8章 ふさえの言葉
2019.12.07 08:17
ひとしお愛らしさを増した房枝は、三歳になる頃にはおしゃまなおしゃべりさんになっていた。仕種も可愛らしいが、舌足らずなしゃべり方も愛くるしい房枝の言葉のすべてが、テルにとっては大切な宝物だった。
祖母や母からは「ふうちゃん」と呼ばれるのに、房枝が自分を呼ぶときには「ぶうちゃん」となって音が濁るのは、とがらせた唇の間に少しだけ隙間を作ることができずに、破裂音になってしまうからだと思われるが、それらの全部をひっくるめて、テルはわが子との会話を楽しんでいった。‥‥‥
この章ではみすゞがおさない娘の言葉を書きとめた「南京玉」からピックアップして、母と子のストーリー仕立てにしたが、かなり切ないです。