお、今回は15メートル級の小型MSということでそこまで致命的ではないのですが、KPSとRE共通ポリキャップとの相性の悪さで肩と上腕、脚の付け根と太腿、さらにヴェスバーとジョイントアームなど、動かしているとけっこう簡単に外れる箇所がいくつかありました。肩のパーツもすぐに緩みますしね。
まぁ、ザクⅡ改から共通ポリキャップは廃止されたので、今後のREではそんなストレスはなくなると思います。
新作出る気配ないけど・・
以上、“RE ビギナ・ゼラ” でした。
CV製のMSって、コスモ貴族主義の影響で中世の騎士や戦士っぽい独特なデザインになっていて、それがガンダムシリーズを通してもけっこう異質な感じがあるんですが、外伝作品になってくると若干その共通イメージからは外れるのか、このビギナ・ゼラなんかとくに中世感ほとんどありませんよね。
まぁ、そのへんはAEとの絡みもありますし、正規軍では運用しないからいい、みたいなところもあったのかもしれません、勝手な解釈ですが。
個人的にはビギナ・ギナはあまり好きなデザインではないんですが、ビギナ・ゼラは普通に格好いいと思います。やっぱ膝アーマーは大事(笑)。
可動だったり素材的な問題だったり、不満はいくつかありますが、造形、プロポーションは抜群だと思います。
ただ立たせておくだけでも十分かな。むしろ変にポーズをつけるとダサくなる・・(笑)
さて、いつのまにやらビギナ・ギナからのバリエーションキットも3つめとなりました。
ガンイージと並んでREの流用記録ではトップをひた走る感じになってきましたが、量産機のガンイージならともかく、まさかビギナシリーズでこれだけ展開するとは思いませんでした。
しかしまだⅡの木製決戦仕様がありますし、アインツェルカンプも万が一あるかもしれない。そうなると総数6ですか・・
REがスタートした当初は、まるで流用が利きそうにない機体のリリースが続きましたし、REはそういうシリーズなんだと思ってたんですが、結局こうなるんですね。
流用ありきということになると、もはや尖ったラインナップは期待できないのかなぁ・・
ザクⅡ改の発売からかれこれ5ヶ月。そろそろ新作の発表があってもいい頃ですけどね。
といったところで、今回は終了。
またのご訪問を。